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~第1幕 儚げな笑顔の少年~

とある雨の日。
少年は黒い傘をさしながら、墓石の前でため息をつく。

――葬儀屋。

それが彼の職業であり、家業だ。
幼少期から人の死を幾度も見てきた彼にとって、死とは水が上から下へ落ちゆく事と同じように当たり前の事。

銀:ボクのご先祖様はどういう気持ちで葬儀屋をやろうと思ったのかな。

誰に言うでもないその声は、雨音にかき消される。

少年は、生まれた時から他人と違っていた。
彼の家では100年に一度、先祖返りとやらが生まれる。
その特別な存在は、人間より色素が薄く、銀の髪に真っ赤な瞳を持つ。
彼らは自身が望む時、その姿を獣へと変える。
少年がひとたび町を歩けば注目の的。

墓参りの家族連れの中から、小さな傘をさし、やってきた少女は…
少年に怖いもの見たさで話しかける。

?:貴方はどうして髪が真っ白、おめめは真っ赤なの?
銀:ん?ボクの事かな?ボクのこの髪や目はアルビノっていうんだ!生まれつきこうさ!かっこいいでしょ~!

彼は知っていた。
自分が恐らく本で見たアルビノではないと言う事も、そもそも人間と呼べるモノなのかすらわからない事も。
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