2章
あなたのお名前は?
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カツカツカツカツ・・・・
高いヒールを響かせ、大理石の上を歩く女は誰かを探していた。
男「おい。」
煙草を吹かした男が呼び止めると、その女は顔を明るくさせ男の元に寄っていく。煙草を消して女の元へ寄ると2人は軽いハグとキスをした。
そして女は男の胸元に手を這わせ、紫色の花のコサージュを付ける。
女「本日の席では皆様こちらをつけるようにと、うん。素敵よ、トシ。」
土「有難う、ー桜。」
桜と小さく呟いた名前は目の前の女、もとい桜にだけ届く。
桜「もう。会場内では董と呼んでくださいね?旦那様?」
そう言われると、土方はまた頬に口付けを落した。めかしこみ、恋人の様に触れ合う2人は新選組の副長とその側近である。
2人は案内のものに招待状をみせ、会場へと入っていく。ここは高級ホテルの大会場。
天人や日本以外の国のお偉い方が集まったこの会場は、自由に人が動き回り、談笑している。2人が歩けば、人目を引いた。これだけ人がいれば魅力的な人は沢山いるが、どちらも絵本から出て来たみたいだ。
土方は資産家の連中とつるみ、桜に軽く挨拶させると少し遊んでおいでとウインクする。
ボーイから渡されたシャンパンに桜は口を付け、会場をゆっくり見渡す。
(―――、いた。)
桜はピアスに一瞬触り、小さく呟いた。
桜「ターゲット、確認です。遂行します。」
土「ああ。こっちも整ってる。いつでもいいぞ。」
***
今回の任務はこうである。
松「これ着て欲しいんだけども。」
近土「「・・・・・」」
そう言って松平は近藤と土方、桜を呼びつけると青のドレスをばさあ!とこれ見よがしにひけらかした。松平は桜のカクテルドレス姿が見たかったのだ。
今回の任務はこうである、高級ホテルで行われるパーティーに同伴者を連れて出席し、ターゲットを新選組の内内で確保しろというもの。
どうやら幕府内へ不正薬物を売り捌いている者がいる様で、要の人物を捕まえたいらしい。
そこで経歴的に申し分ないであろう桜を、パーティー会場に潜入させろという事であった。
松「・・・やっぱ俺が行こっかなー。」
桜を目の前にして、自分が行きたいとごねる松平。
無論出来ない話である。今回は新選組が介入する事が漏れない事は必至。自分が内内でやれって言ったんじゃん、と近藤が呟いた。
それにメンバーも資産家や財閥のものも多いが幕府内部の者はその薬物に関わっているものが比較的多いという。
顔が広い松平が行ってしまうのは、良くない。
それにしても、鼻血ものである。近藤は隣にいる桜を凝視した。
ブルーのドレスが、彼女をより魅力的に引き立たせていた。
ドレスから露出したデコルテとざっくりあいた背中は、透き通る様な白い肌に深い青のコントラストが映える。同じ色の大振りのピアスは、桜が揺れると一緒に揺れるのを思わず目で追ってしまう。彼女の仕草と豊満な胸が色香を纏わせ、表情と胸に反したその線の細さが儚げに映った。
近「桜、俺やばいかも・・・」
桜「え?。大丈夫ですか、近藤さん。今日の朝食食べ過ぎちゃったんですか?」
確かデザートがバナナだったから・・・
止めて桜ちゃん俺ゴリラじゃないの。でも黒豆の煮たやつはいっぱい食べたかも・・・
お腹痛いです?
お腹よりもう少し下・・・
土「おい、あの天然と発情してるゴリラ2人を止めてやってくれ、とっつぁん。」
松「おおトシぃ、いいじゃねえか。」
土「俺はよくねえがな。」
と後頭部をかいて出て来たのは土方である。
弁の立つ奴で成人済、桜を付き添いとして置ける奴。お前しかいねえだろうがとなってしまったのだ。
近藤さんでいいじゃねえか。と反論したが、生憎近藤もまあまあ上役の会議には出てしまっていて、リスクは避ける事にした。それに、口が上手いのは手前だとも。
近「トシ、お前恰好いいよな本当。ずるいよ、俺なんかケツ毛ボーボーなのに。」
土「あ?何言ってんだ近藤さん。関係ねえだ ろ・・・」
桜を見て土方は呆けてしまう。
紛れもなく目の前にいるのは桜であるが、何時にも増して色っぽい彼女はどこか違う人にみえた。
松平においでおいでされた桜は松平の言われるがまま、目の前でくるくる回ったり後ろから振り向いたり好き勝手させられている。
なんだかそれに段々いらついてきた土方は桜を後ろから引っ張ると両手を持ち、桜の背中を自分の胸板に預けさせる。松平の前から引かせたのだ。両者様になっているので、それはまるで王子が悪い手先からお姫様を護るような、そんな1シーンを松平と近藤は見せられた様で不服である。
桜「ひじかた、さ・・・」
上を向き土方の顔を見た桜は頬を赤くさせた。
(色っぽい・・・・!土方さんとっても色っぽい。)
前髪を後ろに撫でつけ、少し前に垂れてしまった髪が大人の色香を漂わせている。
チャコールグレーのスーツにベスト。濃紺の革靴に似た色のネクタイを締めている。鍛え上げられた胸板や肩周りが、程よくスーツを締める。
諜報員の時にスーツ姿の男の人は沢山見たが、西洋人でない彼のハマり具合には流石としか言いようがない。
松平が咳払いをした。
松「じゃあ。もう1回さらうがー、」
***
桜は自分がターゲットといった男の視線の先に立ち、男がこちらに視線を注いでいるのを確認する。
一瞬目を合わせると分厚いカーテンの陰へ。男の視界から隠れた桜は持っていたシャンパンを飲みながら数を数え始める。
(5・・4・・3・・2・・1)
カウントが終わると同時にあいた背中に手を添えられた。ゆっくりと振り返れば、先程の男が彼女の腕をとり、手の甲にキスをする。
男「君、見ない顔だね。とても魅力的だ。
始めまして、僕はMatthew Tyler(マシュー・タイラー)。こんな所に1人で、迷子かな?」
終わりかけのシャンパンを彼女の手からとると、ボーイに新しい物を注文する。自分の部屋番号を添えて。
(”1017”・・・聞こえたか?部屋番号は1017だ。)
桜「お目に掛かれて光栄ですわ。Matthew Tyler(マシュー・タイラー)さん。そうね、迷子と言えば迷子かも知れないわ。この空間に迷ってしまったの、人の少ない所で落ち着こうとしたのだけど、ここは会場を一度出ないと駄目なのね。」
そうして流し目にガラス越しから外を見ようとする。
この会場は直接外にでるドアこそあれど、全て閉鎖されていた。外に出るには会場の出入り口に行くしか方法はないようだ。
残念です。と彼女が首をかしげると、ピアスが耳元で揺れる。
それを目で追い、目線を移動させて彼女のドレスから出た肌色の部分を嘗めるように見つめた。マシューはやりとりを楽しんでいる。
マ「君は言葉を遊ぶのが上手いね。気に入ったよ。人の多い所は苦手かい?。連れはまだ有名な御仁達と談笑しているようだし。
ーどうだ?。場所を変えて気分転換にとっておきのものを見せてあげる。綺麗だから、きっと君もお気に召すと思うよ。」
そうしてマシューはVIPカードを彼女に見せる。
マ「今回のパーティーのパフォーマンスは、僕も1部関わっているんだ。明日のパフォーマンスの一部を、君に特別に見せてあげるよ。」
桜「嬉しい!でも、いいのかしら、そんな事・・・私には勿体ないわ。」
マ「彼の事が心配かい?」
桜「いえ・・・彼は私を構ってくれないの。ずっとああやって話しているのよ?
・・・私は、待っているだけなの。」
とチラ、と桜は土方をみれば、案の定土方は資産家達と談笑しており、桜が遠い所にいるのも気付いてもいない様にみえる。桜は悲しそうな顔をした。
マシューは一瞬で一喜一憂する彼女もまた愛らしいなと思いつつ、ほくそ笑む。
マ「待つのであれば、最高の時間を用意してあげるよ。退屈していたんだろ?・・・おいで。」
マシューは彼女の手を取り、煌びやかな会場とは別の、少し落ち着いた廊下へと消えてゆくのだった。
〔手引き〕
高いヒールを響かせ、大理石の上を歩く女は誰かを探していた。
男「おい。」
煙草を吹かした男が呼び止めると、その女は顔を明るくさせ男の元に寄っていく。煙草を消して女の元へ寄ると2人は軽いハグとキスをした。
そして女は男の胸元に手を這わせ、紫色の花のコサージュを付ける。
女「本日の席では皆様こちらをつけるようにと、うん。素敵よ、トシ。」
土「有難う、ー桜。」
桜と小さく呟いた名前は目の前の女、もとい桜にだけ届く。
桜「もう。会場内では董と呼んでくださいね?旦那様?」
そう言われると、土方はまた頬に口付けを落した。めかしこみ、恋人の様に触れ合う2人は新選組の副長とその側近である。
2人は案内のものに招待状をみせ、会場へと入っていく。ここは高級ホテルの大会場。
天人や日本以外の国のお偉い方が集まったこの会場は、自由に人が動き回り、談笑している。2人が歩けば、人目を引いた。これだけ人がいれば魅力的な人は沢山いるが、どちらも絵本から出て来たみたいだ。
土方は資産家の連中とつるみ、桜に軽く挨拶させると少し遊んでおいでとウインクする。
ボーイから渡されたシャンパンに桜は口を付け、会場をゆっくり見渡す。
(―――、いた。)
桜はピアスに一瞬触り、小さく呟いた。
桜「ターゲット、確認です。遂行します。」
土「ああ。こっちも整ってる。いつでもいいぞ。」
***
今回の任務はこうである。
松「これ着て欲しいんだけども。」
近土「「・・・・・」」
そう言って松平は近藤と土方、桜を呼びつけると青のドレスをばさあ!とこれ見よがしにひけらかした。松平は桜のカクテルドレス姿が見たかったのだ。
今回の任務はこうである、高級ホテルで行われるパーティーに同伴者を連れて出席し、ターゲットを新選組の内内で確保しろというもの。
どうやら幕府内へ不正薬物を売り捌いている者がいる様で、要の人物を捕まえたいらしい。
そこで経歴的に申し分ないであろう桜を、パーティー会場に潜入させろという事であった。
松「・・・やっぱ俺が行こっかなー。」
桜を目の前にして、自分が行きたいとごねる松平。
無論出来ない話である。今回は新選組が介入する事が漏れない事は必至。自分が内内でやれって言ったんじゃん、と近藤が呟いた。
それにメンバーも資産家や財閥のものも多いが幕府内部の者はその薬物に関わっているものが比較的多いという。
顔が広い松平が行ってしまうのは、良くない。
それにしても、鼻血ものである。近藤は隣にいる桜を凝視した。
ブルーのドレスが、彼女をより魅力的に引き立たせていた。
ドレスから露出したデコルテとざっくりあいた背中は、透き通る様な白い肌に深い青のコントラストが映える。同じ色の大振りのピアスは、桜が揺れると一緒に揺れるのを思わず目で追ってしまう。彼女の仕草と豊満な胸が色香を纏わせ、表情と胸に反したその線の細さが儚げに映った。
近「桜、俺やばいかも・・・」
桜「え?。大丈夫ですか、近藤さん。今日の朝食食べ過ぎちゃったんですか?」
確かデザートがバナナだったから・・・
止めて桜ちゃん俺ゴリラじゃないの。でも黒豆の煮たやつはいっぱい食べたかも・・・
お腹痛いです?
お腹よりもう少し下・・・
土「おい、あの天然と発情してるゴリラ2人を止めてやってくれ、とっつぁん。」
松「おおトシぃ、いいじゃねえか。」
土「俺はよくねえがな。」
と後頭部をかいて出て来たのは土方である。
弁の立つ奴で成人済、桜を付き添いとして置ける奴。お前しかいねえだろうがとなってしまったのだ。
近藤さんでいいじゃねえか。と反論したが、生憎近藤もまあまあ上役の会議には出てしまっていて、リスクは避ける事にした。それに、口が上手いのは手前だとも。
近「トシ、お前恰好いいよな本当。ずるいよ、俺なんかケツ毛ボーボーなのに。」
土「あ?何言ってんだ近藤さん。関係ねえだ ろ・・・」
桜を見て土方は呆けてしまう。
紛れもなく目の前にいるのは桜であるが、何時にも増して色っぽい彼女はどこか違う人にみえた。
松平においでおいでされた桜は松平の言われるがまま、目の前でくるくる回ったり後ろから振り向いたり好き勝手させられている。
なんだかそれに段々いらついてきた土方は桜を後ろから引っ張ると両手を持ち、桜の背中を自分の胸板に預けさせる。松平の前から引かせたのだ。両者様になっているので、それはまるで王子が悪い手先からお姫様を護るような、そんな1シーンを松平と近藤は見せられた様で不服である。
桜「ひじかた、さ・・・」
上を向き土方の顔を見た桜は頬を赤くさせた。
(色っぽい・・・・!土方さんとっても色っぽい。)
前髪を後ろに撫でつけ、少し前に垂れてしまった髪が大人の色香を漂わせている。
チャコールグレーのスーツにベスト。濃紺の革靴に似た色のネクタイを締めている。鍛え上げられた胸板や肩周りが、程よくスーツを締める。
諜報員の時にスーツ姿の男の人は沢山見たが、西洋人でない彼のハマり具合には流石としか言いようがない。
松平が咳払いをした。
松「じゃあ。もう1回さらうがー、」
***
桜は自分がターゲットといった男の視線の先に立ち、男がこちらに視線を注いでいるのを確認する。
一瞬目を合わせると分厚いカーテンの陰へ。男の視界から隠れた桜は持っていたシャンパンを飲みながら数を数え始める。
(5・・4・・3・・2・・1)
カウントが終わると同時にあいた背中に手を添えられた。ゆっくりと振り返れば、先程の男が彼女の腕をとり、手の甲にキスをする。
男「君、見ない顔だね。とても魅力的だ。
始めまして、僕はMatthew Tyler(マシュー・タイラー)。こんな所に1人で、迷子かな?」
終わりかけのシャンパンを彼女の手からとると、ボーイに新しい物を注文する。自分の部屋番号を添えて。
(”1017”・・・聞こえたか?部屋番号は1017だ。)
桜「お目に掛かれて光栄ですわ。Matthew Tyler(マシュー・タイラー)さん。そうね、迷子と言えば迷子かも知れないわ。この空間に迷ってしまったの、人の少ない所で落ち着こうとしたのだけど、ここは会場を一度出ないと駄目なのね。」
そうして流し目にガラス越しから外を見ようとする。
この会場は直接外にでるドアこそあれど、全て閉鎖されていた。外に出るには会場の出入り口に行くしか方法はないようだ。
残念です。と彼女が首をかしげると、ピアスが耳元で揺れる。
それを目で追い、目線を移動させて彼女のドレスから出た肌色の部分を嘗めるように見つめた。マシューはやりとりを楽しんでいる。
マ「君は言葉を遊ぶのが上手いね。気に入ったよ。人の多い所は苦手かい?。連れはまだ有名な御仁達と談笑しているようだし。
ーどうだ?。場所を変えて気分転換にとっておきのものを見せてあげる。綺麗だから、きっと君もお気に召すと思うよ。」
そうしてマシューはVIPカードを彼女に見せる。
マ「今回のパーティーのパフォーマンスは、僕も1部関わっているんだ。明日のパフォーマンスの一部を、君に特別に見せてあげるよ。」
桜「嬉しい!でも、いいのかしら、そんな事・・・私には勿体ないわ。」
マ「彼の事が心配かい?」
桜「いえ・・・彼は私を構ってくれないの。ずっとああやって話しているのよ?
・・・私は、待っているだけなの。」
とチラ、と桜は土方をみれば、案の定土方は資産家達と談笑しており、桜が遠い所にいるのも気付いてもいない様にみえる。桜は悲しそうな顔をした。
マシューは一瞬で一喜一憂する彼女もまた愛らしいなと思いつつ、ほくそ笑む。
マ「待つのであれば、最高の時間を用意してあげるよ。退屈していたんだろ?・・・おいで。」
マシューは彼女の手を取り、煌びやかな会場とは別の、少し落ち着いた廊下へと消えてゆくのだった。
〔手引き〕