1章 新しい職場
あなたのお名前は?
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近「なあトシ。」
近藤と土方は一室で互いに顔を見合わせていた。
昼間の為日差しが入るこの部屋は、電気を付けておらず仄かに薄暗い室内は近藤の彫りの深い顔により陰影を付ける。
怖。土方は正直思った。
真剣な面持ちの彼の言いたい事は言わずもがな、政治の波に呑まれ新選組へと零れ落ちた女性の件であろう。
土「わかってる。桜、」
近「桜ちゃんってさ、
・・・・おっぱいおっきいよね!?」
スパンッ!
小気味良い音が室内に響いた。
土「近藤さん、あんたは総悟じゃないの。きょくちょう!
あんたが率先してそんな事言ってたら困んだよ!」
近「ごごごごごめんねトシっ
許して、ね?
だってトシしか今いないし!トシだってさーあ?」
と、2発目をお見舞いしようとする土方に近藤は腕をクロスさせながら、下卑た笑みを浮かべられ、土方の動きが鈍くなる。
なんだその汚い笑みは。
近「だあってえー?
今日の桜ちゃんあれトシの着てたでしょ。トシの匂いしたし。
なあんかあったんじゃないのおー?
痛い!
え、痛ァ!ごめ、ごめんてトシ!」
土方は眉間にシワが寄った。
迂闊である。食堂にいた隊士たちは微塵も気付いてなかったのに、匂いで嗅ぎつけてしまうとは。
流石ゴリラである。
全部説明するのも面倒臭い。
というか今の近藤には事故と言っても聞いてくれまい。
土方は溜息を吐くと総悟が粗相をしたんだよ。と釘は刺しておく。
近「トシ、全部読んだの?」
土「ああ。」
目を丸くした近藤の前に、重要機密書類を差し出す。昨日松平が持ってきた物である。
土「まあ、終わったもんにどうこう言う気はねえが。
アザミプロジェクト、阿部殿は大した器量の持ち主だな。万一のあらゆることを考えてこの構成員にしたんだ。
敵国でやらかしても、相手国は足を辿れねえし
今回の様に定定公や、自国が糾弾したとしても天導衆が糸引いて得た人材。むざむざ捨てるなんざ後が宜しくねえ。
お近付きになりてえもんだ。」
近「それで、その阿部殿は?」
土「生きてるよ。あの人自身は色んな所に顔が効く。
大奥は阿部殿贔屓だ。」
近「ああ、それで。定定公は手が出せないって訳か。女好きの定定公が大奥に嫌われちゃ叶わんよなあ。」
土「そうだな、解体こそが処分で収まったのはそこだろう。」
近「ああ・・・じゃあその解体になった構成員達は、桜の性が無いのは、人身売買されて身元がわかんなくなって。
運良く天導衆が手を付けたから、日本に帰ってきたって事か・・・
トシ、とっつぁんがここへ桜を寄越した理由が!わかったぞ筒島が!」
土「あ?辻褄な、近藤さん。」
近「トシ、桜ちゃんはな、ここに愛を受け取りに来たんだよ!」
あ?
土「・・・・」
困った男である。ゴリラの容姿の癖に彼はこういうのが大好きだ。
近藤はなお続けた。
近「トシが桜を気になるのも、総悟が構うのもさ、桜が持ってなかったものを、皆何か欠けてるものを補いたくなっちゃうんだよ。
あんな儚げな表情、俺らが取っ払うために、桜はここに来たんだ!」
なあそうだろうトシ?と笑いながら言われれば、思わず眉間の皺もなくなってしまう。恥ずかしげもなく、すんなりそんなこっぱずかしい事を言葉にしてしまうこの人が少し羨ましく感じる。
阿部正正へコンタクトを入れるべきかとか、接触は避けるべきなのかだとか。桜に早く部屋を作る段取りをしたり、どの仕事をやらせたら効率がいいかとか、色んな事を、本当に色んな事を考えていて。
ただそんな事よりも何よりも、自分自身を動かす原動力の根源を言葉で提示されて、悔しいがすとんと落ちてしまったのだ。
土「ほんと、あんたにゃ敵わねえ。」
近「でさ、
桜ちゃんは一体何カッッブ!!」
今度は皆まで言わせなかった。
土方十四郎。彼はモテるが硬派である。
心頭滅却して介抱してやったというのに、蒸し返されては困るのだ。自分は介抱をしただけである。そう言い聞かせる。彼女の透き通った素肌は、本当に綺麗だった。不可抗力である。下心なんぞ。
邪な想像になりそうになる前に、土方はもう一度近藤を引っ叩くのだった。
近「ひ、もう何にも言ってな、痛っ!!!」
〔ゴリラは的を射る〕
近藤と土方は一室で互いに顔を見合わせていた。
昼間の為日差しが入るこの部屋は、電気を付けておらず仄かに薄暗い室内は近藤の彫りの深い顔により陰影を付ける。
怖。土方は正直思った。
真剣な面持ちの彼の言いたい事は言わずもがな、政治の波に呑まれ新選組へと零れ落ちた女性の件であろう。
土「わかってる。桜、」
近「桜ちゃんってさ、
・・・・おっぱいおっきいよね!?」
スパンッ!
小気味良い音が室内に響いた。
土「近藤さん、あんたは総悟じゃないの。きょくちょう!
あんたが率先してそんな事言ってたら困んだよ!」
近「ごごごごごめんねトシっ
許して、ね?
だってトシしか今いないし!トシだってさーあ?」
と、2発目をお見舞いしようとする土方に近藤は腕をクロスさせながら、下卑た笑みを浮かべられ、土方の動きが鈍くなる。
なんだその汚い笑みは。
近「だあってえー?
今日の桜ちゃんあれトシの着てたでしょ。トシの匂いしたし。
なあんかあったんじゃないのおー?
痛い!
え、痛ァ!ごめ、ごめんてトシ!」
土方は眉間にシワが寄った。
迂闊である。食堂にいた隊士たちは微塵も気付いてなかったのに、匂いで嗅ぎつけてしまうとは。
流石ゴリラである。
全部説明するのも面倒臭い。
というか今の近藤には事故と言っても聞いてくれまい。
土方は溜息を吐くと総悟が粗相をしたんだよ。と釘は刺しておく。
近「トシ、全部読んだの?」
土「ああ。」
目を丸くした近藤の前に、重要機密書類を差し出す。昨日松平が持ってきた物である。
土「まあ、終わったもんにどうこう言う気はねえが。
アザミプロジェクト、阿部殿は大した器量の持ち主だな。万一のあらゆることを考えてこの構成員にしたんだ。
敵国でやらかしても、相手国は足を辿れねえし
今回の様に定定公や、自国が糾弾したとしても天導衆が糸引いて得た人材。むざむざ捨てるなんざ後が宜しくねえ。
お近付きになりてえもんだ。」
近「それで、その阿部殿は?」
土「生きてるよ。あの人自身は色んな所に顔が効く。
大奥は阿部殿贔屓だ。」
近「ああ、それで。定定公は手が出せないって訳か。女好きの定定公が大奥に嫌われちゃ叶わんよなあ。」
土「そうだな、解体こそが処分で収まったのはそこだろう。」
近「ああ・・・じゃあその解体になった構成員達は、桜の性が無いのは、人身売買されて身元がわかんなくなって。
運良く天導衆が手を付けたから、日本に帰ってきたって事か・・・
トシ、とっつぁんがここへ桜を寄越した理由が!わかったぞ筒島が!」
土「あ?辻褄な、近藤さん。」
近「トシ、桜ちゃんはな、ここに愛を受け取りに来たんだよ!」
あ?
土「・・・・」
困った男である。ゴリラの容姿の癖に彼はこういうのが大好きだ。
近藤はなお続けた。
近「トシが桜を気になるのも、総悟が構うのもさ、桜が持ってなかったものを、皆何か欠けてるものを補いたくなっちゃうんだよ。
あんな儚げな表情、俺らが取っ払うために、桜はここに来たんだ!」
なあそうだろうトシ?と笑いながら言われれば、思わず眉間の皺もなくなってしまう。恥ずかしげもなく、すんなりそんなこっぱずかしい事を言葉にしてしまうこの人が少し羨ましく感じる。
阿部正正へコンタクトを入れるべきかとか、接触は避けるべきなのかだとか。桜に早く部屋を作る段取りをしたり、どの仕事をやらせたら効率がいいかとか、色んな事を、本当に色んな事を考えていて。
ただそんな事よりも何よりも、自分自身を動かす原動力の根源を言葉で提示されて、悔しいがすとんと落ちてしまったのだ。
土「ほんと、あんたにゃ敵わねえ。」
近「でさ、
桜ちゃんは一体何カッッブ!!」
今度は皆まで言わせなかった。
土方十四郎。彼はモテるが硬派である。
心頭滅却して介抱してやったというのに、蒸し返されては困るのだ。自分は介抱をしただけである。そう言い聞かせる。彼女の透き通った素肌は、本当に綺麗だった。不可抗力である。下心なんぞ。
邪な想像になりそうになる前に、土方はもう一度近藤を引っ叩くのだった。
近「ひ、もう何にも言ってな、痛っ!!!」
〔ゴリラは的を射る〕