1章 新しい職場
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ここは江戸、新選組。
彼らは江戸の治安を守る特殊警察である。
只今屯所内には来訪者が2名、アポ無しで来ていた。
急な松平の来訪は別段特別ではないが、彼はいつも爆弾をくっつけてくる。
松平片栗虎。彼は幕府の治安組織を束ねる警察庁長官である。
松「ってえことだからなーあ?
大事な大事な桜ちゃんを、ここに!置いてくっからァ」
近「とっつぁん!駄目だろそんなのお!」
土「・・・とっつぁん、あんたどうしたって。
こんなわざわざむさ苦しい男所帯に入れるこたねーだろう。」
今回の突飛な案件は、明後日の方向すぎてなかなか飲み込むことが出来ない。
松平は幕府の会議後その足で新選組に現れ、傍らに連れた桜という女性を新選組の隊士にしろというのだ。
というのも、事が急に動いたのはつい3日前の事だった。
3日前*
江戸の中心にある高級ホテルのレストランは、アメリカの装いを取り入れたそうで、江戸のこの町並みには目新しい物ばかりが飾られている。
中では、1組の男女がランチを食べ終え今まさに席を立つ所だ。
男「君と話していると、時間を忘れてしまうよ、桜さん。」
そう言って、彼女の透き通る様な頬を撫でた。
男は本当に満足していた。目の前の彼女は本当に魅力的だった。アジア人らしいが欧米のこちら側の人形の様な顔立ちである。それに、胸は大きい癖にライン自体は細い。
天人が江戸にきてからというものの、髪の毛の色や目が派手な奴を見かける様になったが桜も全体的に色素が薄く、まとめられたその長い髪こそ黒だが少し灰がかり、たれ目な瞳はアンバーと言われる色見だろう。光の差し込み方によってゴールドやブラウンイエローと様々な色が入っている。男は桜を見下ろすと彼女の旋毛まで見えるので、地毛な所をみると瞳も生まれ持ったものなのだろう。
桜「まあ、身に余る光栄ですわ、マシュー。」
マシューに頬を撫でられた桜は嬉しそうに目を伏せれば、長い睫毛が影を作る。
桜のその仕草はマシューにはとても儚げで扇情的に映り、思わず抱き締めたくなる衝動を抑え、(紳士に)と自分に言い聞かせ踵を返す。
桜は食事の前に商談した資料を持ちマシューの後ろに続いた。
ハイヒールの音を響かせながら、彼女は駐車場に向かって一人で歩いていた。
手元の端末に『任務完了。商談中にデータハッキング成功』と入力しUSB程のチップを端末に差し込んだ。
PiPiPiPiPi…..
桜「ん?」
組織からの着信である。もう次の任務なのだろうか。
桜「はい、・・・・・・」
桜です。と言おうとしたが異変に気付き耳をそばだてる。なんだ、何が起こっている?。電話の向こう側からはウ゛ー!ウ゛ーー!とサイレンが響いている。
桜「何?誰なの?」
男「俺だ・・・」
電話を掛けて来たのは組織の同僚恵介だった。
桜「今組織にいるのよね?一体何なの、その警告音は」
恵「いいか、黙ってよく聞け。アザミは消される。」
桜「!?」
アザミとは桜のいる組織の名前である。老中阿部正正(まさまさ)が組んだアザミプロジェクトと銘打たれた組織は国家諜報員を担っていた。
対天人ではなくこの地球の外交を円滑にする為に作られた組織。誰かがヘマをして、他国が襲撃してきたというのか。
桜は心臓がはっきり脈打っているのがわかった。
駐車場に停めている車へとヒールの音を響かせながら走り出す。
桜「・・・すぐ戻るわ。敵は、どの国なの。」
恵介「・・・・敵は、どこの国でもない俺達だ」
桜「え?、なんて言ったの、恵介」
電話口から爆発音がする。
桜は車につくと急いで運転席に飛び乗り扉を閉めれば、同時に助手席側の扉が開き、御徒士組の恰好をした男が刀を桜の喉元に突きつけた。
(・・・・しまった、電話口に耳を傾けすぎていた。)
大人しく桜は携帯をそっとスピーカーにし、コンソールの上にそれを置くと両手をあげた。
ノイズが入りながら、電話口から恵介がしゃべりだす。
恵「先週の幕府上客であった天人の一隻を潰した事件。あれが俺達アザミがやったと、幕府では裏がとれたらしい。
だから、定定様は阿部正正殿が自分に背を向けたと言って・・・・うっ!。」
桜「恵介!」
天人の船を襲撃なんてそんな仕事、どこにもなかったはずだ。大体私達の仕事は対地球であって、対天人ではない。私達は、私達の国の為に働いているのではなかったのか。
なのに、どうして、
恵介は桜の考えを読み取ったかのように呟く
恵「・・・俺もおかしいと思う、これは。正正殿が背を向けたのではなく、正正殿が背を向けられた、か。」
桜も恵介と同じ思いであった。ただ色んな事に理解が追い付いていないが目の前の装いの男が何が出来るかは理解出来ていた。
幕府お抱えの重役であれば1度位は見た事があるだろう。
幕府お抱え、否徳川定定公がお抱えの暗殺者集団、天照院奈落が、目の前にいるのだ。
阿部が裏切ったというのは、確たる証拠があるからなのだろう。
奈落「それ以上は、もう必要ないだろう。」
諜報員の末端の死に方なんて、あっけないものだ。
運転席の窓ガラスに、赤い飛沫がとんだ。
〔悲劇〕
彼らは江戸の治安を守る特殊警察である。
只今屯所内には来訪者が2名、アポ無しで来ていた。
急な松平の来訪は別段特別ではないが、彼はいつも爆弾をくっつけてくる。
松平片栗虎。彼は幕府の治安組織を束ねる警察庁長官である。
松「ってえことだからなーあ?
大事な大事な桜ちゃんを、ここに!置いてくっからァ」
近「とっつぁん!駄目だろそんなのお!」
土「・・・とっつぁん、あんたどうしたって。
こんなわざわざむさ苦しい男所帯に入れるこたねーだろう。」
今回の突飛な案件は、明後日の方向すぎてなかなか飲み込むことが出来ない。
松平は幕府の会議後その足で新選組に現れ、傍らに連れた桜という女性を新選組の隊士にしろというのだ。
というのも、事が急に動いたのはつい3日前の事だった。
3日前*
江戸の中心にある高級ホテルのレストランは、アメリカの装いを取り入れたそうで、江戸のこの町並みには目新しい物ばかりが飾られている。
中では、1組の男女がランチを食べ終え今まさに席を立つ所だ。
男「君と話していると、時間を忘れてしまうよ、桜さん。」
そう言って、彼女の透き通る様な頬を撫でた。
男は本当に満足していた。目の前の彼女は本当に魅力的だった。アジア人らしいが欧米のこちら側の人形の様な顔立ちである。それに、胸は大きい癖にライン自体は細い。
天人が江戸にきてからというものの、髪の毛の色や目が派手な奴を見かける様になったが桜も全体的に色素が薄く、まとめられたその長い髪こそ黒だが少し灰がかり、たれ目な瞳はアンバーと言われる色見だろう。光の差し込み方によってゴールドやブラウンイエローと様々な色が入っている。男は桜を見下ろすと彼女の旋毛まで見えるので、地毛な所をみると瞳も生まれ持ったものなのだろう。
桜「まあ、身に余る光栄ですわ、マシュー。」
マシューに頬を撫でられた桜は嬉しそうに目を伏せれば、長い睫毛が影を作る。
桜のその仕草はマシューにはとても儚げで扇情的に映り、思わず抱き締めたくなる衝動を抑え、(紳士に)と自分に言い聞かせ踵を返す。
桜は食事の前に商談した資料を持ちマシューの後ろに続いた。
ハイヒールの音を響かせながら、彼女は駐車場に向かって一人で歩いていた。
手元の端末に『任務完了。商談中にデータハッキング成功』と入力しUSB程のチップを端末に差し込んだ。
PiPiPiPiPi…..
桜「ん?」
組織からの着信である。もう次の任務なのだろうか。
桜「はい、・・・・・・」
桜です。と言おうとしたが異変に気付き耳をそばだてる。なんだ、何が起こっている?。電話の向こう側からはウ゛ー!ウ゛ーー!とサイレンが響いている。
桜「何?誰なの?」
男「俺だ・・・」
電話を掛けて来たのは組織の同僚恵介だった。
桜「今組織にいるのよね?一体何なの、その警告音は」
恵「いいか、黙ってよく聞け。アザミは消される。」
桜「!?」
アザミとは桜のいる組織の名前である。老中阿部正正(まさまさ)が組んだアザミプロジェクトと銘打たれた組織は国家諜報員を担っていた。
対天人ではなくこの地球の外交を円滑にする為に作られた組織。誰かがヘマをして、他国が襲撃してきたというのか。
桜は心臓がはっきり脈打っているのがわかった。
駐車場に停めている車へとヒールの音を響かせながら走り出す。
桜「・・・すぐ戻るわ。敵は、どの国なの。」
恵介「・・・・敵は、どこの国でもない俺達だ」
桜「え?、なんて言ったの、恵介」
電話口から爆発音がする。
桜は車につくと急いで運転席に飛び乗り扉を閉めれば、同時に助手席側の扉が開き、御徒士組の恰好をした男が刀を桜の喉元に突きつけた。
(・・・・しまった、電話口に耳を傾けすぎていた。)
大人しく桜は携帯をそっとスピーカーにし、コンソールの上にそれを置くと両手をあげた。
ノイズが入りながら、電話口から恵介がしゃべりだす。
恵「先週の幕府上客であった天人の一隻を潰した事件。あれが俺達アザミがやったと、幕府では裏がとれたらしい。
だから、定定様は阿部正正殿が自分に背を向けたと言って・・・・うっ!。」
桜「恵介!」
天人の船を襲撃なんてそんな仕事、どこにもなかったはずだ。大体私達の仕事は対地球であって、対天人ではない。私達は、私達の国の為に働いているのではなかったのか。
なのに、どうして、
恵介は桜の考えを読み取ったかのように呟く
恵「・・・俺もおかしいと思う、これは。正正殿が背を向けたのではなく、正正殿が背を向けられた、か。」
桜も恵介と同じ思いであった。ただ色んな事に理解が追い付いていないが目の前の装いの男が何が出来るかは理解出来ていた。
幕府お抱えの重役であれば1度位は見た事があるだろう。
幕府お抱え、否徳川定定公がお抱えの暗殺者集団、天照院奈落が、目の前にいるのだ。
阿部が裏切ったというのは、確たる証拠があるからなのだろう。
奈落「それ以上は、もう必要ないだろう。」
諜報員の末端の死に方なんて、あっけないものだ。
運転席の窓ガラスに、赤い飛沫がとんだ。
〔悲劇〕
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