儚夜17






ひとりでいい。
こんな腐った世界なんて一人で生きていける
支え合い?絆?
馬鹿馬鹿しい



男は女を利用して、女は男を利用する


単純でシンプルなつまらない世界





たったひとり。
あの人に出会うまでは_____
























たまたま街で見かけたから後を追ってきたけど、

白昼堂々と街中でキスとはねぇ?





カシャカシャ


盗撮なんて趣味は持ち合わせていないけど面白いから一応。ね?




あの人は絶対に私のものにするから



それまでせいぜい楽しんでね、ねるさん















普段とは違う積極的な理佐に興奮しちゃうけど、流石に観客が多すぎる。

それに盗撮してくる悪趣味の人もいるみたいだし



「理佐」


『んっ、もう少し』


「ふふ、ならここで最後までしてもよか?」


『それはいや』


「そう?残念」


そう言いながらも理佐の服に手をかける素振りを見せれば慌てふためく可愛すぎる理佐


今すぐ家に連れて帰って誰にも見られないように、触れられないように閉じ込めたいのにここでそんな事する筈ないのにね。どこまでも私を惚れさせる気なんだろうか





『これからどうしよっか、行きたいとこある?』


「せっかくのデートやけんもう少し外におりたかったけど気が変わった。ねる家に帰ろ?」


『え、やっぱり嫌だった、?』


「理佐とのデートは楽しかったばい。好きな人がおるって幸せな事なんやって何度も思うたばい」


『そ、それなら良かった…それじゃ、なんで?」


「理佐を今すぐ食べたか。それだけ」


『、あぁ…なるほど…』



わかりやすく頬を赤らめる理佐
ほんと可愛か....。


当たりをキョロキョロする理佐に自分の手をしっかり絡めさせゆっくり帰宅路と歩き出す










たわいのない会話をしながら歩いてると前からチャラチャラしたセンスのカケラも持ちあわせていない男2人組が向かってくるのが見える。 
本能的に嫌な予感を感じ取りながら何もないことを祈るように繋いだ手に力を込める




『大丈夫』



さっきまでの可愛い理佐はもうどこにもいなくて、
片方の空いてる手で髪の毛をかき上げた理佐は映画のワンシーンかのようにカッコ良くて、逞しくて、心臓が飛び跳ねる。
少し大きな手がねるを安心させるようにぎゅっと握り返してくれて身も心もゾッコンとはまさにこの事だと我ながら感心してしまう



 
こんなにいいムードなのに空気読めん人間はなんてナンセンスなんやろう、?


そして嫌な予感はなぜこうも当たるもんなんか…






"おっ、君達可愛いね〜俺らとちょっと遊ばない?"
"やっべ!めっちゃ美人じゃん〜ラッキー"




今日はなんかついとらんな……
せっかく理佐との記念すべき初デートなのに。
次からつぎへと邪魔が入る




『私たち予定あるんで。後、そこ通れないんでどいて下さい』



"気が強いとこも可愛いね〜"
"その予定って俺たちよりも大事なの?"


雰囲気だけ良く見せようとしてるけど顔は大したことない、そこら辺によくいそうなつまらない男。


ナルシストの自己満に付き合う程の女だと思われたのは心外だけど、今そんな事どうでもよか。
ねるは今すぐにでも理佐を食べたか。
何度、理性を働かせて我慢してたと思っとると?




『早くどいて』



"怒った顔もかわいーね。はい強制連行〜"
"俺この子〜!お前はその子な"


「ちょっと、触らな…」


『ねるに触るな』
   

"あ?なんか言った?"


   




 
 


『ねるに触るなって言ってんだよ』








  


理佐が声を上げた瞬間、まるで時が止まった。
怒鳴ったのか、叫んだのかは分からない



1人の男がねるに手をかけようとした手を理佐は掴み、理佐の爪が男の皮膚を破りうっすらと血が滲み出ていた


男は顔を青ざめ怯えて微かに震えているようにも見える






"何なんだよ、この女…頭おかしいんじゃねぇの?"
"も、もう行こうぜ"








「アハハっ可笑しか」



余りにもダサすぎる男達の後ろ姿を見て笑いが込み上げる





『ねる、』





理佐の腕が回り身体が密着する



いつもの理佐とは違う。荒々しく、何度もねるの身体を確かめるように時より苦しげな声を漏らしながら







余裕のない表情の理佐とゆっくり視線が交わる
理佐の視線が私を捕らえて離さない



自分の中の独占欲に苦しむ理佐。
そんな姿さえも愛おしくて嬉しくて、
もっともっと。ねるでいっぱいにしたか、

  


理佐の独占欲なんてねるに比べたら可愛いもの。
ねるは理佐を手にする為なら何でもする


たとえ何かが崩れて壊れたとしても




顔を歪ませ苦しそうな理佐が私に言葉を向ける





『ねるを誰にも、』





理佐の紡ぐ言葉一つ一つで身体中が熱くなる




『触れさせたくない』




あぁ、一体どこまでこの人を好きになってしまうんやろ。誰にも触れさせたくないのも、閉じ込めてしまいたいのも全部こっちの台詞ばい





「理佐の好きにしてよかよ」


 




家に着くまでの間お互いが言葉を交わす事はなかいけど、ねるの歩幅に合わせてくれる所車道を絶対歩かせないところ所々に理佐の優しさが詰まっててそれだけで満たされて。


隣にいてくれるだけで、ねるの生きる意味になってた。





『こっち』




家に着きすぐさま寝室に向かうと思いきや理佐に連れられた先はバスルーム。





「ちょっ、りさ、?」



ねるの声は確かに理佐に届いてるはずなのにまるで聞こえていないような素振りでねるの服を次々に脱がしていく。


決して言葉は交わしてくれないけど
手付きは乱暴どころか驚く程に優しい。
まるで割れ物に触るかのように




露わになったデコルテに歯を立てるまではいかないけどきつく吸い付き自分の跡を残そうとする理佐




「んっ、りさ、!」




儚夜にはキャストに自分の印、跡を残していけないルールが存在する


儚い一夜はその日だけに留めておかなければならない




_____たとえ儚い一瞬の夢だったとしても、
心の中には永遠に残る_____




愛佳さんはそう言いよった


理佐がそれば知らんはずがなか。
昨夜も理佐は見えるところにいくつも跡を残した
けどその行為を止める事なんてねるには出来なくて



いけないって分かっていても、自分の欲を表に出すことのない理佐がそれ程ねるを欲してると思うと嬉しくて、興奮して、今まで破る事はなかった規則なんて一瞬でどうでも良くなってしまう





ねぇ、理佐
今ねるを想ってどんな顔をしてると?



愛おしか?
苦しか?



吸い付いて離れない理佐の顔を両手でゆっくり優しく触れ、顔をあげさせる




「っ…」




綺麗すぎる顔立ちに反して欲に溺れるその表情は余りにも生々しく、その熱すぎる熱で溶けてしまいそうになる




身に纏うものが全て取り払われてなのか、理佐の眼差しを見て興奮したのか、気づけば全身に鳥肌が立っていた





「理佐は脱いでくれんと?」


『ん』




自分の服は乱暴に脱ぎ捨て、そのままボディーソープを泡立て始める理佐





『汚れたからちゃんと洗わなきゃ、ね?』









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