儚夜15






太陽に照らされた君の笑顔は真夏のように熱く
私の心を焦がして溶かす





何年経ってもこうして横に並んで歩くのはあなたとがいい



未来になんて期待なんかしていないのに
自分の望みだけは叶えて欲しい


そう、都合の良い人間だ私は












理佐の長い指が私の指に絡み
この夏の気温と二人の温度で少し汗ばむ






「理佐」


『んー?』


「暑うなか?」


『暑くないよ、手、離した方がいい…?』


「、こんままでよか」


『わたしがねるを守るから。ね?』



毎回理佐はサラッと嬉しい事を言ってくる
しかもキラキラの微笑み付きで。
漫画とかでよくみるキラキラのマークがリアルに今見えとった




さっきからねるばっかドキドキさせられとー気がする。なんか悔しか、






電車に乗る時もねるが人混みに飲まれないように壁と理佐の間に入れてくれて、
所謂壁ドン状態。
少し目線を上げれば愛しい顔がすぐそこにあって
ねるの視線に気づき微笑んでくれる理佐にさっきのお返しとばかりに顔をさらに近づけてキスをせがめば赤面し辺りをキョロキョロして分かり易く同様する理佐。



一瞬、頬に触れる程度のキスをくれた

電車を降りるまでの間、目は合わせてくれなかっだけど理佐の心臓の音が愛を証明するには十分だった。













『満員電車だったねー、』


「そうやったね、理佐が守ってくれたけん満員電車も悪うなか」


『べ、別に当たり前の事をしただけだし…ねるは一人で満員電車乗っちゃダメだからね?ダメ絶対』


「アハッ、理佐は過保護やね」


『心配なんだもん、いいでしょ別に……』


「ありがとう、理佐」


『そ、それよりさ、今日水族館行かない?久々に行きたいな』





恥ずかしくなったのか話を逸らし始める理佐。


“わたしがねるを守るから“って理佐のその気持ちは嬉しか。
でもね、理佐。
あなた今何人の女の子達から熱い視線がきているか知ってると?




“前髪かき上げてる人カッコイイ!“
“ほんとだめっちゃ美人!声かけてみる?“
“今こっち見てくれた!目が合っちゃった!“




ねるだけの理佐なのに、
ねる以外の視線に入らんで、






『____ねる、ねる?』


「え、?あ、ごめん何の話やっけ」


『水族館行きたいって話だよ〜ペンギンさんみたい!』


「そうやったね、いこっか」



“やったー“と子供みたいに笑う理佐が可愛くて
いっそのことねるの中に閉じ込めてしまいたい 


誰も見られないように、
誰にも触れられないように。
そう思いながら繋ぐ手にそっと想いを込める



どうする事も出来ないこの独占欲を伝えたら理佐はどんな反応するかな










『やばい〜!なに〜〜かわいい〜!!』


「可愛かね〜」


『んっ〜〜かわい、』




ペンギンを見て大はしゃぎする理佐が一番かわいかばい。記念に一枚撮っとこう









"カシャ"







"ちょっと!無音で撮らなきゃバレるって!"
"いや、音出した方が高画質で撮れるんだって"
"連れの子のシャッター音だと思うでしょ〜"
"撮ったやつ見せてー、うわぁめっちゃイケメン"











「理佐お腹空かん?」


『お昼にしよっか。ねるにオススメの場所があるんだ〜』






お別れを惜しむ理佐に律儀にお辞儀をするペンギン。
理佐のボルテージは最高潮



『、かわいい、むり、苦しい、、』


「お利口さんやね」


『連れて帰りたい、、また来るからね』




まただ、
またついてくる。
駅で理佐に熱い視線を送っていた子達がさっきからずっと後をつけてきている
鈍感な理佐は気づいているんやろか?
これ以上好きな人との初デートを監視されるのは御免だ






「ねぇ、理佐、」


『大丈夫』




離れないように、と差し出された理佐の手
手を伸ばせば消えてしまいそうなほど儚いその手を掴む
すると悪戯な笑顔を浮かべて『少し走るよ』とねるの手を引いて走り出した





何かのドラマやアニメでありそうなシーンだなと、
どこか客観的感じながら目の前の大好きな人の背中を眺めながら無我夢中で走った






『はぁ、はぁ、もう大丈夫でしょ』


「アハハっ、なんか笑える」


『確かに、ふふっ』


「大の大人二人が全力疾走」


『やばいね』


「やばかね」


『いきなり走っちゃってごめんね、足とか痛くない?大丈夫、?』


「モテる方と付き合うと大変ばい」


『いや、ぜんっぜんモテないからね?ちょっと、ねる、!』


「理佐」


『はい』



“ぐぅ〜“



「早くご飯いくばい」



二人が笑顔になる魔法の音






『手、繋ぐ?』


「当たり前ばい」



優し過ぎるその手を握りながら、ふと思う

たとえ理佐に離してほしいってお願いされたとしてもきっとこの手を離してあげられない
そんな自分勝手な欲が暴走してしまうじゃないかって


理佐だけが大切なのに
理佐だけを守りたいのに


自分の醜い欲にどんなに蓋をしても簡単に崩れてしまいそうで怖くなる

制御できない欲は何より怖い
我に返った時には全てを失ってしまいそうで。




『、ねる?』


「ん、?」


『もしかしてまた考え事してた?思ってることがあったらちゃんとわたしに伝えてね、ねるにはわたしもいるから。もうすぐお店着くから、美味しいものいっぱい食べようね』



どんな些細な事でも気づいて寄り添ってくれようとする
嬉しくて愛おしくて、でも少し恥ずかしくて
何度も恋に落ちるってこの事か、納得。







『「かんぱ〜い」』



「んはぁ〜〜、」


お昼からのお酒は格段にうまか。
これは教科書に載せるべき



『ん〜、おいしい〜』


「お酒もお料理も本当にうまかね」


『でしょ?ここのお店お気に入りなんだ〜しかもほらここの席は死角になるし、人の目も気にせずに済むんだ』



「へぇー、死角ね…」


“死角“
誘ってるようにしか聞こえんよ、理佐



少しだけ……ね?





『ねる、?』


「そっち座ってよか?」


『え?あ、いいけど、どうしたの?』


「なんでもなか」



そう言い理佐の方へ身体を寄せ、
お酒が回り少し火照っている理佐の頬にゆっくり触れる
ビクッと反応してる姿さえも興奮材料にしかならなくて、少しの抵抗を見せる理佐を無視してそのまま顔を近づける



『ちょっと、んんっ、』



抗議の言葉を待たずに理佐の唇を奪う
リップ音を立てながら柔らかい唇の感触を堪能し
無我夢中で何度も同じ行為を繰り返しているとさすがに苦しいのか酸素が続かない理佐が肩を叩いて“知らせてくる“



唇を解放してあげると肩を上げ下げして呼吸する理佐を見て少しやり過ぎたかな、そう思うけど止められない


半開きに開いてる唇を再び奪い理佐の口内に侵入し、互いの温かいソレを交わらせる
“くちゅ“とイヤラしい音と時より漏れる理佐の息遣いが脳内にダイレクトに響き身体の中心が理佐を求め強く疼く




「理佐、」


『っ、はぁ、ここはだめだって、』


「我慢できん」


『っ我慢してくれたら何でも言うこと聞くから、!今は普通にデートがしたい…』


「…せっかくの理佐とのデートやけんね、我慢する」


『、あ、ありがとう』


「そうだ、理佐と行きたか店があると」


『うん、そこ行こ』


「お楽しみは夜に取っとかんばね」











本当は今すぐにでも理佐を食べたかったけど
さすがに本気で怒られそうだし夜の楽しみも増えたって事でよしとしよう






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