キミのいる世界を守れ
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「…ここで負けるわけにはいかないっ…」
大いなる神を前に、満身創痍の星矢は最期の力を振り絞り、小宇宙を高める。
「俺には…帰る場所があるんだ…」
―まだ星矢が聖闘士になって間もない頃のこと。
『星矢っ!お帰りっっ!!』
「ただいま、Kizunaちゃん!俺、約束どおり聖闘士になったんだぜ!」
誇らしげに聖衣の入った箱を担いだ星矢は、星の子学園にやって来た。それを一番に出迎えたのは、星矢の幼馴染みで恋人でもあるKizunaだった。
彼の帰りをひたすら待ち続けたKizunaは涙を浮かべ、星矢と抱き合う。
「心配かけたな」
『ううん…これからは平気だよ』
「俺はずっとKizunaちゃんの傍にいるぜ…」
やがて星矢を見つけた美穂をはじめ、星の子学園にいる子供達も二人のまわりに駆け寄ってきた。
“ずっと傍にいる”
それは紛れもなく星矢の願いであり、嘘の無い言葉であった。
しかし皮肉にも二人を取り巻く運命は廻り始める。
程なく銀河戦争が開催され、その後の聖域での死闘…そして北欧へ旅立つことになった星矢は、久しぶりにKizunaを訪ねて星の子学園に来ていた。
「美穂ちゃん…あのさ、Kizunaちゃん、いるか?」
「…星矢ちゃん……」
美穂によると、Kizunaは先日星の子学園を辞め、今は別の仕事に就くために学校に通い始めたという。Kizunaの住所を聞いた星矢はその場所へと向かった。
「俺は…何も知らなかったんだな…」
Kizunaのアパートへ向かいながら、星矢はふと考える。地上のため、女神のためと命を賭けて闘ってきた自分は、何か大切なものを失いかけているのではないか。だけど、Kizunaならきっと自分のことを理解してくれると信じ、Kizunaのもとへと急いだ。
ピンポーン…
インターホンを押してみるが、中からの返事は無い。時間帯を見ても、おそらくKizunaは学校に行っている時間のようだった。星矢はフウッと溜め息を吐くと、Kizunaの部屋の扉の前に腰を下ろし、膝を抱えて座り込んだ。
「…Kizunaちゃん…」
名前を呟くと、どれほど長い時間、Kizunaに会っていなかったのかを実感する。
どのくらい時間が経ったのか。星矢にひとつの足音が聞こえてきた。ゆっくりと顔を上げると、自分以上に驚いた顔をしたKizunaがいた。
『せ…星矢!?』
自分の名を口にしてくれた愛しい恋人を、星矢は強く抱き締める。
「少し話せるかな…?」
『…うん』
互いに二人の心はもう近くないことを感じていた。
部屋に通された星矢はいつもの明るさとは掛け離れ、俯いてテーブルを見つめている。
Kizunaも星矢の隣で気まずそうに俯いていた。
「今まで本当にゴメンな。俺―…」
『私は平気だから。一人でも大丈夫だったよ。』
「え……」
Kizunaの言葉に顔を上げる星矢。Kizunaは微笑みながら首を傾けている。
『星矢を必要としてる人は沢山いて…私だけの傍にいることなんてできないでしょ。』
「……」
『私も独りで生きてゆく練習してたんだっ』
「でも、俺…!」
“ずっと傍にいる”って決めたのに…誰よりもKizunaの傍に居たかったのに…
『また行くんだよね?』
「…うん。アスガルドに」
『そう…傍に居てくれなくても、私の居るこの世界を守ってね』
星矢はこの時、何か新しい思いに目覚めた。
自分は今、Kizunaと別れてしまうことになるのだけれど、それは永遠の別れではなく、全てが終わった時までの一時的な別れなのではないか、と。Kizunaの笑顔を見ていると、Kizuna自身がそう望んでいるのではないかと思えてきたのだ。
そしてKizunaのいる世界を守ることは、愛するKizunaを守ることでもあるのだから。
「俺、必ず地上を守ってみせるぜ!」
いつもの星矢の笑顔を見たKizunaは一層笑顔を輝かせた。
闘いは終局を迎えている。気の遠くなるような死闘の果てに、最後の敵のもとまで辿り着いた星矢。
全ての人々の希望をその身に背負い、全力で拳を放つ。
拳が軌道を描きながら空を切り裂いて行くのを見つめながら、星矢は一番愛しい人の顔を思い浮かべていた。
「必ず帰るぜ、Kizunaちゃん…!」
~FIN~ →アトガキ
大いなる神を前に、満身創痍の星矢は最期の力を振り絞り、小宇宙を高める。
「俺には…帰る場所があるんだ…」
―まだ星矢が聖闘士になって間もない頃のこと。
『星矢っ!お帰りっっ!!』
「ただいま、Kizunaちゃん!俺、約束どおり聖闘士になったんだぜ!」
誇らしげに聖衣の入った箱を担いだ星矢は、星の子学園にやって来た。それを一番に出迎えたのは、星矢の幼馴染みで恋人でもあるKizunaだった。
彼の帰りをひたすら待ち続けたKizunaは涙を浮かべ、星矢と抱き合う。
「心配かけたな」
『ううん…これからは平気だよ』
「俺はずっとKizunaちゃんの傍にいるぜ…」
やがて星矢を見つけた美穂をはじめ、星の子学園にいる子供達も二人のまわりに駆け寄ってきた。
“ずっと傍にいる”
それは紛れもなく星矢の願いであり、嘘の無い言葉であった。
しかし皮肉にも二人を取り巻く運命は廻り始める。
程なく銀河戦争が開催され、その後の聖域での死闘…そして北欧へ旅立つことになった星矢は、久しぶりにKizunaを訪ねて星の子学園に来ていた。
「美穂ちゃん…あのさ、Kizunaちゃん、いるか?」
「…星矢ちゃん……」
美穂によると、Kizunaは先日星の子学園を辞め、今は別の仕事に就くために学校に通い始めたという。Kizunaの住所を聞いた星矢はその場所へと向かった。
「俺は…何も知らなかったんだな…」
Kizunaのアパートへ向かいながら、星矢はふと考える。地上のため、女神のためと命を賭けて闘ってきた自分は、何か大切なものを失いかけているのではないか。だけど、Kizunaならきっと自分のことを理解してくれると信じ、Kizunaのもとへと急いだ。
ピンポーン…
インターホンを押してみるが、中からの返事は無い。時間帯を見ても、おそらくKizunaは学校に行っている時間のようだった。星矢はフウッと溜め息を吐くと、Kizunaの部屋の扉の前に腰を下ろし、膝を抱えて座り込んだ。
「…Kizunaちゃん…」
名前を呟くと、どれほど長い時間、Kizunaに会っていなかったのかを実感する。
どのくらい時間が経ったのか。星矢にひとつの足音が聞こえてきた。ゆっくりと顔を上げると、自分以上に驚いた顔をしたKizunaがいた。
『せ…星矢!?』
自分の名を口にしてくれた愛しい恋人を、星矢は強く抱き締める。
「少し話せるかな…?」
『…うん』
互いに二人の心はもう近くないことを感じていた。
部屋に通された星矢はいつもの明るさとは掛け離れ、俯いてテーブルを見つめている。
Kizunaも星矢の隣で気まずそうに俯いていた。
「今まで本当にゴメンな。俺―…」
『私は平気だから。一人でも大丈夫だったよ。』
「え……」
Kizunaの言葉に顔を上げる星矢。Kizunaは微笑みながら首を傾けている。
『星矢を必要としてる人は沢山いて…私だけの傍にいることなんてできないでしょ。』
「……」
『私も独りで生きてゆく練習してたんだっ』
「でも、俺…!」
“ずっと傍にいる”って決めたのに…誰よりもKizunaの傍に居たかったのに…
『また行くんだよね?』
「…うん。アスガルドに」
『そう…傍に居てくれなくても、私の居るこの世界を守ってね』
星矢はこの時、何か新しい思いに目覚めた。
自分は今、Kizunaと別れてしまうことになるのだけれど、それは永遠の別れではなく、全てが終わった時までの一時的な別れなのではないか、と。Kizunaの笑顔を見ていると、Kizuna自身がそう望んでいるのではないかと思えてきたのだ。
そしてKizunaのいる世界を守ることは、愛するKizunaを守ることでもあるのだから。
「俺、必ず地上を守ってみせるぜ!」
いつもの星矢の笑顔を見たKizunaは一層笑顔を輝かせた。
闘いは終局を迎えている。気の遠くなるような死闘の果てに、最後の敵のもとまで辿り着いた星矢。
全ての人々の希望をその身に背負い、全力で拳を放つ。
拳が軌道を描きながら空を切り裂いて行くのを見つめながら、星矢は一番愛しい人の顔を思い浮かべていた。
「必ず帰るぜ、Kizunaちゃん…!」
~FIN~ →アトガキ
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