2月14日
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今日は2月14日
“聖バレンタイン・デー”
乙女たちの聖なる祭りの日である。
「こんにちは、Kizuna。お邪魔するわね。」
『いらっしゃい、沙織!さ、上がって。狭いところだけど。』
「大丈夫。今日は先生と呼ばせてもらうわvv」
Kizunaと城戸沙織は幼馴染み。庶民的な暮らしをするKizunaと大富豪の沙織だったが、二人は姉妹のように仲が良かった。
沙織はその特殊な生活環境から、バレンタインという文化を知る由もなく、今年になって初めてKizunaから聞かされた。そこで沙織はいつも自分を守ってくれる星矢以下青銅聖闘士全員に手作りチョコを配ることにしたのである。
もちろん手作りチョコを作るのも初めてなわけで、前日13日の今日、Kizunaのアパートで一緒に作る約束をしていた。
「辰巳は外にいてね。」
「かしこまりました、お嬢様…ι」
チョコを湯煎で溶かし、型に流し込む。あとは好きなように飾りつければ出来上がり…
『ね、すっごい簡単でしょ!』
「本当だわ!とっても楽しいわねvv」
二人ともキャッキャッと言いながら作業を進めていく。そしてあっという間に沙織は人数分のチョコを完成させた。
「明日、コレをみんなに渡せばいいのね。…あら?Kizunaは1つしか作らなかったの?」
『うんっ!私は一番大切な人にしか渡さないのvv本命ってやつね。』
「Kizunaの本命って誰なのかしら?私の知ってる人??」
『今は秘密!明日になれば分かるからvv沙織もよく知ってる人だよ。』
ともあれ、あとは明日を迎えるばかり。
沙織はKizunaの本命が気になりつつも、辰巳と共に自宅へと帰っていった。
「はい、星矢。いつもありがとう。これ、よかったら食べて。」
「え!なにこれ!!沙織さんから俺に!?…わぁー、チョコレートじゃん!!サンキューなっ」
予想通りいい反応を示す星矢。沙織もニッコリする。
「ところで星矢?Kizunaからもチョコレート、貰った?」
「へ?Kizunaちゃんから?Kizunaちゃんもくれんのか!?マジかよ~、俺モテモテじゃん♪いつくれんの?どこにいんの??」
「…最近Kizunaのことで何か気づいた事とかあるかしら?」
「ん~~?いや、特にないぜ。この前フザけてKizunaちゃんに抱きついたら、おもっきりブン殴られたけど。……はっ!!それってもしかして愛情の裏返し、ってヤツか!?沙織さん!」
「…いえ…たぶん違うわ、星矢。じゃ、私はこれで。」
――コイツじゃないわね…沙織は直感的にそう感じた。
「沙織さんが、これを俺に…?」
「ええ紫龍!いつもありがとう。バレンタインだから。」
突然の沙織からのチョコに驚きを隠せない紫龍であったが、丁寧にお礼を言って受け取った。
「ところで紫龍?もしかしてKizunaもあなたにチョコを渡しに来なかったかしら?」
「Kizuna?…いえ、まだ何も。Kizunaも俺に渡そうとしているのですか?」
「さぁ…それが私にも分からないの。昨日一生懸命作っていたのだけれど、それが誰のためなのか…。」
「一生懸命に……!こうしてはいられん!!」
紫龍はふと何かを想い出したかのように、立ち去ろうとした。
「紫龍!?どこへ行こうというのですか?」
「沙織さん、俺は五老峰へ戻ります!この紫龍、恥ずかしながら、バレンタインについては無知に等しい。老師にきちんとお伺いせねば、一生懸命なKizunaの気持ちを受け取るわけにはいかないのです!!」
紫龍はあっという間に走り去ってしまった。沙織は思った…――面倒臭いわね…これも無し、ね。
「氷河ぁ!そんなにどうしたのです!?」
「ああ、沙織さん!ちょうどいい所に。これ、城戸邸の倉庫にでも一旦預かってくれませんか?」
沙織が氷河を見つけたとき、彼は何処で手に入れたのかリアカーをゴロゴロと引っ張っていた。荷台にはチョコやらプレゼントやらてんこ盛り…
「ちょっと街をブラついていただけなのに、あっという間にこんなにも。ふ~っ、目立つんだよな、俺。」
「じゃぁ…私からのは必要ありませんね。」
沙織は氷河に渡そうと思っていたチョコをバッグに戻そうとしたが、氷河はその手を掴む。
「沙織さんからの…アテナからの贈り物は特別です。光栄に思います。」
「氷河…ι。まぁ、いいでしょう。いつも感謝しているのは事実ですから。…ところで氷河?Kizunaからも貰ったのかしら?」
「Kizuna?そういえば…まだだったな。きっと今頃、俺を探しているに違いない。では俺はこれで!あとでこの荷物、持っていきます!」
――Kizunaのチョコがあのリアカーで運ばれてきませんように。沙織は心から祈っていた。
「瞬、ここにいたのね。はい、これ。」
「こんにちは沙織さん。…これってチョコですね!ありがとうございますvvえへっ、じつは僕も作ってみたんです。よかったらどうぞ。」
女の子のイベントだというのに、手作りチョコを作ってくるあたり、なんとも律儀である。沙織はそんな瞬の心遣いを微笑ましく思った。
「まあ、瞬!有り難く頂くわね。あ、Kizunaからは貰ったかしら?」
「Kizunaさんからですか?いいえ、僕はまだ…。僕なんかきっと彼女には貰えませんよ。彼女のタイプは男らしい人だって、この前言ってましたから…きっと兄さんみたいな人がいいんだ…」
なんだか悲しそうに下を向く瞬。いつものマイナス志向が垣間見える。
「そ、そう…。でも瞬はそのままで十分素敵よ。とても優しくて芯の強い聖闘士でしょ?ね?」
「ありがとう!沙織さん!!僕、もっと強くなれるように頑張るからね。」
世話の焼ける子ほど可愛いというが、確かに瞬じゃあKizunaには物足りないかも…と沙織は思うのであった。
「一輝!こんなところに居たのですね。これをあなたにも渡そうと思って探していたのよ。」
「これは沙織お嬢さん。ん?なんだ、これは?」
「チョコレートです。日頃の感謝を込めて。」
一輝は沙織から渡された小箱を怪訝そうに眺める。どうやら彼もバレンタインというイベントは知らなかったらしい。
「フッ…ま、くれるという物は有り難く受け取ることにしておこう。」
「それで…Kizunaからも何か貰ったかしら?」
「Kizuna?あいつも何か俺にくれるつもりなのか?」
「いえ…一輝に上げるのかどうかは分からないんだけど…もしかしたら、と思って。」
「フン。チマチマと女たちは何をやっているのだ?言いたいことがあるなら、さっさと言いに来ればいいものを。」
「…一輝、もしKizunaが来ても、絶対にそんな態度は取ってはいけませんよ。あなたによってKizunaの心が傷ついたときは――…(怒)」
「うっ…アテナ…!?」
親友想いの沙織の小宇宙は爆発寸前だった。
その後、沙織は邪武や市、蛮に檄と青銅聖闘士たちにチョコを配って歩いたが、誰一人としてKizunaからの本命チョコを受け取っていたものはいなかった。
一日歩き回って疲れきった沙織は、城戸邸に戻り自室へと向かった。
「お帰りなさいませ、お嬢様。」
「ええ、ただいま辰巳……!!まさか!」
辰巳の顔を見て、沙織はハッとした。
「はぁ?」
「辰巳、あなた…もしかして今日Kizunaに会ったかしら?」
「はい。お嬢様が戻られる少し前に。」
ガーーーーーンΣ!!!
Kizunaの本命は……辰巳!?
沙織は放心状態に陥る。二人がラブラブになっている絵柄を想像し、倒れそうになった。
「Kizunaはお嬢様に渡したいものがあるからと。もうお部屋に届けさせております。」
「えぇっ!!?」
急いで沙織は自室に行き、自分の机を見た。
そこには綺麗にラッピングされた箱がひとつ。封筒に入ったカードにはKizunaからのメッセージが添えられていた。
“大好きな沙織へ
いつも頑張っている沙織、たまには甘いものでも食べてリラックスしてね。感謝を込めて。Kizuna”
「Kizuna…あなたって子は…///」
チョコの甘みと共に沙織の胸に温かいものが広がってゆく。
私が守るべき地上は、なんて素晴らしいのだろうと改めて実感した一日だった。
~FIN~ アトガキ→
“聖バレンタイン・デー”
乙女たちの聖なる祭りの日である。
「こんにちは、Kizuna。お邪魔するわね。」
『いらっしゃい、沙織!さ、上がって。狭いところだけど。』
「大丈夫。今日は先生と呼ばせてもらうわvv」
Kizunaと城戸沙織は幼馴染み。庶民的な暮らしをするKizunaと大富豪の沙織だったが、二人は姉妹のように仲が良かった。
沙織はその特殊な生活環境から、バレンタインという文化を知る由もなく、今年になって初めてKizunaから聞かされた。そこで沙織はいつも自分を守ってくれる星矢以下青銅聖闘士全員に手作りチョコを配ることにしたのである。
もちろん手作りチョコを作るのも初めてなわけで、前日13日の今日、Kizunaのアパートで一緒に作る約束をしていた。
「辰巳は外にいてね。」
「かしこまりました、お嬢様…ι」
チョコを湯煎で溶かし、型に流し込む。あとは好きなように飾りつければ出来上がり…
『ね、すっごい簡単でしょ!』
「本当だわ!とっても楽しいわねvv」
二人ともキャッキャッと言いながら作業を進めていく。そしてあっという間に沙織は人数分のチョコを完成させた。
「明日、コレをみんなに渡せばいいのね。…あら?Kizunaは1つしか作らなかったの?」
『うんっ!私は一番大切な人にしか渡さないのvv本命ってやつね。』
「Kizunaの本命って誰なのかしら?私の知ってる人??」
『今は秘密!明日になれば分かるからvv沙織もよく知ってる人だよ。』
ともあれ、あとは明日を迎えるばかり。
沙織はKizunaの本命が気になりつつも、辰巳と共に自宅へと帰っていった。
「はい、星矢。いつもありがとう。これ、よかったら食べて。」
「え!なにこれ!!沙織さんから俺に!?…わぁー、チョコレートじゃん!!サンキューなっ」
予想通りいい反応を示す星矢。沙織もニッコリする。
「ところで星矢?Kizunaからもチョコレート、貰った?」
「へ?Kizunaちゃんから?Kizunaちゃんもくれんのか!?マジかよ~、俺モテモテじゃん♪いつくれんの?どこにいんの??」
「…最近Kizunaのことで何か気づいた事とかあるかしら?」
「ん~~?いや、特にないぜ。この前フザけてKizunaちゃんに抱きついたら、おもっきりブン殴られたけど。……はっ!!それってもしかして愛情の裏返し、ってヤツか!?沙織さん!」
「…いえ…たぶん違うわ、星矢。じゃ、私はこれで。」
――コイツじゃないわね…沙織は直感的にそう感じた。
「沙織さんが、これを俺に…?」
「ええ紫龍!いつもありがとう。バレンタインだから。」
突然の沙織からのチョコに驚きを隠せない紫龍であったが、丁寧にお礼を言って受け取った。
「ところで紫龍?もしかしてKizunaもあなたにチョコを渡しに来なかったかしら?」
「Kizuna?…いえ、まだ何も。Kizunaも俺に渡そうとしているのですか?」
「さぁ…それが私にも分からないの。昨日一生懸命作っていたのだけれど、それが誰のためなのか…。」
「一生懸命に……!こうしてはいられん!!」
紫龍はふと何かを想い出したかのように、立ち去ろうとした。
「紫龍!?どこへ行こうというのですか?」
「沙織さん、俺は五老峰へ戻ります!この紫龍、恥ずかしながら、バレンタインについては無知に等しい。老師にきちんとお伺いせねば、一生懸命なKizunaの気持ちを受け取るわけにはいかないのです!!」
紫龍はあっという間に走り去ってしまった。沙織は思った…――面倒臭いわね…これも無し、ね。
「氷河ぁ!そんなにどうしたのです!?」
「ああ、沙織さん!ちょうどいい所に。これ、城戸邸の倉庫にでも一旦預かってくれませんか?」
沙織が氷河を見つけたとき、彼は何処で手に入れたのかリアカーをゴロゴロと引っ張っていた。荷台にはチョコやらプレゼントやらてんこ盛り…
「ちょっと街をブラついていただけなのに、あっという間にこんなにも。ふ~っ、目立つんだよな、俺。」
「じゃぁ…私からのは必要ありませんね。」
沙織は氷河に渡そうと思っていたチョコをバッグに戻そうとしたが、氷河はその手を掴む。
「沙織さんからの…アテナからの贈り物は特別です。光栄に思います。」
「氷河…ι。まぁ、いいでしょう。いつも感謝しているのは事実ですから。…ところで氷河?Kizunaからも貰ったのかしら?」
「Kizuna?そういえば…まだだったな。きっと今頃、俺を探しているに違いない。では俺はこれで!あとでこの荷物、持っていきます!」
――Kizunaのチョコがあのリアカーで運ばれてきませんように。沙織は心から祈っていた。
「瞬、ここにいたのね。はい、これ。」
「こんにちは沙織さん。…これってチョコですね!ありがとうございますvvえへっ、じつは僕も作ってみたんです。よかったらどうぞ。」
女の子のイベントだというのに、手作りチョコを作ってくるあたり、なんとも律儀である。沙織はそんな瞬の心遣いを微笑ましく思った。
「まあ、瞬!有り難く頂くわね。あ、Kizunaからは貰ったかしら?」
「Kizunaさんからですか?いいえ、僕はまだ…。僕なんかきっと彼女には貰えませんよ。彼女のタイプは男らしい人だって、この前言ってましたから…きっと兄さんみたいな人がいいんだ…」
なんだか悲しそうに下を向く瞬。いつものマイナス志向が垣間見える。
「そ、そう…。でも瞬はそのままで十分素敵よ。とても優しくて芯の強い聖闘士でしょ?ね?」
「ありがとう!沙織さん!!僕、もっと強くなれるように頑張るからね。」
世話の焼ける子ほど可愛いというが、確かに瞬じゃあKizunaには物足りないかも…と沙織は思うのであった。
「一輝!こんなところに居たのですね。これをあなたにも渡そうと思って探していたのよ。」
「これは沙織お嬢さん。ん?なんだ、これは?」
「チョコレートです。日頃の感謝を込めて。」
一輝は沙織から渡された小箱を怪訝そうに眺める。どうやら彼もバレンタインというイベントは知らなかったらしい。
「フッ…ま、くれるという物は有り難く受け取ることにしておこう。」
「それで…Kizunaからも何か貰ったかしら?」
「Kizuna?あいつも何か俺にくれるつもりなのか?」
「いえ…一輝に上げるのかどうかは分からないんだけど…もしかしたら、と思って。」
「フン。チマチマと女たちは何をやっているのだ?言いたいことがあるなら、さっさと言いに来ればいいものを。」
「…一輝、もしKizunaが来ても、絶対にそんな態度は取ってはいけませんよ。あなたによってKizunaの心が傷ついたときは――…(怒)」
「うっ…アテナ…!?」
親友想いの沙織の小宇宙は爆発寸前だった。
その後、沙織は邪武や市、蛮に檄と青銅聖闘士たちにチョコを配って歩いたが、誰一人としてKizunaからの本命チョコを受け取っていたものはいなかった。
一日歩き回って疲れきった沙織は、城戸邸に戻り自室へと向かった。
「お帰りなさいませ、お嬢様。」
「ええ、ただいま辰巳……!!まさか!」
辰巳の顔を見て、沙織はハッとした。
「はぁ?」
「辰巳、あなた…もしかして今日Kizunaに会ったかしら?」
「はい。お嬢様が戻られる少し前に。」
ガーーーーーンΣ!!!
Kizunaの本命は……辰巳!?
沙織は放心状態に陥る。二人がラブラブになっている絵柄を想像し、倒れそうになった。
「Kizunaはお嬢様に渡したいものがあるからと。もうお部屋に届けさせております。」
「えぇっ!!?」
急いで沙織は自室に行き、自分の机を見た。
そこには綺麗にラッピングされた箱がひとつ。封筒に入ったカードにはKizunaからのメッセージが添えられていた。
“大好きな沙織へ
いつも頑張っている沙織、たまには甘いものでも食べてリラックスしてね。感謝を込めて。Kizuna”
「Kizuna…あなたって子は…///」
チョコの甘みと共に沙織の胸に温かいものが広がってゆく。
私が守るべき地上は、なんて素晴らしいのだろうと改めて実感した一日だった。
~FIN~ アトガキ→
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