🐺 -beast side-
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#05 第二日目(2)
宮舘さんのまさかの告白
完全に動揺している佐久間さんと目が合った
聞いてないって___そんな目をしていた
ラウール「___え?」
声がした先には、目をまん丸にしたラウールくんがいた
深澤「どうしたのラウ」
ラウール「や___何でもない」
ラウールくんはそのまま俯いた
阿部「そっか___て事は舘さんの言う事を信じると人狼はまだ三人いるんだね」
阿部さんは深刻な表情を見せた
私はそれどころじゃなかった
確かに霊媒師は、死んだ人が村人陣営だったか人狼陣営だったかのみを知る事ができる
だから人狼が霊媒師を名乗り出る事は可能である
ただ本物の霊媒師が生きていて、
上手くアリバイを作れなかった場合______
私は怖くなって考える事をやめた
渡辺「ごめん、部屋戻っていい?キツい」
場の空気に耐えられなくなったのか、頭を掻きながら渡辺さんはボソッと呟いた
流石に朝から全ての出来事がハイカロリー過ぎる
受容するにも限界がある
その言葉に催促されたかのように、おぼつかない足取りで七人は続々と場を去った
私も自室へ戻ることにした
部屋のドアを押し開け、私はベッドに飛び込んだ
相変わらずベッドは硬く、体が大きく跳ね返った
___霊媒師か
どういうつもりで、宮舘さんはあんな事言ったのだろうか
確かに霊媒師を名乗るのが最善、かもしれない
間違った事を言ってしまうなんて事はないから
しかし冷静に考えてみると、理子と向井さんは恐らく共有者だと考えられるけれど、
目黒さんは騎士以外の村人陣営としか推測できない
彼が霊媒師だった確率はそんなに高くない
まだ霊媒師を名乗るには早いように思われた
いや、彼の事だからきっと
私には思いつかないような考えがあってそう言ったんだろう
私は宮舘さんを信じる事にした
とりあえず、二人と話す時間をまた取らなければ
私は適当な時間に二人に声を掛けることにした
それにしても、朝からエネルギーを使いすぎている
睡眠時間は5時間程取れているが、心労で既に体は悲鳴を上げている
私はもう一度寝ようと思い立った
体の向きを変え、瞼を閉じた
扉を叩く音がした
◯◯「___はい?」
寝ようと思った瞬間の突然の来客に少しだけ困惑した
ベッドから這い出て、扉を開けた
佐久間さんだった
◯◯「ああ、佐久___」
安堵の声が漏れた私の口を、佐久間さんはいきなり人差し指で封じた
佐久間「シーっ、バレちゃうから」
彼は聞こえるか聞こえないかくらいの小声で囁いた
ああ、そうか
きっと今日どう動くかを話し合いに来たんだな
そう思った
しかし顔にはやんちゃな笑みを浮かべている
よく分からないが、私も小声にならざるを得なかった
◯◯「___なんですか?」
佐久間さんはニヤリと笑った
佐久間「誘いに来たんだよね」
予想の斜め上をいく返事が返ってきた
遊び心を含んだその声に不覚にも可愛らしさを感じた
◯◯「___何に?」
佐久間「俺のモーニングルーティーン」
得意げな顔をして佐久間さんは言った
ちょっとよく分からない
◯◯「え、お供しろって事ですか?」
佐久間「ぴんぽーん、正解」
なんでこんなに楽しそうなんだろう
相変わらず変な人、そう思いながらも特に断る理由もなかった為彼のモーニングルーティーンに付き合う事にした
私が同意したことを察した佐久間さんは、やったね、と言わんばかりの表情を見せた後
くるりと後ろを向いて歩き始めた
私は一歩先を歩く佐久間さんの後ろを渋々ついていった
◯◯「何なんですか、モーニングルーティーン」
佐久間「まあ見てれば分かるって」
彼は止まることなく歩き続けた
徐々に見慣れない景色が目の前に広がっていく
なんせ、この建物には広間と自室と食事部屋がある事くらいしか知らない
心做しか新鮮だった、こんな所あるんだ
佐久間さんの後を追い、辿り着いた先は屋上だった
そこからの景色はそんなに魅力的ではなく、随分と背が高い木々が辺り一面に広がっているだけであった
◯◯「屋上なんてあったんだ」
佐久間「そうだよ、昨日見つけたんだよね」
佐久間さんはそう言って地べたに座り込んだ
佐久間「ほら、お前も座れよ」
促された私は佐久間さんと向き合うように座った
太陽が出ていない間に冷えきったコンクリートの冷たさが身体中に伝わった
一体なにを始めるんだろう
私は佐久間さんを凝視した
佐久間「で、どう思う?」
佐久間さんは前のめりになりながら尋ねた
なんだ、やっぱりそれか
彼の"モーニングルーティーン"は私と話す為のただの口実だったらしい
少し真に受けていた自分を恥ずかしく思った
私は悔しさを込めて皮肉っぽく言ってみた
◯◯「意外と上手に嘘つくんですね」
佐久間「当たり前だろ、この状況でモーニングルーティーンに人誘うやつなんかいねぇよ笑」
佐久間さんはケラケラ笑っている
◯◯「佐久間さんなら有り得る話かと」
佐久間「お前言ったな?笑」
お前面白いじゃん、そう言って佐久間さんは陽気に笑い続けた
昨日の佐久間さんはどこに行ったんだろう
やっぱり、変な人
佐久間「___でさ」
そう言うと佐久間さんは真剣な面持ちを浮かべた
佐久間「なんでだと思う?」
彼が話題にしたい事はよく分かっていた
◯◯「___霊媒師」
佐久間「そう」
佐久間さんは答えた
何かを期待するかのように私の目をじっと見ている
とはいえ申し訳ないが
どう思う?って聞かれても答えられないのが正直なところ
返事に困った
◯◯「や___それが全然」
これ以上言いようがなく、私は黙り込んだ
佐久間さんは一瞬驚いた表情を見せた、が、すぐに顔が緩んだ
佐久間「___やっぱそうだよな〜〜あ〜わかんね!」
彼は両手を広げ体を倒し、仰向けになった
佐久間「俺わかんないんだよねー、バカだから」
彼は自嘲気味に言う
佐久間「霊媒師って言っていいのかさえもわかんない」
彼がそう思う理由はよく分かる
賭けにしてはまだリスクが大きすぎる
これは事実だった
私は尋ねてみた
◯◯「佐久間さんだったらどうしますか」
佐久間「なにが?」
◯◯「霊媒師が生きてる可能性が高い中で、霊媒師を名乗ろうと思いますか」
佐久間さんは腕を組んで考え始めた
なにやらもう一人の自分と話し合ってる
私は彼の答えを気長に待った
しばらくして佐久間さんは口を開いた
佐久間「名乗れるけど___俺が同じ状況ならまだ怖くて言えないと思う」
◯◯「だよね、ちなみにどうして?」
佐久間「だって現にさ、康二と理子さんは多分共有者だったじゃん、って事は残り考えてもめめが霊媒師だった確率そんな高くないって事じゃん」
その通りだった
私は首を大きく縦に振り、同調した
佐久間「これもしかしたらバレるのも___」
宮舘「時間の問題だよね」
佐久間「うん___え?」
聞き覚えのある声がした
慌てて声のする方に顔を向けると、宮舘さんが立っていた
◯◯「___びっくりした」
宮舘「それはこっちのセリフ、気づかなさすぎ」
佐久間「いつから居たの?」
宮舘「結構前」
どうやら真剣に話していたせいか
宮舘さんが来ていた事に私達は気づかなかったらしい
佐久間「え待って、今来て怪しまれない?みんなに」
宮舘「みんな部屋戻ってたから多分大丈夫」
宮舘さんはゆっくりと腰を下ろした
とはいえ、ようやく三人が一堂に会する事が出来た
彼の話をしている最中に本人がやってきたこの機会に、さっき話し合ってた事について色々聞いてみることにした
◯◯「___ていうか、よくあんな嘘つけましたね、すごい勇気」
宮舘「正直賭けだよね、一か八か、上手くいけばいいけど」
◯◯「本物の霊媒師がもう死んでるなら都合いいけど、可能性めちゃめちゃ低いですよね」
佐久間「それに康二と理子さんが共有者だったなら、めめがどうだったかって話でしかないし」
宮舘「それは俺も思ってる、でも」
宮舘さんは真っ直ぐ私達を見た
宮舘「その可能性がない訳じゃない、俺はそれに賭ける事にした」
彼は腹を括っているようだ
佐久間「___大丈夫なのそれ、霊媒師多分生きてるよ?」
宮舘「俺らの考えはあくまでも推測だからさ、康二の相棒が理子さんって決まった訳じゃないし、霊媒師が生きていたとしても俺が先に言い出してる分有利だと思う、どうかな」
確かにそうかもしれない、と思った
向井さんが共有者の相棒の名前を言わなかったのは、相棒が生きていて口止めされていたからかもしれないし、逆に共有者である事は実際苦し紛れの嘘だったからかもしれない
そうすると理子が霊媒師だった可能性だって出てくるし、もちろん目黒さんが霊媒師だった可能性だってある
それに今晩本物の霊媒師が名乗り出たとしても、宮舘さんが先に名乗り出ている以上多少有利、というか何とかなる部分はあるだろう
彼の"霊媒師宣言"は、それを踏まえての発言だった
立派だった
宮舘さんは勢いよく立ち上がった
宮舘「俺は完璧な霊媒師を演じ切るよ、絶対に負けない」
そういう彼の目に濁りはなかった
佐久間「___いいんだな?それで」
宮舘「ああ」
不安げな佐久間さんを差し置き、彼は言った
宮舘「俺を、信じてくれ」
強い眼差しが、胸に突き刺さった
宮舘「完全に詰んだ時はさ、その時はその時、別に裏切ったっていい」
これは彼なりの覚悟だ、そう思った
◯◯「信じます」
私は気づけばそう言っていた
佐久間「俺も、涼太の事信じる」
彼の声には力が込められていた
佐久間「絶対、生きて帰ろう」
私達は強く心に誓った
そこからどれくらい話しただろうか
これ以上長居すると誰かに見つかってしまうかもしれない、と
二人は時間差で屋上を去った
私はもうしばらく屋上に居ることにした
屋上には時計がなく、時間を確認する事は出来なかった
私は自分の腹時計に時の感覚を委ね、隙間なくそびえ立つ木々を眺めていた
___絶対生きて帰ろう、か
昨晩あれ程弱腰になっていた彼の口から出たとは思えないような、頼りになる発言だった
そういえば彼、昨日までは状況を把握しきれなくておろおろしてたり、一歩後ろに引いたりして消極的な印象を受けたが
どうやら今日は様子が違う
腹を括ったような、覚悟を決めたような、そんな印象だ
顔つきもまるで違う
今の彼ほど頼もしい人はいなかった
今晩は頼っていいかも、そう思った
生きて帰れたら、いや、生きて帰ったら何をしようか
急に拉致されてこんなゲームをさせられました!犯人を捕まえて下さい!って私は警察に乗り込みに行けるだろうか
いや
この手を一度赤く染めてる以上、多分、無理だ
警察もそんな嘘みたいな話信じずに私を凶悪犯として捕まえるだろう
___死ぬまで恨んでやる
私は立ち上がり大きく息を吸い込んだ
新鮮な空気が身体中を駆け巡り、鳥肌が立った
腹時計はまだ昼の訪れを伝えていなかったが、私は徐ろに自室に戻った
自室に戻り、再びベッドに飛び乗った
寝転がりながら目で捉えた時計は、じきに短針が11の文字に重なりそうだった
随分と長い間上にいたんだなと思った
私はまだその時、部屋の違和感に気づいていなかった
とりあえず私は万が一の事を考えて
投票までの時間を、記憶の限り今分かっている私達の関係性を洗い出すのに費やすことにした
部屋に備えつけられていた無地のノートを開き、紙と相性の悪いボールペンを手に持って昨晩の投票先や気づいた事を全て書き出し始めた
本投票はあの場の勢いで全員向井さんに投票していたはずだからあまりあてにならない
遡って予備投票から考えよう
私はまず全員の名前をノートに書いた
あの場で向井さんに投票したのは確か4人、しかし誰かは覚えていないのでとりあえずパス
宮舘さんに投票したのは向井さんと阿部さんだった気がする
阿部さんに関しては私がちょっかいを出した記憶がまだ新しい
彼らの名前の隣に"→宮舘"と書き足した
私は睨まれながらも真正面にいた渡辺さんに投票した、理由は適当だ
そして佐久間さんは確か深澤さんに投票していたが、彼も多分適当だろう
問題はラウールくんだ、彼は私に投票している
どうして私を疑ったのだろうか
シンプルに部外者だからかもしれないし、何か理由があるのかもしれない
___どっちにしろ、やっぱり彼は鋭いところを突いてくる
予備投票を提案したのもラウールくんだ
彼がもし霊媒師だったら?
______厄介な事になりそうだ、そう思った
私は"ラウール"の文字をグリグリと丸で囲った
目黒さんは誰に投票していただろうか、これも記憶にない
だが彼は何となく雰囲気とかで選びそうだ
私は考察を進めた
ボールペンを持つ手は止まらなかった
役職はどうだろうか
向井さんと理子が共有者だった事、そして目黒さんが村人だった事を前提として考えると
まだ占い師も騎士も霊媒師も5人の中に居ることになる
気になったのは、深澤さんラウールくん岩本さんの三人だ
ラウールくんは、宮舘さんが霊媒師を名乗った時の反応が少し怪しい気がした
まるで、自分が霊媒師なのに!___そんな反応だった気がした
岩本さんはシンプルに黙りすぎている
そういう人なのかもしれないが、今朝の感じだと物静かなタイプではないだろう
よって何かしらの役職を持っていると考えてもいいだろう
それに黙り込んでいる以上、上手く人狼に仕立て上げる事ができるかもしれない
そして深澤さんはとにかくおかしい
初対面の女を相手に容易く近寄りすぎだ
もしかしたらそうやってつけ込むことによって人狼の匂いを嗅ぎ当てているのかもしれない
これからの動向次第だが、今晩はこの中から一人やっておきたいところ
今日は昨日よりも早く広間で待機して、獲物候補の三人を物色しよう
そう思い、彼ら三人の名前の左隣に星印を付け加えた
扉を叩く音がした
我に返って頭を上げた
時計は午後3時を示していた
___うわ、寝たんだ
寝起きで意識もままならない状態で慌てて扉を開けた
◯◯「___はい?」
深澤「俺なんだけど、ってお前顔ヤバ」
私の元に訪れて来たのは深澤さんだった
寝起きで出るのが一番悪いが、会って早々なかなかな悪口を言うもんだ
◯◯「失礼な」
深澤「マジでウケんだけど笑」
びっくりするほど話聞かないなこの人は
私の顔を見てはヘラヘラと笑っている
扉を閉めてやろうと思ったが、優しい私はそんな事はしてあげなかった
私はできるだけ目つきを悪くして尋ねてみた
◯◯「何の用ですか」
深澤「なに、威嚇してんの?可愛いな〜」
深澤さんは私のボサボサの髪をわしゃわしゃと乱した
別に犬じゃないんだが
深澤「いや、投票まで暇だから上でお茶でもしない?って誘いに来ただけ」
本日二度目のお誘いだ
◯◯「お茶、ですか?」
深澤「そ」
正直あまり気乗りしなかった
これも人狼を炙り出す為のつけ込みかと思うと複雑な思いを抱いた
黙り込んだ私の顔を深澤さんが窺う
深澤「ダメ?」
そのしょんぼりとした表情に、不覚にも申し訳なさを感じた
今朝の佐久間さんのお誘いもそうだが、もしかしたら何か得する事が意外とあるかもしれない
◯◯「仕方なしですからね」
彼の誘いに乗ることにした
私達は二階の食事部屋へ向かった
軽食にもってこいの時間帯のはずが、部屋には誰もいなかった
大きなダイニングテーブルが、小窓から差し込む太陽の光を反射して輝いていた
今朝と同じ部屋のはずなのに、随分と違う印象を受けた
深澤「いやー、午前中からどこにいるか探してたんだよねー」
深澤さんは慣れた手つきでダンボールを漁り、スティックタイプのカフェオレを発掘していた
◯◯「カフェオレを?」
私は備え付けのコーヒーマシーンでブラックコーヒーを淹れた
深澤「んなわけねえだろバカ、お前を探してたんだよ」
彼は粉末のカフェオレを入れたカップに、量を計ることなく大雑把にお湯を注いだ
明らかにお湯を入れすぎていて、何だか美味しくなさそうだ
◯◯「屋上にいたので見つけにくかったかもですね、すみません」
深澤「そりゃ見つかんないはずだわー、部屋まで探しに行ったのに」
◯◯「___部屋?」
思わずマシンからカップを取り出す手を止めた
◯◯「何、もしかして勝手に女の子の部屋に入ったの?」
一瞬、目が泳いだように見えた
が、彼も一枚上手だった
深澤「入ってねえよ、覗いただけ笑」
ごめんね!と言わんばかりに両手を合わせて舌を出している
彼の嘘か本当か分からないこの感じに相変わらず不信感が募るが、今回ばかりは思わず笑ってしまった
普通に覗いてんじゃん
私達はひんやりとした椅子に腰掛けた
コーヒーを口に含み一息つくと、深澤さんが口を開いた
深澤「ごめんねー昨日も今日も相手してもらっちゃって」
◯◯「いいえとんでもない」
よくよく考えたら昨日もこの人はちょっかいを出してきた
とんでもないとか言っておきながらまあいい迷惑だ
深澤「俺さ人と喋ってないとなんか落ち着かないんだよね、職業病ってやつ」
◯◯「お仕事何されてるんでしたっけ」
深澤「美容師」
どうやら昨日からのつけ込みは本能的なものだったようだ
美容師なんて女性客を相手にする事が多いだろうし、無理はない
油断はできないが、勝手に疑いをかけた事に申し訳なさを感じた
◯◯「話し相手くらいなら、いつでも」
私はお詫びのつもりで言ってみた
深澤「マジ?」
深澤さんは目を輝かせ、喜びを隠しきれない顔を見せた
彼のスイッチを入れてしまったようだ
話し上手な美容師さんの手にかかるとお話なんてお手の物、私達は改めて自己紹介から始め普段の自分の話や過去の話をした
やはり彼の饒舌ぶりに脱帽した
ごみ箱にはスティックの空袋だけが溜まっていった
お陰様で話が良く弾み、三時間近く経っただろうか
私達はお互い打ち解け普通に仲良くなった
それも、彼はプライベートな話題は全て持ち出した一方でこのゲームの話は一切持ち出さなかったからであろう
私はどうしてもその事が気掛かりで仕方がなかった
普通気にならないのだろうか
私は思い切って聞いてみる事にした
◯◯「___辰哉さんは」
辰哉さんはカフェオレを飲みながら私の方を見た
◯◯「気にならないんですか?ゲームの話」
顔が曇った
彼はカフェオレの入ったカップを置いた
深澤「俺は」
辰哉さんは私の目の奥を覗き込んだ
深澤「俺はね、誰が村人?とか誰が人狼?とかそういう話をしたくて◯◯を呼んだ訳じゃないの」
普段よりトーンが下がった声に真剣さを感じる
深澤「ただ普通に◯◯と話したいだけなの、だからしない」
彼は再びカップを手に持ち、残りのカフェオレを飲み干した
私は返事をできずにいた
深澤「ほら、もう一時間前だから、行こう」
時計を見ると18時を過ぎていた
投票まで一時間を切っている
___なんだこれ、なんのつもりだよ
消化しきれない何かが胸に残ったが
考える暇もなく私達はカップを食洗機に突っ込み、部屋を後にした