🐺 -beast side-
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#00 prologue
静寂が訪れた
床の冷たさと血の生臭さが身体中に突き刺さる
肩で息をする音だけが部屋中に響き渡った
ポケットの中のスマホが振動した
片手で取り出して見るとそこには
"おめでとうございます、人狼陣営の勝利です"
との文字が並んでいた
戦いは終わったようだった
そっと画面を閉じスマホをポケットにねじ込んだ
「なにがおめでとうございますだよ、笑う」
隣で嘲笑した彼は、辺り一面に転がった友達を眺めていた
建物の玄関に向かうと、私達の靴が親切に並べて置いてあった
馬鹿馬鹿しい、そう思いながら靴を履き
誰も履くことのない9足の靴を残して外へ出た
今まで生きてきた世界が汚すぎたせいか
外の世界は信じられないくらい美しく感じた
ゆっくりと歩いて外の空気を味わいながら
この数日間の出来事を思い返す
ああ、私は何人殺めてしまったのだろうか
未だに、殺される時の
彼らの絶望と恐怖が入り交じった
あの表情が忘れたくても忘れられない
突然、隣を歩いていた彼が足を止めた
振り返ると、彼は無気力な様子で微笑んでいた
「なに?」とこっちが訪ねる前に、彼が口を開いた
「俺が生きたいが為に、こんなくだらないゲームに勝つが為に、こうやって自分の手を汚してまで仲間を殺してさ」
「そんな俺の事をお前はどう思う?」
彼は投げやりに尋ねてきた
「別に、仕方がない事なんじゃないの」
「___そうやって割り切れるお前を尊敬するよ、俺にはできない」
そう言って彼はポケットから拳銃を取り出し
自分のこめかみに当てた
いつの間に持ち出していたのだろうか
彼がやろうとしている事はもう分かりきっていた
「何やってんの、ねえ」
私の声は彼には届かなかった
「俺もう限界だわ、ごめん、じゃあな」
彼は躊躇うことなく引き金を引いた