「わぁ……結構いろんなものがあるんだ」

　エスカレーターを降りて、ハンディクラフトのお店に足を踏み入れる。

　外からはよくわからなかったけど中は案外広くて、オーソドックスなものから色々な用途で使えそうなものまで豊富に取り揃えてある。

「あっ！　これ可愛い！」

　テディベアを作るのに適したようなふわふわした素材の手触りに感動したり、製作見本として展示してあるドールハウスに目を奪われる。

　こんなのとか作れたら楽しそう。でも、作るの難しいんだろうなぁ……。

　じっ、とそれを観察していると不意に目の端にあるものが視界に入る。

「あ……これ」

　それは布製のブックカバー。文庫本用やハードカバー用など、サイズ別に作られていて、ちゃんと展示品の作り方がイラスト付で丁寧に書かれているプリントも、横に置いてある。

「へぇ……布で作れるんだ」

　ブックカバーなら、読書が好きな雅季くんにぴったりなプレゼントになるよね。

　よし、そうと決まれば……。私はブックカバーの作り方のプリントともうひとつ、ドールハウスのプリントを手に再び店内を物色するため、歩き出した。