HAPPY Halloween
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ここは西園寺家のリビング。
このお屋敷唯一の女の子、ヒロインはソファーで一人溜め息を吐いていた。
溜め息の原因は、一週間後に開かれるハロウィンの仮装パーティーのこと。
兄弟はもちろん、執事を含めたそれぞれが、衣装を決め、仕上がりを待っているこの時期に。
ヒロインは未だ、衣装を決められずにいた。
早く衣装を決めなければいけない。
そう思えば思うほど、ヒロインはプレッシャーに押し潰されそうになっていた。
なにかヒントになるものはないか……藁にも縋る気持ちでTVの電源を入れる。
「あ……」
瞬間、画面に映ったあるものを発見したヒロイン。
「これ……いいかも!」
出口の見えないトンネルに一筋の光が差したように
ヒロインに、久しぶりの輝く笑顔が戻ったのだった。
そして、ハロウィン前日。
「お嬢様、ご注文の衣装をお届けに参りました」
「わあ、ありがとうございます!」
大きな衣装箱を御堂から受け取り、早速中身を確認するヒロイン。
「すごい! イメージ通り!!」
大ざっぱにこんな感じで、としか伝えていないのに……と、予想以上の仕上がりにヒロインの胸の内は満足感でいっぱいだった。
場所は変わり、ここは雅季の部屋。
珍しくソファーにごろりと寝転がり、寛いだ姿勢で静かに読書に耽る雅季。
ノックの音が部屋に響き、溜め息をひとつ吐く。
そして読んでいた本をぱたんと閉じ、音の方へと足を向けた。
ドアを開けた雅季は、訝しげに眉を寄せる。
それもそのはず。彼の目の前には、黒いマントを頭からすっぽりと被ったヒロインが立っていたのだ。
「……なに? そのカッコ」
「うん。ちょっとね」
雅季の質問に答えているようで全く答えていない彼女。
異様なテンションの力を借りたヒロインは、いつにない強引さで雅季の部屋へ入り込んだ。
そして……
「じゃーん!!」
ヒロインが黒いマントを勢い良く取り去る。
「!?」
その姿を見た雅季は思わず息を飲んだ。
ケモノのふわふわ耳を頭につけ、毛足の長いもふもふなチューブトップ、同じくもふもふなショートパンツの後ろには毛並みの立派なしっぽ。
ロングブーツやグローブも例外なくもふもふとしており、グローブの内側にはピンクの肉球がついている。
「…………なに、そのカッコ……」
普段から冷静沈着を自負している雅季が、動揺していた。
先程と同じ問いかけの言葉が、それを如実に物語っていた。
「えへへー。いーでしょ? ねこむすめー。CM見て思いついたんだぁ」
嬉々として、自身の姿を余す事なく披露するヒロイン。
あ然とした表情で見つめる雅季の視線に気づく様子はない。
(CM……CM見て思いついたって言った?)
心の中でそう呟く雅季。彼の頭にあるCMが思い浮かんだ。
それは全国的に有名な、とある商業施設のCM。
以前、十数匹のトイプードルを体に纏う女性が出ていたが、最近になってペルシャ猫ver.がO.A.されていた。
(そういえばあれが映る度、羨ましそうな顔で見てたな……)
でも本当にするなんて……信じられない、といった風に頭を悩ませる雅季。
一方、ヒロインはというと、しっぽをふりふりと揺らしながら、猫コスプレにご満悦な表情。
しかし、そんな状況を雅季が大人しく見ているはずはない。
「……お菓子は?」
雅季の眼鏡がきらりと光る。
その表情は、昼間に見せる生徒会長のそれと180度違っていた。
「へ? お菓子?」
「Trick or Treat 『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ』ってやつ」
ちゃんと用意してあるんだよね? と、ヒロインに詰め寄る雅季。
衣装の事だけに気を取られていた彼女が、用意しているはずはない。
ふるふると首を横に振るヒロイン。
瞬間、雅季が眼鏡の奥の瞳を妖しさたっぷりに細める。
「……そ。じゃあ、そんな悪いコにはイタズラしなくちゃね」
「え? えええっ!?」
「嫌なら今からお菓子用意すれば? ま、もう手遅れだけどね……」
こうして、雅季とヒロインのハロウィン前夜は更けていくのであった。
おしまい☆
このお屋敷唯一の女の子、ヒロインはソファーで一人溜め息を吐いていた。
溜め息の原因は、一週間後に開かれるハロウィンの仮装パーティーのこと。
兄弟はもちろん、執事を含めたそれぞれが、衣装を決め、仕上がりを待っているこの時期に。
ヒロインは未だ、衣装を決められずにいた。
早く衣装を決めなければいけない。
そう思えば思うほど、ヒロインはプレッシャーに押し潰されそうになっていた。
なにかヒントになるものはないか……藁にも縋る気持ちでTVの電源を入れる。
「あ……」
瞬間、画面に映ったあるものを発見したヒロイン。
「これ……いいかも!」
出口の見えないトンネルに一筋の光が差したように
ヒロインに、久しぶりの輝く笑顔が戻ったのだった。
そして、ハロウィン前日。
「お嬢様、ご注文の衣装をお届けに参りました」
「わあ、ありがとうございます!」
大きな衣装箱を御堂から受け取り、早速中身を確認するヒロイン。
「すごい! イメージ通り!!」
大ざっぱにこんな感じで、としか伝えていないのに……と、予想以上の仕上がりにヒロインの胸の内は満足感でいっぱいだった。
場所は変わり、ここは雅季の部屋。
珍しくソファーにごろりと寝転がり、寛いだ姿勢で静かに読書に耽る雅季。
ノックの音が部屋に響き、溜め息をひとつ吐く。
そして読んでいた本をぱたんと閉じ、音の方へと足を向けた。
ドアを開けた雅季は、訝しげに眉を寄せる。
それもそのはず。彼の目の前には、黒いマントを頭からすっぽりと被ったヒロインが立っていたのだ。
「……なに? そのカッコ」
「うん。ちょっとね」
雅季の質問に答えているようで全く答えていない彼女。
異様なテンションの力を借りたヒロインは、いつにない強引さで雅季の部屋へ入り込んだ。
そして……
「じゃーん!!」
ヒロインが黒いマントを勢い良く取り去る。
「!?」
その姿を見た雅季は思わず息を飲んだ。
ケモノのふわふわ耳を頭につけ、毛足の長いもふもふなチューブトップ、同じくもふもふなショートパンツの後ろには毛並みの立派なしっぽ。
ロングブーツやグローブも例外なくもふもふとしており、グローブの内側にはピンクの肉球がついている。
「…………なに、そのカッコ……」
普段から冷静沈着を自負している雅季が、動揺していた。
先程と同じ問いかけの言葉が、それを如実に物語っていた。
「えへへー。いーでしょ? ねこむすめー。CM見て思いついたんだぁ」
嬉々として、自身の姿を余す事なく披露するヒロイン。
あ然とした表情で見つめる雅季の視線に気づく様子はない。
(CM……CM見て思いついたって言った?)
心の中でそう呟く雅季。彼の頭にあるCMが思い浮かんだ。
それは全国的に有名な、とある商業施設のCM。
以前、十数匹のトイプードルを体に纏う女性が出ていたが、最近になってペルシャ猫ver.がO.A.されていた。
(そういえばあれが映る度、羨ましそうな顔で見てたな……)
でも本当にするなんて……信じられない、といった風に頭を悩ませる雅季。
一方、ヒロインはというと、しっぽをふりふりと揺らしながら、猫コスプレにご満悦な表情。
しかし、そんな状況を雅季が大人しく見ているはずはない。
「……お菓子は?」
雅季の眼鏡がきらりと光る。
その表情は、昼間に見せる生徒会長のそれと180度違っていた。
「へ? お菓子?」
「Trick or Treat 『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ』ってやつ」
ちゃんと用意してあるんだよね? と、ヒロインに詰め寄る雅季。
衣装の事だけに気を取られていた彼女が、用意しているはずはない。
ふるふると首を横に振るヒロイン。
瞬間、雅季が眼鏡の奥の瞳を妖しさたっぷりに細める。
「……そ。じゃあ、そんな悪いコにはイタズラしなくちゃね」
「え? えええっ!?」
「嫌なら今からお菓子用意すれば? ま、もう手遅れだけどね……」
こうして、雅季とヒロインのハロウィン前夜は更けていくのであった。
おしまい☆
