はじまりの日に
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
他人と関わるのってそんなに必要?
面倒なだけだよ。
適当に距離を取ってればいい。今までそうしてきたし、別に問題なく上手くやれてたしね。
他人の心に深く入り込むなんて考えられない。
そう信じてた。少なくとも今までの僕は。
そう――キミに出会うまではね。
暖かな春の日。
父さんに兄弟集まる様に、と言われて突然、「再婚したい人がいる」と聞かされた時は驚いた。
それと同時に複雑な気分にもなった。
……僕にとって母さんはたった一人だったから。
ただでさえ、再婚相手の女性を“母さん”だなんて思えないのに、妹まで出来るなんて言われて。
しかも同い年。ありえなくない?
一般家庭で育った女の子がいきなり僕たちの屋敷で一緒に暮らす事になるんだ。
戸惑うなって方が無理な話だよね。
父さんが再婚相手から借りてきたその子の写真を、兄弟の皆は興味深そうに先を争う様に見ている。
「素直そうな雰囲気の方ですね」
「ええ!? めちゃくちゃ可愛いよ、この娘! うわあ、こんな可愛い娘が妹になるんだ!」
「そうかぁ? 普通じゃねえの?」
「……雅弥兄ちゃん、僕にも見せて」
口々に写真を見ての印象を話す兄弟を横目に、僕は一人頬杖をついていた。
「なあ、雅季。お前はどう思う?」
雅弥の呼び掛けに、別に、とだけ返す。
「ほら! 雅季もちゃんと見て! 本当可愛い娘だから!」
裕次兄さんが写真を僕に近付けるのをちら、と一瞥する。
「な? 可愛いだろ?」
「……興味ない」
そう僕が言うと、修一兄さんが、これから家族になるんだから、と僕を窘めた。
家族……か。それってただ単に紙の上でってだけだよね。
表面上でだけ、そう取り繕えば十分だよね? 実際に血が繋がってるわけじゃない、他人なんだから。
極力、関わらない様にしよう。
学院でもそうしてきた様に振る舞えば、そのうち向こうの方が僕に近付くのを諦めるだろうから。
今まで僕に関わろうとしてきた女の子達と同じように、きっとその子も僕から距離を取る様になるはず。
そう目論んでいた僕の予想は、結果として外れてしまう事になるなんて、この時の僕はまだ気付かないでいた。
1/3ページ
