ハロウィンと夜の物語

3. おやすみレニー


『The story which one lady will tell.
Is about Catherine Livermore and her lovable family.』NA:Ike Nelson
【ある女の語るお話。キャサリン・リヴァモアと彼女の愛すべき家族について】

生まれつき... 病弱だった... 息子の世界は... 《寝具(ベッド)》の上...
残された数... 誰にも告げず... 刻み続ける... 小さな胸...

友達が出来ない アナタが寂しくないよう
庭に色とりどりの 花を植えました
アナタの大好きな 絵本も読みましょう
いつまでも傍で 誰よりも愛しているから!

丈夫に生んであげられなかった 《母(わたし)》を赦(ゆる)してください...
苛酷(かこく)な船旅が お腹の中のアナタに どれほどの負担をかけたのでしょう...

「ありがとう」――《私の胎内(わたし)》を選んでくれて...
「ありがとう」――《お父さん(パパ)》と《お母さん(ママ)》にしてくれて... 本当に...
私達夫婦は... 命を掛けて《大切な宝物(あなた)》を... アナタを絶対に幸せにするから!


『Then, the lovable family arrived.The country of Liberty America.』NA:Ike Nelson
【その後、愛すべき家族が到着したのは 自由の国アメリカ】

「あっ!」
「邪魔だぞ!」
「大丈夫かい、Cate(ケイト)」
「ええ、あなた」

「すごぉい…!」
「いやぁ、もうすぐ近くさ!」
「父さんっ、母さん…!ああっ…!」
「ごめんなさい!通して!ちょっと、通して!」
「父さん母さんに、楽をさせてやろう!」
「ベッドあるー?」
「ああ、ふかふかのがな!ハッハッハ!」
「旅中はいいけど、洋服ねぇなあ~!」
「夢を掴もうぜ!」
「よっし!俺が大きな奴を掘り当ててやる!」

《大飢饉(グレート ファミン)》 耐えられたのは 兄の援助のお陰で
《連鎖移民(チェーン イミグレーション)》 されど 彼の消息は知れず...

追って 《新天地(自由の国アメリカ)》で 私達が最初に
住んだ街は 《黄金によって栄えた都市(金の都)》 夢の《桑港(サンフランシスコ)》

《息子(レナード)》が産まれた《朝(とき)》 とても難産で...
《夫(ショーン)》は泣きながら 「ありがとう」と 何度もキスをした...

「ありがとう…!ありがとうケイト!うおおおおーー!!!」

それからは家族三人で 寄り添うように生きてきた...
夫は薬代稼ぐ為に 身を粉にして働き As time goes by...

「もう、レニーったら!フフフ!」
「レニー!ほらほら、みてごらん!フハハ!」
「ホントにあなたみたい!フフフ!」

『And then. Her lovable family had in new encounter that could have been good luck or bad luck.』NA:Ike Nelson
【そして――彼女の愛すべき家族は幸か不幸か、新たな出会いを得る】


夫の《新しい仕事(しごと)》の都合で 移り住んだ《山間の街(まち)》で
息子を気軽に あだ名で呼ぶ 初めての友達が出来た
「おい!お前…見ない顔だなぁ」
「えっとぉ…」
「ハハッ!すげぇな、カボチャみたいな頭だな!おもしれぇ!」
「ハッ!」
「オレはJohnny(ジョニー)よろしくな。」
「あっ…うん!」

かぼちゃ頭だなんて 変てこなあだ名
でも... あなた 分かってるじゃない?
それがあの子の《便宜上100としておくが無限に(ひゃく)》ある可愛いところの1つよ!
「でね!でね!ジョニーってばほんっとにすごいんだよっ!」
「あら、そーお?うふふふ!」CV:木村花代
「でも、人のことを変なあだ名で呼ぶのは頂けない!うん、頂けないっ!でね」
「あらあら・・・うふふ!」
「食べた!おかわり!」
「ふははは、今日はよく食べるな!」
「うふふふ、あっはっは!」

私達はその晩... 嬉しくて... 嬉しくて... 泣きました...
「あなた・・・あの子に友達が出来る日が、来るなんて!」
「うおおぉぉぉ!今日は、友達記念日だぁぁぁぁぁ~!!!」

私は結婚しても 姓が変わらなかった
何故なら 夫も同じ Livermore(リヴァモア) 縁て 不思議でしょ?
「俺は頭が鈍い、口下手だし、顔も良くない。
それでも、君を愛する気持ちだけは誰にも負けないと誓える…!
そもそも、なんていうか…アレだっ!ううおおぉぉぉ!!ケイト!僕と結婚してくれぇ!!」
「ショーン、答えは…イエスよッ!!」

まさか《初めての友達(ジョニー)》の姓も Livermore(リヴァモア)だなんて
嗚呼 神様って素敵じゃない?
とても粋な演出に この時はそう思った……
「でね!ジョニーもリヴァモアっていうんだて!」
「あらまあ!」
「お母さんと2人で暮らしてるんだって!
でね、前からボクみたいな可愛い弟が欲しかったから声かけたんだって!」
「あらあら、うっふふふふ!」
「ん…食べた!おかわり!」
「ははは、最近はよく食べるな!うん!」
「ふふふ!」

私達はその晩... 可笑しくて... 可笑しくて... 泣きました...
「あなた…ジョニーが…ジョニーが!」CV:木村花代
「うおああぁぁぁ!今日は…リヴァモア記念日だぁぁぁぁ!」CV:中村悠一

それからジョニーと二人 何を企んでたの?
秘密にしてたつもりでしょ
でもママは何でもお見通しよ

「ねえ!例のやつJohnnyはどうするの?」
「オレか?オレぁやっぱ狼男だな!
男はいつだって、死せる餓狼の自由を求める生き物だぜ?ワオーン!」
「ボクも狼がいい!男の子だもん!」
「こんな狼男は嫌だ、その1!頭が妙にデカい!」
「もーう!ただ大きいわけじゃない。世界最高峰の頭脳が詰まっているからなのだ!」
「それはそれは!存じ上げておりますとも、博士!」
「「アハハハハ」」


初めてのハロウィン そんなに楽しかったの?
はしゃぎ過ぎて 心臓も ビックリしちゃったのね……
「アハハハ!Halloween!Halloween!Trick or Treat!待ってよー!ジョニー!」

お医者様が告げた アナタに残された
数字を聞いた時 目の前が真っ暗になったけど……

あんなに楽しみにしてた 最後のハロウィンだから
散々考えて 参加を許したわ……

私達はそう決めたの 誰のことも恨まないと
《運命(かみ)》も 《友達(ジョニー)》も 自分達も含めて
あの子の寝顔が 笑っていたから……

――おやすみ
おやすみレニー 今日はいくつ お菓子もらった?
寝る前に歯を磨くのよ... じゃなきゃ... 虫歯になっちゃうから!

Halloween Halloween Trick or Treat Hey!
Halloween Halloween Trick or Treat Hey!
Halloween Halloween Trick or Treat Hey!
Halloween Halloween Trick or Treat Hey!

「あの子は、今も何処かで終われなかったハロウィンの続きをしているのだと思います。
カボチャみたいな頭の男の子を見かけたら、それはレニーかも知れません。
私のお話はこれでおしまいです。作り話だと思うのならそれでも構いません。
それでも、あなたが眠る前の三秒でいいのです。
その瞬間だけは、すべての悩みや、憎しみ、悲しみを忘れて…こう言ってもらえませんか?」

「おやすみ レニー」
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イイイネ