Roman

緋色の風車 ~Moulin Rougeムーランルージュ


廻る回る《緋色の風車》(Moulin Rouge)綺麗な花を咲かせて


躍る踊る《血色の風車》(Moulin Rouge)綺麗な花を散らせて


小さな掌に乗せた硝子(Glass)細工…


其の宝石を『幸福』(しあわせ)と謳うならば…


其の夜の蛮行は時代にどんな爪痕を遺し…


彼等にはどんな傷痕を残したのか…


運命に翻弄される弱者の立場に嘆いた少年は…


やがて『力』を欲するだろう…


其れは… 強大な力から身を守る為の『楯』か?


其れとも… より強大な力でそれをも平らげる『剣』か?


何が起こったのか 良く解らなかった…


泣き叫ぶ狂乱(Lune)の和音(Harmonie)(ハーモニー) 灼けた屍肉(にく)の風味(Saveur)(フレーバー)…


何が襲ったのか 良く解らなかったけど…


唯…ひとつ…此処に居ては 危ないと判った…


僕は一番大切な《宝物》(もの)を


持って逃げようと → 君の手を掴んだ……


嗚呼…訳も解らず息を切らせて走っていた二人


欲望が溢れ出すままに暴れて奴等は追い掛けてくる……


( 「はっ」 「はっ」…)
星屑を辿るように…森へ至る闇に潜んだままで…


訳も解らず息を殺して震えていた二人


絶望が溢れだすことを怖れて強く抱き合っていた――


不意に君の肢体(からだ)が宙に浮かんだ →


怯え縋るような瞳(め)が ← 逃げ出した僕の背中に灼きついた……



廻る回る《緋色の風車》(Moulin Rouge)灼けつく《刻》(とき)を送って


躍る踊る《血色の風車》(Moulin Rouge)凍える《瞬間》(とき)を迎えて


嗚呼…もし生まれ変わったら 小さな花を咲かせよう…


ごめんね…次は逃げずに 君の傍で共に散ろう……


(Moulin Rouge)
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イイイネ