ジャンピンジャックサイコネス(ウスパパの教え子になる)
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指摘された通り鏡を見ると確かに縄の跡がついていた。なにより怖かったのは己がそれを隠すような服装をしていたことだ。手首はボリュームのある袖口で隠されて、首元も襟の詰まった服でほとんど見えない。けれどチラリと見えてしまえば紫色の影が目に入る事は確実で、自分の体なのに気がつかないわけがなかった。……気がつかないようにしていた?
ヌー……と心配そうにしているジョン君の声。大丈夫だよ、と返した声色は震えていたかもしれない。
「ドラルクさんも、えーと……なかったことに」
「できるとでも?」
「う、でもわざわざお気遣いいただくこともないですし! なんとかしときますから」
そうは言っても納得してもらえてはいないみたいだ。もうやだぁ……何? 絶対やばい人だって思われた。ドラウスさんの御子息だから仲良くなれたらとか思ってたのに……。一方で落ち込んでいる間にもドラルクさんは冷静に原因を考えてくれているらしく、ふむ、と骨張った手で顎を触って神妙にしている。
「毎晩絞められているように見えるな。心当たりは……といっても他人が危害を加えてたらお父様が気がつかないはずがないんだけど。ほんとに自殺とかしてない?」
「してないです、首絞めても意味ないし」
「そりゃそーね。人間で言うリスカみたいな……あ」
ドラルクさんはふと思い出したようにぽんと手を叩いた。ジョン君もシンクロしてぽん。かわいい。
「そういえば君なんでお父様のとこに来たの? 何を学びに?」
「あ、それはですね……」
そういえば細かいことは説明していなかった。事のあらましを説明すると、所々嫌なことを思い出したという顔をするものの納得してもらえたようだ。誰より早く起きて部屋を温める所だとか、昔からドラウスさんは人に尽くすタイプらしい。
「……君が来てくれてお父様も張り切るのが分かった。それからその絞め跡も、恐らく君自身がやってるものだね」
「へっ、私が? 自分で?」
「睡眠中は暴走するんだろう? それに精神性と強く結びついてる。目覚めた時に近くに紐状のものとかなかった? この跡から考えると電化製品で……」
言われた通り夕方起きて散らばっているものを思い出してみる。毎日近くにあるもので紐状のもの。充電コードよりはもう少し太い、それは。
「「ヘアアイロン」とか?」
「はい、たぶん……」
「わー、考えただけでも死にそう」
「ヌー……」
ドラルクさんの端っこがちょっと砂になりかけて戻った。もしこの推理が当たっていれば、私は毎晩サイコキネシスの暴走中にヘアアイロンのコードで首と手首を絞めていることになる。認めたくないなあ。
もう一度袖を捲ってみても確かにある絞め跡。もう毎晩ガチガチに自分を拘束して眠るのが良い気すらしてきた。
ドラルクさんも多少気まずく感じているのか、バームクーヘンをもっと持ってくると言ってロナルドさん達がいる部屋に行ってしまった。あー嫌だ。何が嫌って、首を絞める習慣はドラウスさんのところに来てからだと分かってしまうからだ。実は悪夢は減ったけれど変化していた。夢の中で絞められる夢を見ていた。以前は紐状のものが落ちていたことなんてなかった。
「……なんで暗くなっちゃうんだろ。平気ですって顔して明るく生きたいのに。明るい話だけしていたいのに」
「ヌヌゥ……ヌ!」
「なぁに……あ、いちご味のクッキー? こんなの隠してたんだ、なかなかやるねえ」
「ヌフ!」
そういえばジョン君もなかなか長生きなんだっけ。吸血鬼といえども年齢はあまり重ねていないから、私よりだいぶ先輩だ。そんなお腹ふわふわ先輩の隠し持っていたクッキーはほろほろっと口の中でしっとり溶けて、その甘酸っぱさに泣いてしまいそうになった。
「ありがとうジョン君、今度お礼しに来るね」
「おや、カロリーは控えめなおやつで頼むよ」
「! ドラルクさん……」
慌ててジョン君と一緒にクッキーの包装を隠そうとしたけれど、涼しい声でゴミ箱はそれねと教えられてしまう。そろ~りと捨てるもののドラルクさんは追加のバームクーヘンを皿に盛りながら何も気にしていないという顔だ。
「あ、あの」
「父には言っていないよ」
再びゲームに戻ってポーズを解除して、後ろ姿を向けたまま彼が言う。
「ただ普通にそれ痛そうだから嫌だ。寝る時これつけて」
「これ? っわ、あったかい」
「うん。春までに治らなかったらまた教えて」
投げられたのはふわふわのネックウォーマーで、確かにこれをつけていたら首を絞めることなんてできそうになかった。マフラーは嫌いだけどこのふわふわ加減なら気持ちよく眠れそうなのも嬉しい。これを取ってきたからちょっと遅かったのかな。
ジョン君も誇らしそうに主人の背中から頭の上へ登って、ヌ! と鳴いた。そうだね、確かにこの人にはドラウスさんの血が流れてる。
「……ちなみにドラルクさん、そのゲーム私完クリしてたり」
「え、これを!?隣に来たまえはいこれ二P」
「! はい!」
「そういうことはもっと早く言いなさいよもう。喜べジョン!今日でこれクリアできるかもしれないぞ」
「ヌー!」
ヌー……と心配そうにしているジョン君の声。大丈夫だよ、と返した声色は震えていたかもしれない。
「ドラルクさんも、えーと……なかったことに」
「できるとでも?」
「う、でもわざわざお気遣いいただくこともないですし! なんとかしときますから」
そうは言っても納得してもらえてはいないみたいだ。もうやだぁ……何? 絶対やばい人だって思われた。ドラウスさんの御子息だから仲良くなれたらとか思ってたのに……。一方で落ち込んでいる間にもドラルクさんは冷静に原因を考えてくれているらしく、ふむ、と骨張った手で顎を触って神妙にしている。
「毎晩絞められているように見えるな。心当たりは……といっても他人が危害を加えてたらお父様が気がつかないはずがないんだけど。ほんとに自殺とかしてない?」
「してないです、首絞めても意味ないし」
「そりゃそーね。人間で言うリスカみたいな……あ」
ドラルクさんはふと思い出したようにぽんと手を叩いた。ジョン君もシンクロしてぽん。かわいい。
「そういえば君なんでお父様のとこに来たの? 何を学びに?」
「あ、それはですね……」
そういえば細かいことは説明していなかった。事のあらましを説明すると、所々嫌なことを思い出したという顔をするものの納得してもらえたようだ。誰より早く起きて部屋を温める所だとか、昔からドラウスさんは人に尽くすタイプらしい。
「……君が来てくれてお父様も張り切るのが分かった。それからその絞め跡も、恐らく君自身がやってるものだね」
「へっ、私が? 自分で?」
「睡眠中は暴走するんだろう? それに精神性と強く結びついてる。目覚めた時に近くに紐状のものとかなかった? この跡から考えると電化製品で……」
言われた通り夕方起きて散らばっているものを思い出してみる。毎日近くにあるもので紐状のもの。充電コードよりはもう少し太い、それは。
「「ヘアアイロン」とか?」
「はい、たぶん……」
「わー、考えただけでも死にそう」
「ヌー……」
ドラルクさんの端っこがちょっと砂になりかけて戻った。もしこの推理が当たっていれば、私は毎晩サイコキネシスの暴走中にヘアアイロンのコードで首と手首を絞めていることになる。認めたくないなあ。
もう一度袖を捲ってみても確かにある絞め跡。もう毎晩ガチガチに自分を拘束して眠るのが良い気すらしてきた。
ドラルクさんも多少気まずく感じているのか、バームクーヘンをもっと持ってくると言ってロナルドさん達がいる部屋に行ってしまった。あー嫌だ。何が嫌って、首を絞める習慣はドラウスさんのところに来てからだと分かってしまうからだ。実は悪夢は減ったけれど変化していた。夢の中で絞められる夢を見ていた。以前は紐状のものが落ちていたことなんてなかった。
「……なんで暗くなっちゃうんだろ。平気ですって顔して明るく生きたいのに。明るい話だけしていたいのに」
「ヌヌゥ……ヌ!」
「なぁに……あ、いちご味のクッキー? こんなの隠してたんだ、なかなかやるねえ」
「ヌフ!」
そういえばジョン君もなかなか長生きなんだっけ。吸血鬼といえども年齢はあまり重ねていないから、私よりだいぶ先輩だ。そんなお腹ふわふわ先輩の隠し持っていたクッキーはほろほろっと口の中でしっとり溶けて、その甘酸っぱさに泣いてしまいそうになった。
「ありがとうジョン君、今度お礼しに来るね」
「おや、カロリーは控えめなおやつで頼むよ」
「! ドラルクさん……」
慌ててジョン君と一緒にクッキーの包装を隠そうとしたけれど、涼しい声でゴミ箱はそれねと教えられてしまう。そろ~りと捨てるもののドラルクさんは追加のバームクーヘンを皿に盛りながら何も気にしていないという顔だ。
「あ、あの」
「父には言っていないよ」
再びゲームに戻ってポーズを解除して、後ろ姿を向けたまま彼が言う。
「ただ普通にそれ痛そうだから嫌だ。寝る時これつけて」
「これ? っわ、あったかい」
「うん。春までに治らなかったらまた教えて」
投げられたのはふわふわのネックウォーマーで、確かにこれをつけていたら首を絞めることなんてできそうになかった。マフラーは嫌いだけどこのふわふわ加減なら気持ちよく眠れそうなのも嬉しい。これを取ってきたからちょっと遅かったのかな。
ジョン君も誇らしそうに主人の背中から頭の上へ登って、ヌ! と鳴いた。そうだね、確かにこの人にはドラウスさんの血が流れてる。
「……ちなみにドラルクさん、そのゲーム私完クリしてたり」
「え、これを!?隣に来たまえはいこれ二P」
「! はい!」
「そういうことはもっと早く言いなさいよもう。喜べジョン!今日でこれクリアできるかもしれないぞ」
「ヌー!」