ジャンピンジャックサイコネス(ウスパパの教え子になる)
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この街を見ていると、人生は喜劇だと言った人間のことも理解できる気がする。それほどまでに新横浜の人たちは個性豊かだった。
一日目に挨拶に行って、二日目は寝ていたけれど三日目はまた遊んだ。四日目は迷子になっていたら野球拳の人に会ってご飯食べた。まさかVRCに食べに行くとは思わなかったけど。
「てことなので迎えに来てくださいドラルクさん」
「君アホ??」
そう電話してなんだかんだ来てくれるドラルクさんが好きだ。でももうちょっと時間があるしデザートも食べて待つことにする。砕かれたナッツが飾られたピスタチオアイスクリームが採血の代わりに手に入れた報酬だ。う~んおいし!
「お、嬢ちゃんはアイスにしたのか」
隣に来たのは元凶改め野球拳の人。彼はワッフルを選んでいて、お皿には温めたばかりのチョコレートワッフルが魅力的な香りを放っていた。
「あの、ちょっと交換しません? アイス乗せワッフル絶対美味しいでしょ」
「まあいいけどよ、今持ち物全部預けてんだろ? ここで野球拳してもいいか?」
……そうなのだ。この人に会うということは野球拳をするということで、初め会った時は勿論野球拳を挑まれた。挑まれたけれど、なんかドラウスさんに持たされたブレスレットがばーんって弾けて催眠を無効化してくれたっぽいのだ。
けれど今は収容服なので何もない。一日目にドラウスさんの催眠を完璧に全受けしていたことも考えると確実に負ける。ワッフルにアイスを盛りながらどうしたものかと考えてみても催眠を避けるのは無理そうだった。
「でも私が脱ぐのなんて見たくないと」
「超見たい」
「えっ……でも吸血鬼だし」
「いや超見たい。絶対恥ずかしがってくれるし下着エロそうだから」
「なにそれ、やっぱドラウスさん呼べばよかっあああ手が勝手に!」
アウト! セーフ! よよいのよい! と恐ろしいBGMが耳に届いた時にはもう遅いのだ。私はグー、ケンさんはパー。脱ぐもの……脱ぐもの……ああもうニマニマした目つきがじっとりと絡みついて恥ずかしい!
「スリッパ脱ぎます! さよなら!」
「そうはいくか! よよいのよい!」
「わ~~ん私の馬鹿アホ雑魚レンチンして爆発した玉子」
今度はチョキとグーで負けた。真っ白なVRCの床に膝をつきつつ野球拳に泣くなんて想像してなかった。ドラウスさんへ、もう抜け出して新横浜を出歩かないので助けてください、〇より。うう。
スリッパに続いて靴下を脱ぎながら、持ち物が取られた不安感が募ってジリジリと追い詰められていく。あと脱げるのは上下と下着のみなのだ。もしここで脱いだらとてもじゃないけど平気な顔して生活できなくなる。
「よい」
「言ったそばから!! もうちょっと手加減とかして!」
またグーとパーだ。だってこれ以上どこ脱いだら……あ、キャミソール? でもそれもだいぶ恥ずかしいけれどそれ以外にない。ごそごそと服の中に手を入れて肩から外し、ずるっとキャミソールだけ引き抜いた。胸がすーすーして少し寒気を感じる。
「そうやって着替えんのか。腹チラゴチです」
「正直にもほどが」
「よい」
「……っ、もうやぁ……」
パーとチョキ。収容服はパンツスタイルなので下から脱ぐわけにもいかず、となると残されたのはブラのみだ。へたりと座りこんでとりあえずワッフルに口をつけると極上の甘みで泣きそうになった。
ケンさんもそう急かすわけでなく同じくワッフルに手をつける。うま、とこぼす姿は普通にちょっとかっこいいワイルドめなお兄さんなのになあ。どうしてこうなっちゃったんだろうなあ。
「み、見ないでね」
「え? ガン見するけど」
「ウソとかつけない?」
宣言通りガン見してくるケンさんは背中のホックを外す音にすら興奮するようで、うおおおお! と雄叫びをあげた。恥ずかしすぎて顔に熱が集まるのを感じながら肩紐も外す。けれど完全に脱ぐのは……ノーブラになってしまう。絶対無理だけど助けを求めるようにうるうるっと懇願する目を向けると彼はますます息を荒くして「お前が涙目で真っ赤になってるの超腰にくる」とか言ってきた。ここに希望はない。
「あの、脱ぐけどノーコメントにしてほしい」
「ハアハアありがとう神よ」
「吸血鬼が神に感謝すな!」
何が悔しいってまだ一回も勝ててないのが悔しい。彼の顔くらい明かせたら覚えておくのにほぼ目元しか見えないのだ。悔しいながらも渋々ブラを脱いで引き抜いて、見えないように背中側に隠した。
「ぬ、いだ……」
「アンダーが細身だがカップ自体はそこそこあるな。ブラは四分の三カップで白と。レースの質もなかなか良いな」
「何馬鹿なこと言って」
「それで、中身は?」
急に接近してきた彼に脳内で警告音が鳴る。これ以上負けたらやばい。ほんとに身ぐるみ剥がされる__と後退ると背中に硬い壁の感触があった。しめた、と喜ぶケンさんは最早獣だ。たす、たすけてパパ__!
「〇君いる? あ、いたいた。帰るよ」
「えっ、あ」
祈ったその時、後ろの壁……否、扉を開けて現れたのはドラルクさんだった。彼は私を見つけると親猫が子猫を回収するみたいにしてすぐに部屋から出した。あまりにも突然のことでケンさんもびっくりしてついて来ず、なんとか右手で脱いだばかりのブラだけ掴んで焦りながらついていく私にマントをかけながらドラルクさんが言う。
「あんなのにまともに付き合うんじゃない。お父様がかなり怒ってる」
ドラウスさんが怒ってる……!? ドキリと心臓が痛んでぎゅっと全身苦しくなった。でも当然だ、心配かけたかったわけじゃないけれど向こうからしたら突然消えたも同然なのだから。茹でたほうれん草みたいにシュンとした私を見てドラルクさんは続けた。
「まあ嘘だけどね。VRCに居るって言ったら君のことが心配で震えすぎてマナーモードみたいになってた」
「じゃあ怒ってない?」
「いや」
「私が少し怒ってる」
VRCを出たところの信号が赤に変わったのと同じタイミングだった。ぱた、と立ち止まると同時に世界が冷えた気さえした。ドラルクさんの表情は伺えない。
電話をかけた時はこんな雰囲気ではなかったと思うので、出かけたこと自体が悪かったわけではないらしい。それなら何が? 思い返せば気になるのは"あんなのとまともに付き合うんじゃない"という言葉だけだった。
「あの、すみません馬鹿なことして。ケンさんのことですよね」
信号機は車を止めて青を灯す。事務所へ帰るために再びドラルクさんと歩き始めた。
「っしゅん」
不意に冷たい風が吹き抜けてくしゃみが出た。それを聞いてドラルクさんはやっとやれやれという顔をこちらに見せてくれる。
「だから言わんこっちゃない。野球拳なんかしたら冷えるだろう。服は今度ヒナイチ君にでも頼んで持ってきてもらうとして」
「はい……」
「この街には変態がウヨウヨ居るんだ。あまり気を許さないように。全裸かビキニでY談を喋らされたくなかったらね」
凄まじい街だ……。とにかくコクコクと頷くとドラルクさんはよろしいと言ってくれた。これでお咎めなしらしい。
事務所に帰るとドラウスさんが大型犬のように飛びついてきて、野球拳なんて言えるわけもなくただ謝った。またドラルクさんとの秘密が増えてしまったな、と思う。
一日目に挨拶に行って、二日目は寝ていたけれど三日目はまた遊んだ。四日目は迷子になっていたら野球拳の人に会ってご飯食べた。まさかVRCに食べに行くとは思わなかったけど。
「てことなので迎えに来てくださいドラルクさん」
「君アホ??」
そう電話してなんだかんだ来てくれるドラルクさんが好きだ。でももうちょっと時間があるしデザートも食べて待つことにする。砕かれたナッツが飾られたピスタチオアイスクリームが採血の代わりに手に入れた報酬だ。う~んおいし!
「お、嬢ちゃんはアイスにしたのか」
隣に来たのは元凶改め野球拳の人。彼はワッフルを選んでいて、お皿には温めたばかりのチョコレートワッフルが魅力的な香りを放っていた。
「あの、ちょっと交換しません? アイス乗せワッフル絶対美味しいでしょ」
「まあいいけどよ、今持ち物全部預けてんだろ? ここで野球拳してもいいか?」
……そうなのだ。この人に会うということは野球拳をするということで、初め会った時は勿論野球拳を挑まれた。挑まれたけれど、なんかドラウスさんに持たされたブレスレットがばーんって弾けて催眠を無効化してくれたっぽいのだ。
けれど今は収容服なので何もない。一日目にドラウスさんの催眠を完璧に全受けしていたことも考えると確実に負ける。ワッフルにアイスを盛りながらどうしたものかと考えてみても催眠を避けるのは無理そうだった。
「でも私が脱ぐのなんて見たくないと」
「超見たい」
「えっ……でも吸血鬼だし」
「いや超見たい。絶対恥ずかしがってくれるし下着エロそうだから」
「なにそれ、やっぱドラウスさん呼べばよかっあああ手が勝手に!」
アウト! セーフ! よよいのよい! と恐ろしいBGMが耳に届いた時にはもう遅いのだ。私はグー、ケンさんはパー。脱ぐもの……脱ぐもの……ああもうニマニマした目つきがじっとりと絡みついて恥ずかしい!
「スリッパ脱ぎます! さよなら!」
「そうはいくか! よよいのよい!」
「わ~~ん私の馬鹿アホ雑魚レンチンして爆発した玉子」
今度はチョキとグーで負けた。真っ白なVRCの床に膝をつきつつ野球拳に泣くなんて想像してなかった。ドラウスさんへ、もう抜け出して新横浜を出歩かないので助けてください、〇より。うう。
スリッパに続いて靴下を脱ぎながら、持ち物が取られた不安感が募ってジリジリと追い詰められていく。あと脱げるのは上下と下着のみなのだ。もしここで脱いだらとてもじゃないけど平気な顔して生活できなくなる。
「よい」
「言ったそばから!! もうちょっと手加減とかして!」
またグーとパーだ。だってこれ以上どこ脱いだら……あ、キャミソール? でもそれもだいぶ恥ずかしいけれどそれ以外にない。ごそごそと服の中に手を入れて肩から外し、ずるっとキャミソールだけ引き抜いた。胸がすーすーして少し寒気を感じる。
「そうやって着替えんのか。腹チラゴチです」
「正直にもほどが」
「よい」
「……っ、もうやぁ……」
パーとチョキ。収容服はパンツスタイルなので下から脱ぐわけにもいかず、となると残されたのはブラのみだ。へたりと座りこんでとりあえずワッフルに口をつけると極上の甘みで泣きそうになった。
ケンさんもそう急かすわけでなく同じくワッフルに手をつける。うま、とこぼす姿は普通にちょっとかっこいいワイルドめなお兄さんなのになあ。どうしてこうなっちゃったんだろうなあ。
「み、見ないでね」
「え? ガン見するけど」
「ウソとかつけない?」
宣言通りガン見してくるケンさんは背中のホックを外す音にすら興奮するようで、うおおおお! と雄叫びをあげた。恥ずかしすぎて顔に熱が集まるのを感じながら肩紐も外す。けれど完全に脱ぐのは……ノーブラになってしまう。絶対無理だけど助けを求めるようにうるうるっと懇願する目を向けると彼はますます息を荒くして「お前が涙目で真っ赤になってるの超腰にくる」とか言ってきた。ここに希望はない。
「あの、脱ぐけどノーコメントにしてほしい」
「ハアハアありがとう神よ」
「吸血鬼が神に感謝すな!」
何が悔しいってまだ一回も勝ててないのが悔しい。彼の顔くらい明かせたら覚えておくのにほぼ目元しか見えないのだ。悔しいながらも渋々ブラを脱いで引き抜いて、見えないように背中側に隠した。
「ぬ、いだ……」
「アンダーが細身だがカップ自体はそこそこあるな。ブラは四分の三カップで白と。レースの質もなかなか良いな」
「何馬鹿なこと言って」
「それで、中身は?」
急に接近してきた彼に脳内で警告音が鳴る。これ以上負けたらやばい。ほんとに身ぐるみ剥がされる__と後退ると背中に硬い壁の感触があった。しめた、と喜ぶケンさんは最早獣だ。たす、たすけてパパ__!
「〇君いる? あ、いたいた。帰るよ」
「えっ、あ」
祈ったその時、後ろの壁……否、扉を開けて現れたのはドラルクさんだった。彼は私を見つけると親猫が子猫を回収するみたいにしてすぐに部屋から出した。あまりにも突然のことでケンさんもびっくりしてついて来ず、なんとか右手で脱いだばかりのブラだけ掴んで焦りながらついていく私にマントをかけながらドラルクさんが言う。
「あんなのにまともに付き合うんじゃない。お父様がかなり怒ってる」
ドラウスさんが怒ってる……!? ドキリと心臓が痛んでぎゅっと全身苦しくなった。でも当然だ、心配かけたかったわけじゃないけれど向こうからしたら突然消えたも同然なのだから。茹でたほうれん草みたいにシュンとした私を見てドラルクさんは続けた。
「まあ嘘だけどね。VRCに居るって言ったら君のことが心配で震えすぎてマナーモードみたいになってた」
「じゃあ怒ってない?」
「いや」
「私が少し怒ってる」
VRCを出たところの信号が赤に変わったのと同じタイミングだった。ぱた、と立ち止まると同時に世界が冷えた気さえした。ドラルクさんの表情は伺えない。
電話をかけた時はこんな雰囲気ではなかったと思うので、出かけたこと自体が悪かったわけではないらしい。それなら何が? 思い返せば気になるのは"あんなのとまともに付き合うんじゃない"という言葉だけだった。
「あの、すみません馬鹿なことして。ケンさんのことですよね」
信号機は車を止めて青を灯す。事務所へ帰るために再びドラルクさんと歩き始めた。
「っしゅん」
不意に冷たい風が吹き抜けてくしゃみが出た。それを聞いてドラルクさんはやっとやれやれという顔をこちらに見せてくれる。
「だから言わんこっちゃない。野球拳なんかしたら冷えるだろう。服は今度ヒナイチ君にでも頼んで持ってきてもらうとして」
「はい……」
「この街には変態がウヨウヨ居るんだ。あまり気を許さないように。全裸かビキニでY談を喋らされたくなかったらね」
凄まじい街だ……。とにかくコクコクと頷くとドラルクさんはよろしいと言ってくれた。これでお咎めなしらしい。
事務所に帰るとドラウスさんが大型犬のように飛びついてきて、野球拳なんて言えるわけもなくただ謝った。またドラルクさんとの秘密が増えてしまったな、と思う。