年も明けて体の重い日々。秋に比べればサバイバーもハンターも動きが鈍く、やる気がしないからとどこかの戦場よろしくサッカーをするような日もあった。今日も足を引きずるようにゲームを終えて夕食の席につきぼんやりして出来上がるのを待つ。
　テーブルにはノートンさんやらウィラさんやらが居るけれどお互い話す様子もなくただ時間を潰している。うとうとし始めた意識が頭に乗っかって額をテーブルにつけさせた。まあ、暫くは寝ててもいいか……。
　そうして三分ほど寝落ちしたような体勢でいたときのことだった。意識はもそもそと動いていて、恋人の声を捉えた。

「あれ、眠っているのかな」

　イライ？　そう思った瞬間身体が持ち上げられる。瞼が開かないまま運ばれてふわふわのなにかに横たえられた。扉を開く音が二回したからベッドの上だろうか。
　それでも声を出す気にはなれない。寝たフリをしているようでイライには悪いけれど黙っていれば、あたたかくてしっかりとした手のひらが頭を撫でた。
「〇」
　とびっきりのやさしい声色。恋人が寝ているともなればなにかしていってしまいそうなものだけれど、私の恋人は少し愛情が深すぎたようだ。
　彼はゆっくり撫でた手のひらで私の前髪を退けると額に軽い口づけを落として言ったのだ。

「今日はよく頑張っていたね。……だけど、君は少し心配になるくらい勇敢だ」

「私も居ることを忘れないで。おやすみ」

　布団がかけられて照明が落ちる。絵本を読み聞かせるような声にまどろんでゆく意識の淵で思う、確かにこの人を好きになって良かったと。