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「わっあ!」
クローゼットを開けるとジャックが飛び出してきた。驚いて足がもつれ倒れそうになった私を、ジャックはがしっと捕まえて支えてくれる。今日は甘酸っぱい木苺の匂いがした。
「……なに? どしたの?」
心臓がばくばくして落ち着かない。
なにも言わずにお互いの鼻と鼻をあわされて、そのままずらされてキスをされる。
「っん……なにっ、まって……っ!」
今日はいつにもまして距離が近い……!
肩から足首までぴったり触れあって、なにもかもが聞こえちゃう。二人の息遣い、彼の唾液を呑み込む音、私の鼓動、その全部があつい。
どうしてだろって考えようとしても、絡みつく舌に頭の中のものを全部奪い取られてしまった。
「は……あっ……」
「……」
「じゃっく……?」
動かなくなったジャックの頬に手を添えると、急に身体が浮かんだ。
とはいえジャックに抱えられているわけではない。なんかジャックが手のひらをふわっと動かしたら浮いていた。
「えっ……え!? ほんとなんなのどこいくの__!」
クローゼットの中にしまわれて、くるくる身体が回って、ぎゅっと抱きついたら安心させるように背中が撫でられる。
角砂糖が紅茶に落ちる音、時計の針を回す音、オルゴールの奏で、それから……。
暗闇に光が差す。
「……あ……っちゃった……ああ、起きたね。ネクタイ踏まないように気をつけて?」
ハートだらけのネクタイが見える。あ、あんな柄もあったんだ。黒いのも赤いのもあるけれど白いのはない。へえ……ぼすんっ。
着いたのはジャックのふわふわベッド。窓際に小さな鉢があって、ハート型のレモンがなっている。曰く、リクルーターになるまでは姫林檎が植えてあったんだって。
部屋をあまり見渡す間もなく背中から覆い被さられて、ベッドに沈みこむ。ワンダーな恋人ってこういうとこ大変よね。なにがあったのか全然分からないの。
「なにもないよ」
向こうはこっちの心分かってるぽいの。
「ねえジャック、私いっつもベッドにばかり居る気がするんだけど……」
「じゃあこっちにしよう」
「わっ!」
ぽんっと二人いっしょに浮かぶ。ぐるぐるって空が回ったと思ったら木漏れ日の差す森に居た。
ジャックはいつのまにか上着を脱いで帽子も取っていて、バッチリなウインクを見せられた。
「涼しくていい場所でしょ?」
いい場所……というか、どことなく悔しいけれど最高の場所だ。
森は大好きだし、草も柔らかくて揺りかごみたい。目を閉じれば花たちの歌が風に乗って運ばれてくる。
「こんな穏やかな場所もあるんだね。ずっと居てもいいくらい……」
「いいよ?」
「真顔はやめてほしいなー……」
冗談にならない。話題を変えようと目をそらしたらネクタイをゆるめたジャックの首に視線がいってしまってまたすぐにそらした。
いつもは見えないからか、なにかいけないものを見てしまったような気がして。
「……へえ?」
「な、なに」
「あんな奴が兄だから僕くらいじゃと思ってたんだけど、僕にもそういう顔してくれるんだね」
嬉しそうなジャックを見たら否定しようとも思えなかった。どうしようか迷った挙げ句、そうだよ、と返すのが精一杯。
「だから__あれ?」
世界のほころびを感じる。まだ帰るつもりはなかったのにどうしたんだろう。なにか世界を破るほどのエネルギーはあったっけ。
しゅるしゅるとほぐれて元に帰る中で、最後に見えたのは珍しい照れた顔だった。
■
クローゼットの前で目が覚める。私を押し込んだはずのジャックも遅れて目が覚めたようで伸びをした。
「ふあ~……よく寝た」
「どこからどこまで寝相だったの!?」
-------
寝相でワンダーランドへ連れ込む習性があるジャックハート。
クローゼットを開けるとジャックが飛び出してきた。驚いて足がもつれ倒れそうになった私を、ジャックはがしっと捕まえて支えてくれる。今日は甘酸っぱい木苺の匂いがした。
「……なに? どしたの?」
心臓がばくばくして落ち着かない。
なにも言わずにお互いの鼻と鼻をあわされて、そのままずらされてキスをされる。
「っん……なにっ、まって……っ!」
今日はいつにもまして距離が近い……!
肩から足首までぴったり触れあって、なにもかもが聞こえちゃう。二人の息遣い、彼の唾液を呑み込む音、私の鼓動、その全部があつい。
どうしてだろって考えようとしても、絡みつく舌に頭の中のものを全部奪い取られてしまった。
「は……あっ……」
「……」
「じゃっく……?」
動かなくなったジャックの頬に手を添えると、急に身体が浮かんだ。
とはいえジャックに抱えられているわけではない。なんかジャックが手のひらをふわっと動かしたら浮いていた。
「えっ……え!? ほんとなんなのどこいくの__!」
クローゼットの中にしまわれて、くるくる身体が回って、ぎゅっと抱きついたら安心させるように背中が撫でられる。
角砂糖が紅茶に落ちる音、時計の針を回す音、オルゴールの奏で、それから……。
暗闇に光が差す。
「……あ……っちゃった……ああ、起きたね。ネクタイ踏まないように気をつけて?」
ハートだらけのネクタイが見える。あ、あんな柄もあったんだ。黒いのも赤いのもあるけれど白いのはない。へえ……ぼすんっ。
着いたのはジャックのふわふわベッド。窓際に小さな鉢があって、ハート型のレモンがなっている。曰く、リクルーターになるまでは姫林檎が植えてあったんだって。
部屋をあまり見渡す間もなく背中から覆い被さられて、ベッドに沈みこむ。ワンダーな恋人ってこういうとこ大変よね。なにがあったのか全然分からないの。
「なにもないよ」
向こうはこっちの心分かってるぽいの。
「ねえジャック、私いっつもベッドにばかり居る気がするんだけど……」
「じゃあこっちにしよう」
「わっ!」
ぽんっと二人いっしょに浮かぶ。ぐるぐるって空が回ったと思ったら木漏れ日の差す森に居た。
ジャックはいつのまにか上着を脱いで帽子も取っていて、バッチリなウインクを見せられた。
「涼しくていい場所でしょ?」
いい場所……というか、どことなく悔しいけれど最高の場所だ。
森は大好きだし、草も柔らかくて揺りかごみたい。目を閉じれば花たちの歌が風に乗って運ばれてくる。
「こんな穏やかな場所もあるんだね。ずっと居てもいいくらい……」
「いいよ?」
「真顔はやめてほしいなー……」
冗談にならない。話題を変えようと目をそらしたらネクタイをゆるめたジャックの首に視線がいってしまってまたすぐにそらした。
いつもは見えないからか、なにかいけないものを見てしまったような気がして。
「……へえ?」
「な、なに」
「あんな奴が兄だから僕くらいじゃと思ってたんだけど、僕にもそういう顔してくれるんだね」
嬉しそうなジャックを見たら否定しようとも思えなかった。どうしようか迷った挙げ句、そうだよ、と返すのが精一杯。
「だから__あれ?」
世界のほころびを感じる。まだ帰るつもりはなかったのにどうしたんだろう。なにか世界を破るほどのエネルギーはあったっけ。
しゅるしゅるとほぐれて元に帰る中で、最後に見えたのは珍しい照れた顔だった。
■
クローゼットの前で目が覚める。私を押し込んだはずのジャックも遅れて目が覚めたようで伸びをした。
「ふあ~……よく寝た」
「どこからどこまで寝相だったの!?」
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寝相でワンダーランドへ連れ込む習性があるジャックハート。