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※口調がゆるゆる
「そんなこと言わないで、おいで」
なんてロマンチックな言葉遣いだろう。映像さえなければ。
兄はいつか見たような赤ら顔でじりじりと私を追い詰めていた。帽子はテーブルに置かれていて、美しい角がよく見える。いやいやそんなこと言ってる場合じゃない。
「や、やだ……」
「捕まえたっ」
「わっあ!」
背中から捕らえられ、脇の下から手を差し込まれて持ち上げられた。ふわっと軽くなる身体と遠ざかる床……お兄ちゃん翼まで出てる!
「お兄ちゃんお兄ちゃん!? どれだけ飲んだの!」
「ファージャと数本開けただけさ~」
兄はそう言って私に頬擦りをする。アルコールの匂いさえしなければなんて素敵だったか。つまり今日の兄はただの酔っぱらぱらのお兄ちゃんなのだ。
「数本って、度数はっ」
「鳥に文字は読めないからなあ~」
「あーんもうだめジャック! たすけてぇ……っ」
さっきから部屋をぐるぐる飛び回っていて気持ち悪くなってきた。するとジャックの名前に反応したのか、最近寂しそうな兄が少し声を低めて言う。
「いいのかい? 今日ならいくらでも構ってあげられるのに」
「で、でも……」
いくらでも、を強調した兄の言葉、その目線。ねだれば端整な顔立ちをゆるませて穏やかに私を受け止めてくれるのだ。それできっと、いいこだねよしよしって……正直かなり魅惑的で……!?
「お兄ちゃんうしっ」
「コラ」
「いだっ」
「ろ……」
視界の端に蛸の足が見えたときにはもう遅かった。ごつん、とゲンコツのようなものをされた兄は私を放して、私の身体はふわふわの布団に落ちる。
「大丈夫? 僕の部屋行こうか」
「ジャック!」
ほんとに来てくれた。私が呼んだから? 声を聞き留めてくれたの? それってすごく嬉しい……!
顔を覗き込んできたジャックの頬を両手で包み、そのままの勢いで唇を軽く押しつけた。もしかしたら兄のお酒の匂いに当てられたのかも。そこまでは良かったのだけれど、驚いたジャックとバッチリ目があってしまって急に照れる。布団の中に入り込んでしまえば、ジョーさんが兄に話す声も聞こえた。
「お前はちと酔いすぎだ。あれはvの酒だぞ」
「wellwell.知っているとも~美味しかったなあ」
「お前なァ……」
「ジョーは海のお酒とか持ってないのかい?」
ジョーさんも大変だぁ……。
と思ったらパッと天井が見えた。消えた布団と近いジャック。えっ、予想以上に距離が近い。戸惑っている間にもジャックは私の足の間に膝を入れて、ぐっと上半身を引き寄せた。
「部屋行くよ」
「……はぃ……」
としか、返せないよね。
「そんなこと言わないで、おいで」
なんてロマンチックな言葉遣いだろう。映像さえなければ。
兄はいつか見たような赤ら顔でじりじりと私を追い詰めていた。帽子はテーブルに置かれていて、美しい角がよく見える。いやいやそんなこと言ってる場合じゃない。
「や、やだ……」
「捕まえたっ」
「わっあ!」
背中から捕らえられ、脇の下から手を差し込まれて持ち上げられた。ふわっと軽くなる身体と遠ざかる床……お兄ちゃん翼まで出てる!
「お兄ちゃんお兄ちゃん!? どれだけ飲んだの!」
「ファージャと数本開けただけさ~」
兄はそう言って私に頬擦りをする。アルコールの匂いさえしなければなんて素敵だったか。つまり今日の兄はただの酔っぱらぱらのお兄ちゃんなのだ。
「数本って、度数はっ」
「鳥に文字は読めないからなあ~」
「あーんもうだめジャック! たすけてぇ……っ」
さっきから部屋をぐるぐる飛び回っていて気持ち悪くなってきた。するとジャックの名前に反応したのか、最近寂しそうな兄が少し声を低めて言う。
「いいのかい? 今日ならいくらでも構ってあげられるのに」
「で、でも……」
いくらでも、を強調した兄の言葉、その目線。ねだれば端整な顔立ちをゆるませて穏やかに私を受け止めてくれるのだ。それできっと、いいこだねよしよしって……正直かなり魅惑的で……!?
「お兄ちゃんうしっ」
「コラ」
「いだっ」
「ろ……」
視界の端に蛸の足が見えたときにはもう遅かった。ごつん、とゲンコツのようなものをされた兄は私を放して、私の身体はふわふわの布団に落ちる。
「大丈夫? 僕の部屋行こうか」
「ジャック!」
ほんとに来てくれた。私が呼んだから? 声を聞き留めてくれたの? それってすごく嬉しい……!
顔を覗き込んできたジャックの頬を両手で包み、そのままの勢いで唇を軽く押しつけた。もしかしたら兄のお酒の匂いに当てられたのかも。そこまでは良かったのだけれど、驚いたジャックとバッチリ目があってしまって急に照れる。布団の中に入り込んでしまえば、ジョーさんが兄に話す声も聞こえた。
「お前はちと酔いすぎだ。あれはvの酒だぞ」
「wellwell.知っているとも~美味しかったなあ」
「お前なァ……」
「ジョーは海のお酒とか持ってないのかい?」
ジョーさんも大変だぁ……。
と思ったらパッと天井が見えた。消えた布団と近いジャック。えっ、予想以上に距離が近い。戸惑っている間にもジャックは私の足の間に膝を入れて、ぐっと上半身を引き寄せた。
「部屋行くよ」
「……はぃ……」
としか、返せないよね。