御堂 宰という男
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それからというもの、学校では常に彼女のことばかり考えていた。周りの評価はどうでもいいけど、超高校級と肩を並べるに相応しい人間にはなりたい。どうやったら彼女に近づけるだろう。何をすればオレに好意を抱いてくれるだろう。
隣のクラスだから、覗こうと思えば 休み時間にいつでも覗ける。今日も扉の陰に隠れながらみつばを眺めているところだ。やはり性格の良さと超高校級ということもあってか、みつばの周りには人が集まっている。散ったかと思ったら、また別のクラスメートが寄ってきて…の繰り返し。みつばはその度に丁寧な対応をしているが、あまり構ってほしくなさそうだ。
……オレにはわかる。純粋に仲良くしようという奴なんて稀だ。相手は超高校級だぞ?絢爛学院の連中が考えてることなんてお見通しだ。“あやかりたい”。これだろ?上に立つ人間と仲良くしておけば、いいことあるかもしれないもんな。
「……周りに群がる連中、邪魔だなぁ」
みつばがちゃんと見えないだろうが。オレはお前らとは違う。超高校級とか関係ない。オレ自身を見て、理解してくれた。そんな彼女自身に惚れたんだ。みつばがオレのことを見てくれているなら、オレもみつばのこと見ていないと。ずっと、ずーっと。みつばだって上辺だけの人間関係なんて煩わしいよな?オレがわかってるから大丈夫だよ。
─その後しばらくして、オレはみつばに呼び出された。
「ど、どうしたのみつば?」
「御堂…お前には言いたいことが山ほどあるが。まず、私の家まで後をつけるな。朝も迎えに来なくていい」
「えっ!?で、でも…」
「それから携帯。こそこそと物陰に隠れてこちらに向けているの、気づいていないとでも思ったのか?ストーキングに盗撮は犯罪だぞ。まさかどこかで盗聴もしているんじゃあるまいな」
「…………」
「貴様、図星か!!?」
思わず黙り込むと、みつばは勢いよくオレの胸ぐらを掴んでぐわっと詰め寄ってきた。ああ、顔が近い…!
「とっ盗聴はしてないって!しようと思ったけど踏みとどまった!!」
「その発言がすでにアウトだろうが!しかもなんだ!一昨日は 私とお前が昔からの許嫁だとか、恥ずかしがる私と一緒にデートしたとか 周りにホラ吹いてたらしいな!?妄想も大概にしておけよ!!」
「それは…。いや、だって…みつばのためなんだ、全部!!」
「わ、私のためだと……?」
声を張り上げて言うと、みつばはポカンとした表情でオレを見つめながら手を緩めた。すかさずみつばの手を握り直して距離を取る。
「みつばが変な奴に利用されたり絡まれたりしないように、オレがずっと見張ってあげてたんだよ!」
「上から目線に、何が“してあげてた”だ…。そういうところだと言ってるだろ!私はそんなこと頼んでいない!お前の行動のせいでクラスメートにも距離を置かれた気がする……」
「ああ、だからそれでいいんだよ」
みつばがはぁ、とため息をついている。呆れているのだろうけど、これは全て彼女のため。何も間違ってはいない。オレは笑みを浮かべてみつばを見下ろした。
「お前、何言って……」
「みつばにはオレがいればいいだろ?周りの奴らなんて、何もわかってないんだから。群がる害虫は駆除していかないと―……おぶっ!!?」
突然 頬に衝撃を受けて、オレは勢いのあまり床に倒れ込んだ。ぶたれたのだと理解したのは、その数秒後だった。頬がじんじんする…。子供の時に親父にぶたれたのを思い出した。
「とことんにまでクズな男だな。害虫?何故お前がそう決めつけている。人の交友関係にケチつけて、一体何様のつもりだ。お前の言わんとしていることもわかるぞ。だがあの場には、純粋に私に良くしてくれているクラスメートだっているんだ。何もわかってないのはお前の方だ。これ以上私と周囲の者たちに迷惑行為を行うつもりなら私はこう言うぞ。二度とその面を見せるな」
ハッとした時にはみつばはオレに背を向けていた。慌てて引き止め、必死に頭を下げながらそばにいさせてくれと懇願したおかげで何とか絶縁までは至らなかった。この調子ならみつばに好きになってもらえるのは程遠いだろう。今はそれでもいい。みつばのそばにいられるなら、オレを見てくれるならずっと―……。
そう、思っていたのに。
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