御堂 宰という男
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「……寝不足なのか?」
もしかして鍛練のせいとか?そのせいでちゃんと眠れていないのか?だとしたら、やはり超高校級だ。オレはさすがにそこまでじゃない。当然、彼女の方がオレ以上に努力しているということだ。
「ああ…。あまりいい夢を見れなくてな。いつも目が覚めてしまうんだ」
なんだ、そういうことか。そう思いながら彼女を見つめていると、彼女はスッと手を伸ばしながら身を乗り出してきた。伸ばされた手の指先がオレの頬に触れる。ドキリと、心臓が小さく跳ねた気がした。
「ふむ…。お前も決して顔色がいいとは言えないな。努力は認めるが、無茶はよくない。ストレスは溜めないように。……あまり人の目を気にするな」
……まさか、気遣ってくれている?今までそんなことなかったのに。何があっても、そうなるのは当たり前だという視線を向けられてきたのに。突然の出来事に驚いて硬直していると、彼女はふっと微笑んで椅子から立ち上がった。バッグを手に取ったので、もう用事は済んだ ということだろう。ハッとしてオレも立ち上がった。
「え、あっ……もう帰るのか?」
「ああ。雑談をしに来たという目的は達成されたからな。私はおいとましよう」
ごきげんよう、と言い残して去ろうとする彼女を見たオレは慌てながら無意識に言葉を発していた。
「あっ…あの!オレ、お前となら見合い、受けてもいい……かも!」
そう言った直後、自分の顔が一気にボッと熱を持ったような気がしたが、足を止めて振り返った彼女は変わらず無表情のままだった。
「……さっきと言っていることが真逆だぞ。この短時間でお早い心変わりだな」
「だ、だからそれは…今ちょっと話して 考えが変わったというか。いや、でもそうだよな。確かに急すぎるから、もう少しお互いを知ってからさ」
それは本当だ。誰でもよくて言っているわけじゃない。嬉しかった。こんな気持ちは初めてだ。彼女ならオレを見てくれる。オレを認めてくれる。自分が超高校級であることを鼻にかけているわけでもない。なんて素晴らしい、素敵な人。オレの理想かもしれない。
「そうか。私を認めてくれたなら光栄なことだが…。はっきり言っておく。私はお前との見合いはお断りだ。今後何があろうともな」
即答。一瞬にして拒否され、砕かれてしまった。
「お前の努力は認める…が、それとこれとは話は別だ。お前の話は色々と耳に入ってくるぞ。プライドが高く、人を見下した態度に言動。自己中で感謝はせず、それが当たり前だと思っている。さらには親のカードを使いまくるだと?呆れるほどのクズっぷりだな。色んなところを洗って出直してこい。お前のような男は友人としてでも願い下げだ」
彼女が部屋から出ていこうとして扉に手をかけると、オレの親父と母さんが前のめりになってよろけながら部屋に入ってきた。どうやら聞き耳を立てていたようだ。気まずそうに笑っている2人を彼女はじっと見つめながら口を開いた。
「……お言葉だが、あなた方に彼を責める権利はないかと。今の私にあるのは超高校級の肩書きだけだ。彼の方が認められてもいいのかもしれないな。…では、失礼」
そして今度こそ彼女は去っていった。…フラれてしまった。結構ボロクソ言われてしまった。しかし気持ちが冷めることはない。紳士的、かっこいい、美しい。好意を自覚すれば 様々な想いが一気に溢れてくる。もう周りの評価なんてどうでもいい。あの人にさえ見てもらえれば、オレを認めてくれれば。
オレの、女神様。
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