御堂 宰という男
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「……それで?私は今日、見合いということでこの場に呼ばれたようなのだが」
「……は!!?」
驚いて母さんを見れば、にこにこした表情で彼女を見つめていた。見合いだぁ!?どういうことだよ!そんなこと一言も聞いてねぇぞ!冗談じゃねぇよ!
「ええ…ええ!先程説明した通りです。こんな形で縁談を持ちかけて、みつばさんを利用するみたいで申し訳ないですけど。よろしければ是非友人から始めていただいて卒業後は息子と結婚、となればこんなに嬉しい事はないですわ。私は退室しますので、しばらくは2人でごゆっくり」
「おい、ふざけんな!また人の意見も聞かねぇで何が見合いだよ!」
慌てて呼び止めようとしたが、母さんはひらひらと手を振って客間から出ていってしまった。…最悪だ。チラッと見下ろせば、彼女もオレをじっと見上げている。諦めたオレは、舌打ちをしながら向かいの椅子に座った。
「……オレは見合いなんてお断りだぜ」
「奇遇だな。私もだ」
その言葉に嘘はなさそうだった。彼女は興味なさそうに頬杖をつきながら視線を逸らした。
「だったらなんでわざわざ来たんだよ?誘われた時点で断ればいいだろ」
「言っておくが、縁談はそこで断ったぞ。だが、お前の両親が話だけでもと言うんでな。私もお前には興味があった。だからただ話をしに来たんだ」
……興味、と言われてオレは目を見開いた。どういうことだ?オレのことを知っている?直接会ったことも、話したこともないはすだ。
「オレのこと、知ってんの?」
「知っているとも。御堂宰、あちこちで聞く名前だ。テストの成績は毎度2位をキープしているじゃないか。ああ、以前開かれた躰道の大会でも2位だったな。ここまで来ると2位に取り憑かれているのかと思うほどだが、それはともかく。努力なくしてその結果は残せんだろう。常に上を目指そうというその姿勢は尊敬に値する。私も見習わなければな」
まさか、と思った。オレの周りにいる奴らはどんなに近くにいてもオレを見てくれなかったのに。オレの努力を認めてくれなかったのに。それが、彼女は遠くからずっとオレを見てくれていた。努力していることもわかっていた。これは……う、嬉しい。
「み、見習うって言ってもよ。どうせ超高校級なんて生まれつきその才能持ってるんだろ。本気で努力してるのに追いつけない奴の気持ちなんて、お前にはわかんねぇよ」
吐き捨てるように言った直後、無表情だった彼女の視線がキッと鋭くなった気がした。
「努力はしていない、そう言いたいのか?それは聞き捨てならんな。他の超高校級に会ったことがないので比較は出来ないが、私は子供の頃から父の背を見て強くなることを目標に過ごしてきた。SP等のボディーガードに必要な能力がどれ程のものか理解しているか?まぁ、確かに超高校級と言われてはな…。才能だから人より努力してないんだろうと思われても仕方ないが、まさか そう断言されるとは心外だ」
……冷静になろう。言われてみればそうだ。昔から何かに打ち込んで、周囲に認められるほどの結果を残してきた。それが政府にも認められ、ギフテッド制度に選ばれ、超高校級と呼ばれるようになった。…だよな?オレは希望ヶ峰になんて縁なんてないし、かすりもしない存在だから詳しいことはわからないけど。
そこに少しの努力もなかったのか、と言われればそれは違うだろう。中には 好きでやっていたことが認められて、いつの間にか超高校級と呼ばれるようになった人もいるかもしれない。けど、彼女のような才能であれば、生まれつきの身体能力や知識だけでどうにかなるものでもない。……考えればわかることだ。無神経だった。
「……悪い。八つ当たりした」
「いいや、お前の気持ちもわかるよ。努力ではどうにもならないこともあるからな…」
そう言いながら、彼女は眠そうに目を擦っている。よく見るとあんまり顔色もよくないみたいだ。
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