王馬に仕返しする
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「王馬はかわいいな」
そんなことを言うもんだから、一瞬ハッと我に返った。何流されてんだオレ!こんな機会ないから、上手く利用して楽しんでやろうって意気込んだばかりだってのに。確かに六路木ちゃんの方からオレに寄ってきてはいるけれど…。求め方が違くない?だってこれじゃあ…。
「お、男がかわいいって言われても嬉しくないんだけどなー。まぁでも、オレがかわいいのは事実だからね!」
「うん、そうだな」
それ以上は何も言ってこない。オレの頬をスリスリと指で撫でて、じぃっと瞳を覗き込んでくる。ああ…やば。なんか知らないけど、体ゾクゾクする―……って違う!これはこれで悪くないけど、そうじゃないんだって!
「あ、あのっ六路木ちゃんさ。オレに何かして欲しい事あるんじゃないの?」
いつもの調子を保ちながら表情を作り、慌てて彼女から離れて距離を取ろうとした。…が、その直後 オレの視界に入ってきたのは部屋の天井を背景とした六路木ちゃんの姿だった。……お、押し倒された?本気の彼女の力は凄かった。いくら力を込めてもピクリとも動かせない。獲物を仕留める時はこんな顔してるのかなーと思うぐらい、鋭い視線をオレに向けている。
「六路木、ちゃ……」
「して欲しい?私ではなくお前が、だろ」
なんでこうなった。六路木ちゃんは意地の悪い笑みを浮かべている。完全に攻めの顔だった。たはー…。まさかこのオレが、主導権を奪われるなんて。
「ほら、言え。どうして欲しいんだ」
「……きっキス、してほしいです」
何故だか自然と敬語になってしまう。六路木ちゃんはスッと顔を近づけてきた。え、マジで?本当にするの?したいしたいとは思っていたけど、いざするとなると心臓がヤバイぐらいバクバクしている。況してや六路木ちゃんからしてくれるというのだから。
「あ…ぅ、六路木ちゃん……好き」
オレがそう呟くと、彼女は笑った。自分もだというように。ああ……六路木ちゃんがオレを見てる。六路木ちゃんからオレを求めてベタベタしてきて欲しい、かわいいところを見たいと思ってたけど、彼女のこんな顔を見るのも悪くない。もうなんでもいいやぁ。
そしてあと少しで唇が触れそう、というところで六路木ちゃんの動きがピタッと止まった。その拍子にさらりと流れてきた六路木ちゃんの長い髪がオレの頬にかかってくすぐったい。
「……ふ、本当にすると思ったか?」
「へっ?」
押さえつけていた手をパッと放し、六路木ちゃんはオレの上から退くと 乱れた自身の制服のシワを整えた。オレは訳がわからずに呆然として固まるしかなかった。……もしかしてからかわれた?六路木ちゃんのくせに!やってくれるじゃないかと言おうと思い上半身を起こすと、六路木ちゃんは唇に人差し指を当ててこう言った。
「また夜にでも」
「は、はぁい……」
かっこいい…かっこいい…!こんなことを言われては頷くしかない。その後、オレはドキドキしながら夜を待った。結局夜は ただ健全に一緒に寝ただけだったのだけど。
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