王馬バースデー
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その頃の食堂……。
「王馬くん、ごめん!」
「違う!もっと心を込めて!」
「えっ!?お、王馬くん…ごめんなさい!!!」
赤松の指導のもと、最原たちが王馬への謝罪の練習をしていた。
「うんうん。ちゃんと伝えれば王馬くんだって許してくれるよ。六路木さんはどうしてるかな…」
と、その時。ガチャッと音がして食堂の扉が開いた。そしてそこには王馬の姿が。王馬の姿を目にした全員は思わず身構え、王馬自身も食堂の様子に目を丸くしていた。
「…はっ?何これ。まさか六路木ちゃん、騙しっ…」
「お、王馬くん!これ!!!」
最原がずいっと王馬に包みを押しつけて頭を下げた。その勢いに王馬は後ずさった。
「えっ?ちょっと、最原ちゃん。何なの?」
「ごめん!僕、キミに酷いこと言ったよね…?いつも嘘ばかりついてるから、さっきの言葉もそうだと思って…。でもプロフィールを確認したら本当に今日誕生日だったから…。本当にごめん!!」
「オレも悪かったぜ…。機嫌取りのつもりじゃねーけどよ。テメーに誕生日プレゼントだ」
「……まぁ、悪かったよ。けど、あんたも悪いんだからね。ちょっとは嘘つくの控えなよ。…こういうとき、祝えなくなるからさ」
最原に続いて百田、春川も謝ってきたので、さすがに王馬も信じられないといった表情で2人を見つめた。
「王馬くん、誕生日おめでとう!」
「おめでとうっす。王馬君」
「小吉ーおめでとうー」
「お、おめでとう王馬君!!」
「…え。みんな、どうして…」
「みんなキミのために誕生日パーティーを開いたんですよ。…すみません。嘘だなんて言ってしまって」
状況を理解した王馬は、やってくれたな…とでも言いたげな表情で後ろの六路木に視線を向けた。六路木はふっと微笑むとぽんと王馬の頭を撫でてから食堂に入った。
「……な、なんだよ。別に嬉しくなんかないし…。今さらわざとらしいんだよ…」
「そ、それは…本当ごめん…」
「………ケーキは?」
ぼそりと王馬が呟いた。それに気づいた東条がホールサイズのケーキを持ち上げて王馬のそばに寄った。
「勿論、ここに用意してあるわ。貴方の好きな料理も作ったから、どれでも好きなだけ召し上がって頂戴」
「ちょっと貸して」
王馬は東条からケーキを受け取ると、じっとそれを見つめた。周囲が何だろうと思いながら王馬の様子を窺っていると……。
「オラァアアアアッ!!!!!!」
スパァァァンッ
「ぶふぉあ!!?!?」
「百田ーッ!!?」
「も、百田くん!?」
王馬はプロ野球選手をも凌駕する凄まじい勢いで手にしていたケーキをぶん投げ、百田の顔面に叩きつけた。一瞬にして食堂が静まり返り、百田の顔からはボトリとケーキの塊が落ちた。
「あースッキリした。今日はこれで勘弁してやるよ。だいたいこのオレにサプライズだなんて、百万年早いよねー。にしし」
「…お、王馬君…貴方…食べ物を粗末にするのは感心しないわね…」
「やべっ!ここは逃げるが勝ち!!」
「王馬君、待ちなさい!!」
わなわなと震える東条を目にし、王馬は食堂から飛び出していった。そんな王馬を追いかけるため、東条も素早く食堂から走り去っていった。
「…なんか、結局王馬くん出ていっちゃったね。あっ!私まだプレゼント渡せてない!!」
「うーん…。そうっすね。後で戻ってくるでしょうし、王馬君の分は取っておきましょう」
「百田くん…大丈夫?」
「王馬のヤロー…。チッ。いつもなら追いかけて取っ捕まえてるところだが、今日は勘弁してやらぁ」
百田は着替えてくる、と言い残して食堂から出ていった。
しばらくしてから王馬は東条に捕獲されて食堂にもどってきたのだが、その様子を見た最原と赤松は「この才囚学園に来てから今までで一番楽しそうに笑っていた」と言っていた。
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