王馬に仕返しする
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……で、朝食まで2人して散歩することになったわけなんだけど。
「……あのさ、六路木ちゃん。なんか距離近くない?」
いつもならオレの一歩先を行くか、もしくは一歩下がってオレの後ろをついてくるのに。今日はオレの隣を歩いているし、やたらその距離も近い気がする。気にしすぎか?これもたまたまか!?いや、オレは嬉しいからいいんだけど!
「護衛のつもりなら、動きづらいんじゃないかなーと…思ってさ…」
オレがそう言うと、六路木ちゃんは一瞬困ったような、寂しそうな表情で俯いた。
「……駄目、か」
「駄目じゃないです」
即答すれば、今度は目を細めてふわりと笑った。……笑った!!え、え?今日の六路木ちゃんおかしくない?本当に気のせいなの?
「ねぇ六路木ちゃん。手繋いでほしい」
「む。引率だな、任せろ」
「そうじゃない」
やっぱりいつもの六路木ちゃんだよなと思いつつも違和感は残っている。六路木ちゃんが何か企んでいるのかもしれないと思ったオレは、しばらく様子を見てみることにした。
そして朝食の時間。
「おはよう、みんな。…あれ?六路木さん。また王馬くんにやらされてるの?」
「オレじゃないよ最原ちゃん」
「今日は私がやりたくてやってるんだ。気にしないでくれ」
「え?そ、そうなの?珍しいね……」
最原ちゃんの言う通り。朝食に限らず、昼食も夕食も六路木ちゃんは無駄話はせずにいつも黙々と食べている。その隣でオレがベタベタしながら六路木ちゃんに食べさせようとスプーンを向けて、それを冷たくあしらわれ…が普段のパターンだ。なのに…。
「ほら、王馬。あーん」
今日はおもいっきり逆である。ご飯を持って席に着くや否や、オレの横にべったり身を寄せてスプーンを向けてきたのだ。しかも今も無表情じゃない!微笑みながらオレを見ている!写真撮っておきたいくらいレアだ。
「え、っと……。六路木ちゃん、どうしたの?いつもはオレがやると嫌がるし、逆にお願いしても断るでしょ?」
「ああ。だから今日はやってもいいかと思ったんだが…。食べて、くれないのか」
「食べる」
しゅんとしたのを見て、またもや即答してしまった。六路木ちゃんがせっかく食べさせてくれると言うんだ。いつもお願いしても断られるんだから、ここは受け入れないと損する気がする。最原ちゃんや百田ちゃんたちは、微笑ましいなーぐらいにしか思っていないのだろう。六路木ちゃんの様子を気にも留めていなかった。…やっぱり六路木ちゃんの気まぐれなのかなぁ。と、思っていたら六路木ちゃんがじっとオレを見つめていることに気がついた。
「……な、なに?」
六路木ちゃんは何も言わずに黙ってオレを見ていたけど、だんだんとその顔が近づいてくる。さすがにオレも内心慌てふためいた。内心ね。
そしてあと少しでキス出来そうってくらい、目と鼻の先で六路木ちゃんはピタリと止まった。
「はっ?ちょ、六路木ちゃ―……」
「ここ、ついてる」
そう言ってオレの口元に指で触れて、あろうことかその指をペロッと舐めた。これには最原ちゃんたちも固まっていた。オレもだよ。何してんだよ。絶対いつもはそんなことしないじゃん。だから距離もおかしいんだって。何がついてるって?ド近眼じゃないんだから、そんなに近づかなくても見えるだろ。
「王馬くんが赤くなってる……」
うっさい、バカ。
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