ホワイトデーも戦争だ
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「ねぇねぇ。六路木ちゃんのお返しなんだけど、マシュマロはどうかな?」
「…それ、意味わかって言ってるの?嫌われたくないならやめておいた方がいいよ」
あれ?なーんだ。最原ちゃんもお返しの意味知ってたんだね。たぶん元々知ってたっていうよりも、ホワイトデーだから色々情報漁って調べたんだろうけど。
「こういうイベント事に疎い六路木ちゃんが意味を知ってるとは思えないけどね〜。まぁ、そう思うじゃん?でもマシュマロの中にチョコが入ってれば“あなたの愛を純白で包みます”って意味になるんだって!」
「へぇ…。その純白って、この場合王馬くんってこと?だとしたらキミは純白どころか真っ黒だと思うけど」
「……最原ちゃんって、ちょくちょくオレに喧嘩売るよね」
とはいえ、最悪の事態になることを避けるためにもマシュマロはやめた方がいいかもしれない。というか、正直そこまでマシュマロにするかで悩んではいない。本当はマカロンにするかキャラメルにするかで悩んでる。そうか、ひらめいた!
「キャラメル味のマカロン作れば解決でしょ!!」
「急に何の話?」
「だからお返しだよ!買ってもいいけど、やっぱりオレも作ろうかな。百田ちゃんごときに負けたくないしね」
「ええっ!王馬くんも⁉お、男が手作りなんて…気持ち悪いと思われない?」
「そりゃ、大して仲良くもない人から貰えばドン引きだろうけど。オレたちは大丈夫でしょ」
そうと決まればさっそく作ろう。ホワイトデーは明日だ。失敗は許されない。……そう考えると、何だかコンティニューできないゲームみたいでワクワクするね‼
「で、最原ちゃんはどうするの?」
「……ぼ、僕も作るよ」
─────
───
諸々の準備を終えて学園の調理室を借りようと中を覗いたら、遠目でもわかるほど周りがぐちゃぐちゃに物が散乱しているのが見えた。その中にはエプロン姿の百田ちゃんがいる。
「あっ!パパがいる!」
「誰がパパだ!…って、なんだ。王馬かよ。終一も一緒か。どうしたんだ?」
「オレたちもホワイトデーのお返し作ろうって話になったんだよ」
「百田くんは確かチョコを作ってるんだよね」
「何それ。まさかとは思うけど、溶かして固めただけとか言わないよね?チョコにチョコのお返しって……百田ちゃんは芸がないね~」
「うるせぇ!確かにオレが作ってるのはチョコだが、ただのチョコじゃねー。なんたってこれは 宇宙に轟く百田解斗が作ったチョコなんだからな!!」
そう言って取り出したチョコを見せてもらうと、それは宇宙船の形をした大きめのチョコだった。それだけ。ただ、それだけ。他は何もない。既製品の薄っぺらいチョコが宇宙船へと姿を変えただけだ。わー!すごいね!乙女心舐めんなよ。
「百田ちゃんって、本当バカだよね」
「んだと!!?」
「まぁ…これはこれでいいんじゃないかな?百田くんらしいし」
「むしろ そんなの作るのは百田ちゃんくらいだよ」
さて。マカロン作るだけでもけっこう時間かかるしな…。早いとこ始めよう。ていうかマカロンはともかく、みんなにお返しするクッキーまで手作りすることなくない?なんでオレがそこまでしなきゃならないんだよ。…いや、オレはやる。やると言ったらやる。よし、やろう。
「テメーらは何作るんだ?」
「僕も王馬くんと同じクッキーだよ。あと飴…かな。王馬くんは他にマカロンも作るって―……」
そう言いながらチラッとオレを見た最原ちゃんは目を見開いた。
「って、もう始まってる!しかもこれまでに見たことがないくらい真剣な表情だ……」
「ちょっとそこ、うるさいよ!マカロンは熟練度が必要なくらい難しいんだよ!!神経使うんだから絶対邪魔しないでよね!!」
「ありゃガチだな……」
「みたいだね…。よ、よし。僕も頑張ろう」
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