ホワイトデーも戦争だ
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「……ふーん。お返しの意味ねぇ」
自室のベッドに背を預け、ペラペラと捲っていた雑誌を適当に眺めながら呟いた。先月のバレンタインデーに赤松ちゃんたちからチョコを貰ったので、そのお返しは何がいいかと考えていたところだ。義理堅い総統だって?そりゃ最低限の礼儀は必要だろうよ。
「みんなはクッキーでいいとして。六路木ちゃんは何がいいんだろう……」
ピンポーン
「んー?はいはい、どちら様?」
雑誌をベッドに放り投げて部屋の扉を開けると、何だかバツが悪そうな最原ちゃんが立っていた。
「あ、王馬くん……」
「最原ちゃん?どうしたの」
「え、えーと…あの。王馬くん今日空いてる?よければ一緒に過ごさない?」
なんだって。最原ちゃんからお誘いだと?いつもはオレから誘っても断るくせに。最原ちゃんの顔をじっと見上げると、うっと呻いて視線を逸らした。
「さようなら」
オレも視線を外して扉を閉めようとすると、ガッ‼と掴まれて阻止された。
「なんで!!?ちょ、ちょっと待ってよ!いつもキミの悪ふざけに付き合ってるんだから、話くらい聞いてくれてもいいだろ!!!」
「最原ちゃんからオレに近寄ってくるなんて絶対何か企んでるでしょ」
「まさかキミにそんなセリフを言われるとはね……」
「嘘だよ!オレが大好きな最原ちゃんを追い返すわけないじゃん!まぁ、とりあえず部屋入ってよ」
最原ちゃんの背中を押して部屋に入るように促すと、オレはベッドに座りながら足を組んだ。そこで最原ちゃんがじっとあるものを見つめていることに気がついた。彼の視線の先にはオレがさっき読んでいた雑誌がある。
「王馬くんも、やっぱりお返しするんだね」
「そりゃあね。最原ちゃんはしないの?」
「いや、もちろんするよ。するんだけど…さ」
なるほど?オレに話があって付き合ってほしいというのは、どうやらホワイトデー絡みのようだね。じゃなきゃ、このタイミングで最原ちゃんが誘ってくるわけない。
「何を渡すかまでは決まったんだけど、それを買いに行く勇気というか……。1人は自信ないから、もし王馬くんも決まってるなら一緒に買いに行かないかなー…なんて」
「……はぁ?」
思わず間抜けな声が出てしまった。呆れた。まさかそんな理由だとは。
「1人じゃ行きたくないとか女子かよ!!!女々しいにもほどがあるね‼だいたい、なんでそれをオレに頼むわけ?百田ちゃんはどうしたのさ」
「もちろん聞いたよ!でも…百田くんは“義理だろうがなんだろうが、手作りで貰ったなら手作りで返す!”とか言ってさ。その材料もいつの間にか揃えてたみたいで……」
へぇ……意外。百田ちゃんは手作りで返すんだ。何作るつもりか知らないけど、お菓子作りとかできるのかな?
「も、もしかして……王馬くんも手作りのつもりだったの?」
「いや?何を渡すかすら まだ悩んでるんだよね。みんなにクッキーあげるとこまでは決めたんだけど。最原ちゃんは赤松ちゃんに何あげるの?」
「え?あ、赤松さんは……飴、かな」
「……うん!予想通りの回答ありがとう!」
そういえば最原ちゃんは赤松ちゃんから別に何か貰ってたらしいね。たぶんあれは本命なんだろうけど、見た感じそれをきっかけに告白されたってわけでもなさそうだ。
「王馬くんはみんなとは別に、六路木さんにお返しするだよね」
「……どうして?オレ結局手作り貰えなかったけど?」
知らないふりをしてそう言えば 最原ちゃんの視線が鋭くなった。…始まったよ、この探偵は。
「嘘だね。僕もあの時 調理室を覗いたからわかるけど、六路木さんは生チョコ以外にも何か作っていたみたいだったよ。当日にキミを連れて部屋に向かったのは本当にプァンタを渡すつもりだったかもしれないけど、あのタイミングで2人きりになるなんて何かあるとしか思えない。赤松さんと春川さんの様子や発言から考えて、キミは彼女の部屋で本命を貰ってるはずなんだ!」
「バレンタインであることを考えれば 誰にでも出来そうな推理だね。あれも本命だったのか怪しいところだけど」
そこでふと、先程の雑誌の内容を思い出した。雑誌の中身はホワイトデーの記事ばかりで、お返しするお菓子によってどんな意味があるとかだったんだけど。
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