王馬バースデー
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「…馬鹿。バカバカ、最原ちゃんも百田ちゃんも春川ちゃんも!みんなヴァーカ!!!!!!」
なんだよ!どうせこれが赤松ちゃんとか天海ちゃんたちの誕生日だったら盛大に祝うんだろ!?
今日は!オレの!!誕生日なんだよッ!!!オレ、オレだって……一言くらい言ってくれてもいいじゃん。だれか喜んでくれてもいいじゃん…。クソ!こんなとこに閉じ込められてなきゃ、今ごろDICEのメンバーから盛大なサプライズを受けてるところだってのに…!!オレは何でこんなとこにいるんだ!!?………誕生日おめでとう、オレ。
「王馬クン?こんなところにしゃがみこんで、どうしたんですか?」
声が聞こえて振り向くと、キー坊と入間ちゃんが荷物を抱えて立っていた。2人一緒ってことは、研究室でキー坊のメンテでもしてたのかもしれない。
「……キー坊はさぁ。今日何の日かわかる?ヒントは1年に一度、大人になる日だよ」
これではもはや答えだけども。
「今日、ですか?何も特別な日ではなかったと思いますが…。…………あ、もしかして王馬クンの誕生日だとか―…」
それだ!と思ってキー坊の言葉にパッと顔をあげたが、すぐにそれは否定された。
「…なんて、そんなわけはないですね。そんな事を言ってもどうせ嘘だと言うんでしょう。キミが嘘つきだというのはわかってるんですからね!騙されませんよ!」
ここまでくるともう何の感情も沸き上がってこない。ロボットなんだからプロフィールくらいインプットしておけよ馬鹿野郎。
「……あは。バレた?なーんだ。誕生日だって嘘ついて何かふんだくってやろうと思ったのにさ。つまんないなー。じゃーね~」
「キミって人は…」
「あ?でもよ、今日って確か…」
入間ちゃんが何か言おうとしたのを遮ると、オレは2人に手を振ってから寄宿舎を目指した。…もう、いいよ。
「おい、ツルショタ!?…なんだよあいつ。はっ!これはもしや、遠回しにオレ様の発明品を誕生日プレゼントに寄越せって言ってやがんのか!!?」
「え、誕生日というのは王馬クンの嘘ですよね?」
「あ?嘘じゃねーよ。確かに今日はあいつの誕生日だぜ。ま、特に興味もなかったから忘れてたけどな」
「……そう、だったんですか」
*
「それ…まさか本人に言ってないよネ?」
食堂にやってきた最原にずいっと真宮寺が詰め寄ると、最原は少しばかり身を引いて答えた。
「…ごめん。それが、いつもの嘘だと思って…つい」
その場にいる全員が心の中でため息をついただろう。先ほど最原と百田、春川が食堂へやってきたので、他のみんな同様赤松が王馬の誕生日パーティーをしようと誘ったのだ。食堂は王馬に内緒で飾り付けがされ、東条が作ってくれたケーキや好物が並べられている。あとはみんな揃うだけだったのに。
「…あれ?誕生日って本当だったの?」
という最原の言葉に食堂が凍りついた。百田と春川も同じく、王馬の嘘だと思ったと言うものだから、こちらもまさかと思ったわけだ。そして冒頭の真宮寺が最原に詰め寄るシーンに繋がるのだが。
「でも王馬君、俺らのところには誕生日だって言いに来てないっすよね?そのおかげでこうして食堂で準備できてるんすけど…」
「最原君たちに嘘だと言われたから、他の人たちに言ってもどうせ同じ反応をされると思ったんじゃないかな?きっと今頃、拗ねて寄宿舎の自室に閉じこもってると思うヨ」
「…最原くん。さすがにそれは酷いよ。確かに最原くんたちの気持ちもわかるよ?私もそうだしさ。でもいくら王馬くんが嘘つきだからって…生まれた日まで否定しなくてもいいんじゃないかな?」
赤松にピシッと人差し指を突きつけられて、最原は片手で胸を押さえながらぐっと呻いた。先ほど、最原はみんなに言われてすぐにモノパッドを確認したのだが、王馬のプロフィールを見た瞬間にしまった…!という表情でモノパッドを凝視していた。本人も反省はしているのだろう。
「うっ…。ごめん、その通りだよ」
「オレもさすがに悪かったと思ってよ。さっきハルマキと寄宿舎に行ってみたんだ」
「あいつ、忙しいから今日はもう部屋から出ないって言ってたよ。…忙しいっていうのは嘘だね」
なんて事だ。王馬の性格上、おそらく宣言通り今日はなにがなんでも部屋から出てこないだろう。次の日になればケロッとして出てくると思うが…それでは遅い。
「そんなの駄目だよ!せっかく王馬くんの誕生日なんだよ!?天海くんたちに飾り付けしてもらって、料理だって東条さんに準備してもらったのに、それが無駄になっちゃうなんて…。主役がいない誕生日パーティーなんて、イチゴと蝋燭がないケーキと同じでしょ!!?」
赤松がぐっと拳を作って高らかに叫んだ。わかるようなそうでもないような例えだが、言いたいことはわかっている。しかしどうやって王馬を自室から連れ出せばいいのやら。
「本当にごめん…。僕のせいだ。とにかく謝ってプレゼントも用意するつもりだけど…。それで機嫌直してくれるかな?今さらご機嫌取りだって、逆効果にならないといいんだけど…」
「うーん…。ねぇ六路木さん!悪いんだけど、寄宿舎まで行って王馬くんを連れてきてくれない?あくまで自然にがベストなんだけど…。それまでこっちの空気は何とかしておくからさ」
パンッと目の前で手を合わせて頭を下げてきた赤松に私はたじろいだ。
「えっ?いや、何故私が?特別仲が良いわけでもないぞ。それなら今まで一緒にいた皆の方が…」
「ほら。最近王馬くん、六路木さんにくっついて一緒にいることが多いでしょ?もしかしたら六路木さんのこと気に入ってるのかなと思ってさ。キミの言うことなら聞くかもしれないし、お願い!」
そう言われては断る理由もないが、本当に上手くいくだろうか…。しかもサプライズだ。強引にでなく自然に連れてきて欲しいというのは、なかなか難しい注文だ。
「…わかった。何とか言ってみよう」
「ありがとう!」
「六路木さん、本当にごめんね。よろしく頼むよ」
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