キミの隣は…
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
食堂を飛び出して向かった先はもちろん六路木さんがいるところ。…だけど、正直どこにいるかわからない。とりあえず飛び出してきただけだ。六路木さんの好きな場所とか、普段過ごしてる場所がわかれば迷わずそこに行くのに…。朝起きてからずっと王馬くんに連れ回されているせいで、どこに行けば会えるのか検討もつかない。
「そうか…。六路木さんの行きそうな場所じゃなくて、王馬くんの行きそうな場所を探せばいいんだ」
だったら、今ならまだ教室あたりにいるはずだ。きっとそこで東条さんに作ってもらったお菓子を食べながら、次にどんなイタズラをしようか紙とにらめっこしているに違いない。
急いで僕たちの教室へ向かうとやはりと言うべきか、誰もいない教室で机の上にある紙に落書きをする王馬くんと、それを見つめる六路木さんがいた。
「あっ最原ちゃん!」
「…どうした?忘れ物か?」
2人を見ていると相変わらず王馬くんは六路木さんにベタベタしている。それを六路木さんは呆れながらあしらっているだけ。…いくら仲のいい友達でも、男女でその距離はないと思うんだけど。いいな…羨ましいな。ずるいよ。なんで王馬くんばっかり。僕だってもっと話したいし、一緒に出掛けたりしたいのに。王馬くんだけのものじゃない。彼女の隣は僕の―……。
「ねぇねぇ六路木ちゃん!次はこんなのどうかな?だいぶインパクトあると思うよ!」
「それは結構だが皆に迷惑をかけない程度にな。…というか、いい加減少し離れてくれないか。こうも密着されると動きづらい」
「えー。いいじゃん!オレたち仲良しでしょ?」
そう言って身を乗り出した王馬くん。…一瞬、時が止まったと思った。何をするかと思いきや、彼は六路木さんの頬に口付けをしたのだ。頬と言っても本当に唇ギリギリのところに。その瞬間、僕の中の何かが切れた気がした。
「王馬…!そういう冗談はやめろ!最原だっているのに…誤解されるだろう」
「にしし。いなかったらよかったの?」
「そういうことを言ってるんじゃない」
やめて。触らないで。やめろよ。彼女はキミのものじゃない。触るな。…触るな!!
「…ところでさ、最原ちゃんはさっきからぼーっと突っ立ってるけど何しに来たの?」
「ああ、そうだな。何か用事があったんじゃないか?」
「……用事。そう、忘れ物…取りに来たんだ。六路木さん、行こう。この後約束してたよね」
僕は彼女の手を取ると王馬くんから引き離すように引っ張った。そのせいで六路木さんは少しよろけてしまったけど。
「え?あっ…最原!?ど、どこに行くんだ?約束とは…」
「そうだよ!いきなり来て何なんだよ!六路木ちゃんはオレの護衛あるんだから、日を改めてよね!!」
「…そんなこと言っても、六路木さんはずっとキミに付きっきりじゃないか。話しかけようにもタイミングがないよ」
「あ…なるほど。確かにそれもそうだな。すまない、私に用事があったんだな。王馬…悪いが、今日はしばらく最原に付き合うよ」
一応王馬くんは依頼主だし、王馬くんの許可を貰わないと断られるかとも思ったけどそんなこともなく。六路木さんは頷いて僕に同意した。
「えー…。ちぇ、しょうがないなぁ。いいよ。じゃあオレはキー坊たちと遊んでくるね」
「ああ、気をつけてな。…さぁ最原。行こうか」
「あ…うん!あの、それじゃあ僕の部屋でもいいかな?あまり静かなところなさそうだから…」
これも嫌がられたらどうしようと思ったけど、六路木さんは首を縦に振ってすんなり受け入れてくれた。
.