王馬バースデー
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「最原ちゃーん!」
寄宿舎から出てきた最原の姿を見つけて、王馬が彼の名前を呼びながら駆け寄った。
「王馬くん。どうしたの?」
「今日はなんと!オレの誕生日なんだよ!1年で一番おめでたい日でしょ。何か言うことは?」
「あぁ…そうなの。おめでとう?」
最原は少し考えた後、首を傾げながら王馬に向けて祝いの言葉を述べた。誕生日だというのに、この反応は何だというのか。もちろん王馬は不満だろう。むっとした表情で最原を見上げた。
「何で疑問形なんだよ」
「いや。だって、どうせそれ嘘でしょ?」
「……は?」
「ちょっとごめん。僕急いでるから、またね」
「えっ…。あ、ちょっと、最原ちゃん!?」
予想外の出来事に反論する間もなく、最原はその場を去ってしまった。王馬は最原が去っていった方をポカンとしながらじっと見つめるしかなかった。あまりのことに固まっていたと言った方が正しいだろうが…。
仕方なく中庭の方へ行ってみると、百田と春川が一緒に過ごしていた。すぐに気持ちを切り替えて王馬は2人のもとへ駆け寄った。
「百田ちゃん、春川ちゃん!」
「おー、王馬か」
「……何か用?」
また何かイタズラを企んでいるとでも思われているのか、春川はジロッと王馬を睨み付けた。
「オレ、今日誕生日なんだよ!プレゼントちょーだいっ!!」
百田や春川の事だ。王馬に対してプレゼントは用意してないにしろ、おめでとうの一言くらいは言ってくれるんじゃないかと思ったのだが…。
「あのよぉ王馬…。それ、自分で言ってて虚しくならねーか?」
「…え?」
「誕生日って…どうせ嘘でしょ?あんたに渡すものなんて何もないよ」
「…は、え…?ちょっと、嘘でしょ。オレ本当に―…」
まさかの反応に王馬は目を見開いた。誕生日なのだ。今日は本当に。確かに普段の自分の行動を考えれば、それも嘘だろうと言われてしまうのも納得はいくし、仕方ない事なのかもしれない。それは自業自得である。だとしてもだ。
いつもの”嘘だよ“は一言も言っていない。毎日が誕生日だなんて、そんなつまらないことも言わない。1年間に一度だけだから、どんなサプライズがあるのか楽しみになるんじゃないか。だから素直に、“今日は誕生日なんだ”とみんなに知らせているのに。……だったらいっそのこと、自分の生まれた日ですら嘘にしてしまおうか。
「……なんだよ。バーカ」
「はっ!?お、おい王馬!!!」
「いいって百田。ほっときなよ」
王馬はぼそりと呟くと、百田と春川に背を向けて走って行ってしまった。百田はどうせ王馬のいつもの嘘だろうと思いつつ、個人のプロフィールを確認できるモノパッドを開いてみた。するとそこには。
「……おいハルマキ。もしかして王馬の奴、本当に誕生日だったんじゃねーか?」
「はぁ?何を……。あ、本当だ。他人のプロフィールなんて興味なかったし、気がつかなかったよ」
春川も百田に促されてモノパッドを覗き込む。そこには6月21日、今日の日付が王馬のプロフィールに記されていた。
「いくら王馬が嘘つきだからって、このプロフィールまで嘘なわけないだろ。あいつ、純粋に祝って欲しかっただけなのか…?」
「紛らわしいんだよ。普段嘘ばっかりついてるから。まったく…」
「あいつの生まれた日に嘘だろなんてのは…。さすがに酷いこと言っちまったな……」
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