キミを笑わせたい
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「…あっ!いたいた!最原ちゃん、いたよ!」
図書室の扉を少しだけ開けて覗いていた王馬くんが小声で手招きをした。僕も中を覗いてみると、六路木さんは図書室の奥の方で僕たちに背を向けて本を読んでいるところだった。
「まだ…僕たちに気づいてないみたいだね」
「手始めに“わっ!”って驚かすやつやってみようよ。最原ちゃん行ってきて!」
「僕が!?絶対そんなので驚かないと思うけど…」
王馬くんに促されて、僕はしぶしぶ図書室へと入った。こういうのは王馬くんがやればいいのに…。なんで僕、こんなことしてるんだろう。意を決してそろりそろりと彼女の背後に近づくと―…。
「…わっ!」
「!?」
伸ばした両手がぽすっと彼女の背中に当たったところまではまだ良かったが、僕はそのまま勢いあまって六路木さんに突っ込んでしまった。途中で振り向いた六路木さんによって受け止められはしたけど…。
「…っと、最原。驚いたな。どうした?」
「あ、あの…ごめん。背中を向けてたからついというか…。って、今のびっくりしたの?全然そんな感じじゃなかったけど…」
「そりゃ驚くだろう。後ろからいきなり飛びかかってこられれば、誰でもな。最原もそういう冗談をするんだな」
「あはは…」
六路木さんの中では驚いていたらしいが、まったくそうは見えなかった。乾いた笑いしか出てこない。これは全然効果なしだな…。六路木さんに受け止められた状態のまま、僕は図書室を覗いていた王馬くんにチラッと視線を向けた。そして王馬くんが指で作ったバツに対して、僅かに頷いて。
「…最原、大丈夫か?もしかして足を捻ったりしたのか?」
「あっ…ううん、大丈夫だよ。ご、ごめん六路木さん。読書の邪魔しちゃって…!それじゃあ僕、行くね!」
「え?ああ、じゃあな」
六路木さんから離れると、僕はそそくさと図書室を後にした。扉を閉めて王馬くんのところへ向かい、ハーと息を吐く。
「あれ驚いてたの!?」
「本人はそうみたいだね…」
「こんなもんじゃ駄目か…!最原ちゃん、次行くよ!」
そう言いながら王馬くんが懐から取り出したのは、彼自身が好きなプァンタだった。…なんだか…すごい嫌な予感がするんだけど。そう思った次の瞬間、僕の予想通りに王馬くんは思いっきり上下にそれを振り始めた。新品で、しかも炭酸を思いっきり振ったらどうなるかなんてわかりきっている。
「これを六路木ちゃんに開けてもらおう!」
「や、やっぱり…」
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