第7夜



「…た、ただいま…」

「あ、お帰りー」

中をうかがうように家に入ると、千里がパタパタと駆け寄ってきた。なんともなさそうだ…。

「大丈夫?今は落ち着いてるみたいだけど」

「うん…。とりあえずは。あー…あの、ごめん。…なさい」

軽く頭を下げながら謝ると、千里は手をひらひらと振りながら笑った。

「いいの、気にしないで。今はこの通り治ったから。でもねぇ、なんで私とレオで違うのかしら。同じ混血種なのに」

「そっか。…え?同じ?」

「え?同じでしょ。私も響と契約した混血種だもの」

!!?

そ、そうだったのか!?響や怜亜と仲がいいみたいだし、純血種かと思っていた。ほら、一応混血種だと上下関係あるし。そうか…前に怜亜が言っていた“千里に相談すればいい”っていうのは、元人間で同じ立場だったからか。

「帰ったか~?」

「!!ひ、響…」

「おいおい、そう構えるな。調子は?」

てっきり説教かなんかされるのかと思っていたが特に責めるわけでもなく、響はニコニコしながら僕に近づいてきた。逆に怖いんだけど。

「さっきと比べて何か変わったことはあるか?」

「えーと…いや、今は…別に」

「そうか、ならいい」

そこで一度会話が途切れ、しばらく沈黙が流れた。この空気の中自分の部屋に戻ろうとするのもなんだかなと思い、響に声をかけた。

「…響…あの」

「学校は?問題なく行けそうか」

「へ?あぁ…たぶん、大丈夫…」

「無理するなよ」

僕はそれ以上何も言えず、ただ黙っているしかなかった。さっきの怜亜といい響といい、意味深な発言はしてくるし…。何か知っている?隠してるのか?

そしてこの時はまだ、事の重大さに僕は気づいていなかった…。

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