第6夜



「みんなできましたかー?できた班から、いただきますをして食べていいですからね」

「………」

はっきり言おう。いただきたくない。味も大切だが、これは食欲が完全に失せる色をしている。見た目ほど重要なものはない。

「…レオ、食べないの?」

「よく食えるな」

「味はフツーのシチューだったわ」

そう言いながら千里はパクパクと食べている。だ、大丈夫…なのか?吸血鬼だから胃とかも丈夫とか?いや、これはダメだろ。目の前のシチューとにらめっこしていると、反対側の席から怜亜が手を伸ばしてきた。

「…熱いの、ダメ?ほら…あーん」

「やめろ気色悪い!それに、食べない理由はそこじゃない」

「…好き嫌い、よくない」

「だから違―…モゴッ!!」

ずぼっと勢いよくスプーンを突っ込まれた。熱い。そして痛い。喉まできた。

「…おいしい?」

「げほっ……お前!いきなりなにすん…っ…ごほっ…の、のどが…」

「 お い し い ? 」

「おいしいです」

笑みを浮かべる怜亜に殺意を抱いていると、今度は水を無理矢理押しつけられた。当然飲み込めずに、水は口元からぼたぼたとこぼれ落ちてしまった。なにこれ、いじめ?

「ぶふぅっ!!?……う、お前は…僕に相当な恨みがあるようだな…?」

「さっき、ヤケドしそうだったから」

誰のせいだ。

「レオくん、もう少し静かにね」

「!?…どう考えてもこいつのせいっ……」

思いっきり名指しの注意。ああもう、だから嫌なんだ。こいつらと一緒じゃなきゃ、今ごろ他の班とフツーにシチュー作って美味しく食べてたはずなのに。

「…何やってんだ、あいつら」

「さぁ?レオが拷問受けてるみたいだな」

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