第5夜
『 ……こいつら、今までどこに隠れていた?これじゃ、キリがない 』
「怜亜、僕はいいから周りの奴らをなんとかできないのか…!?」
『 ……駄目だ。レオはまだ、身体も力も未熟。やられたら…深手を負うどころか、下手したら死ぬぞ。力をコントロールして、自分の身を守れるようになれば、話は別だが 』
「う…!な、ならどうするって?ここで共食いにされるのはごめんだからな!!」
そうこうしている間にはぐれたちはじりじりと近づいてきていた。く、食い殺される……!!いくら考えても何も思い付かない。くそぉ、勉強しなかったせいで……長年のブランクの結果がこれか!!アホみたいな提案さえ出てこないとは!!怜亜はというと辺りを見回した後、何かを決めたように僕の目の前にしゃがみ込んだ。
『 仕方ない……一度退く。乗れ 』
「いや、乗れって言われても……」
『 早くしろ 』
「………」
僕はじっと怜亜を見た後、おずおずと背中にまたがった。
その瞬間、まだきちんとバランスをとってもいないのに怜亜はものすごい勢いではぐれたちの間をすり抜け、屋根へと飛び上がっていった。危うく落ちるところだった。
『 …ちゃんと掴まれ。振り落とされるな 』
「なっ!ちょ、危ない危ない!!」
ずり落ちるぅぅぅ!!!!!!
「なんだ?逃げるのか!純血種ともあろうものが!!」
『 黙れ…下等吸血鬼風情が。次同じことをしてみろ、八つ裂きにしてやる 』
怜亜は下から見上げているはぐれを唸りながら睨み付けた。ここまでは追ってこないか……。
「…はっ!くそが…」
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