第4夜
じゅるっ
「い゙っ……ぁあ゙っ……」
人間でいう、アルコール。血が酔いを誘うようで。甘い、甘い…オイシイ。自分の思考までもが人じゃなくなっていく。
だって血がこんなに―……!!
「……れ、ぉ…」
「………!!」
怜亜の僕を呼ぶ声に、ようやくハッとした。怜亜から離れると、首周りを血塗れにして苦しそうに息をしていた。自分のしたことに唖然とする。
「あ……」
「う……げほっ……」
苦しさは和らいできたのか、怜亜は落ち着いていた。しかしそのまま横になるように倒れてしまった。慌ててて駆け寄る。首元の傷はすでに治ってしまっていた。この程度の傷ならすぐに治るようだ。怜亜はそのまま深呼吸をすると、すぐに上半身を起こした。
「れ、怜亜…大丈夫……」
「……うん」
……ああ、ついにやってしまった。ショックのあまりその場に座り込んだ。相手が人間じゃなかったとはいえ、おぞましい行為をした事に変わりはない。それに確信してしまった。飢えが止まっているのだ。いくら食べても、朝はあんなに空腹感があったのに……今は何も感じない。むしろ満たされたようで、気分がいい。アルコールを摂取したかのようにクラクラする。
「う、そ…。僕はっ…なに―……」
「……大丈夫?」
先ほど怜亜に言った言葉を、怜亜は僕にかけてきた。今はもう何事もなかったかのような表情をしている。こっちがこんなに悩んでいるのに。
「大丈夫かだって!?そんなわけないだろ!僕はっ…こんなことして…血が……」
「別に、レオがおかしくなったわけじゃない。例えば、人間がオレたち吸血鬼の血を舐めても、鉄の味だと感じる。でも吸血鬼は、他人の血を甘いと感じてしまうようにできてる。酔いを誘う、感覚もある。そういう作用が、オレたちにはでる。だから―……」
「…あっ…うぁあああああっ!!!!」
こんなことまでしちゃって、もうわかってるんだ。自分が化け物になったことくらい…。
ただそれを、認めたくないだけなんだ。
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