第3夜
「え…体育?」
「ああ。学校来れるようにはなっても、運動はできないんだろ?」
「あ、え…そう、だな」
話しかけられて顔を上げる。次の時間は体育だった。休む方向で考えていたところだ。確かに体調はいいが、いきなりみんなと運動なんてしたらおかしく思われるだろう。少しずつ慣れるようにやっていこうかな。
「……やれば、いい」
「え?」
怜亜が近づいてそう言ったが、隣にいたクラスメートがそれを聞いて止めに入った。
「おいおい、何言ってんだよ。レオは病弱なんだぞ?下手に動いて倒れたりでもしたらどうすんだ」
「大丈夫」
「……」
クラスメートは、怜亜は転校してきたから僕のことを知らないと思って気づかっている。実際は怜亜も病弱だったのは知ってるし、吸血鬼になってしまった今はむしろ人間の身体能力を上回る動きができるのもわかっている。怜亜の言う通り、できるのはできるだろうが…。
「…僕、やるよ」
「大丈夫かよ?」
「ちょっとだけ。ヤバそうだったら、やめるから」
今日はサッカーらしい。本当に体調悪くなったら、他の奴と代わって抜ければいい。怜亜の方を向くと、こちらを見ながらうっすらと笑っていた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
「おい!!お前はそっちだ!ちげーよ、キーパーの近く行ってろ!!あーもう!…レオ!」
「……!」
「ほらっ!!シュート、シュート!」
「えっ、あ…!」
いきなりパスをされ、なんとか受け取ったものの……
ゴールが遠い。プロならいけるだろうが、普通は遠すぎて無理だ。それとも僕が鈍っているせいでそう感じるだけか。この際外しても仕方ない。そう思いながらゴールに向かって思い切りボールを蹴った…のがまずかった。
「あ、」
「あちゃー」
案の定、ゴールには入らずに奥の倉庫の方へ飛んでいってしまった。
その直後……。
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