第3夜
怜亜という男は僕の横に立つと、じっと見下ろしてきた。改めて見ると…赤い目が恐ろしい。しかもよく見るとやはり瞳孔が縦に割れている。僕がそれをじっと見つめていたことを思ってか、次第に瞳孔は丸くなり、人間と同じ形になった。周りからは、何?とか知り合い?とか言う声がする。
「……響、様の命により、今日からお前を、監視する。いかなる時でも、行動は共にさせてもらう」
か、監視!?何故に!?
何を考えてるんだあいつ!!
「人間の味方をするのは、かまわない。…でも、もし規定や響…様を裏切ったら、オレはお前を、殺さなきゃならない。…新参者は…信用できない奴もいる」
「……!!」
ぼそりと、周りに聞こえないように耳元で話したので、みんなは不思議そうにこちらを見ているだけだった。軽く睨むと、怜亜はふっと笑った。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
キーンコーンカーン………
ガタンッ
ガラララ ピシャンッ!!
「怜亜とか言う奴、レオの後くっついてばっかだけど…」
「仲いいのか?」
「さぁ…?」
ダンダンと足音をたてながら階段を上りきり、屋上の扉を勢いよく開けた。怜亜は無表情のまま僕の後ろをついてくる。朝からずっとこんな調子だ。怖い。フツーに怖い。どこに行くにもついてくるし、何をするわけでもなく側にいる。軽くストーカーを凌駕している。会話があるわけでもないので、周りから見ても絶対おかしい。
「ついてくるな!!鬱陶しい!」
「やだ」
やだじゃない…!!四六時中ベタベタされて監視なんて、居心地が悪すぎる。1人でゆっくり休むこともできない。響め…人には手伝えと言っておいて信用はできないってのか。
「……はぁ……」
僕は溜め息をつきながら、さっき買ってきたおにぎりを取り出した。そしてそのまま食べようと思ったのだが…。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…なんだよ」
「……別に?」
怜亜はじっとこちらを見たまま動かない。なんか怖いし、食べにくいんだが。
「こっち見るなよ」
「…気にするな」
気にするわ。
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