第3夜
「レオ、外に出ないのか?」
「え?」
ふと、窓の外を眺めていた響が振り返りながらそう言った。外か…動いても大丈夫かな。そりゃ僕だって外に出て気分転換はしたいけど。
「こもりっきりじゃ、つまらないだろ。ある意味では望みを叶えたも同然じゃないのか?」
「…どういう意味だ?」
軽く睨みながら言うと、相変わらず気にしないといった表情で響は笑いながら言った。
「外に出て、自由に動き回りたいんだろ?吸血鬼は日の光を浴びても平気だし、病気にもならないからお前の心配事は消えたわけだ。何か変化を感じないか?」
…言われてみれば、体が軽いような?気分もそれなりだし、動きすぎで倒れそうってわけでもない。吸血鬼は病気とは無縁なんだろうか。確かにそれだけ考えれば便利だけど。化け物なのに変わりはない。
「お前が下手に正体をバラさなければ、他の生徒と同じように生活していけるってわけだ。どうだ?」
「…そうか。学校……」
そうだ、学校だ。調子もいいし、今日からちゃんと通ってみようか。響を信用するわけでもないが、自分の体に何か変化があるのは確かだ。とりあえず気をつけよう。
「じゃあ…学校行って来る」
「いってらっしゃい」
後ろからそう聞こえて、思わず勢いよく振り返った。響がぽかんとした表情で僕を見つめている。
「……あ……」
「どうかしたか?」
「いや…いってらっしゃいって、久しぶりに聞いたから…」
呟くように答えると、響は笑いながら“そうか”と言った。
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