第1夜
【臨時ニュースをお伝えします。昨夜午後11時25分頃に〇〇区の〇〇公園にて、20代男性の遺体が見つかりました。男性の首筋には何かに噛まれたような跡が残っており、また、調べによりますと全身の血も抜かれていたようで真っ青だったということです。これを見た付近の住民は、最近噂されている吸血鬼の仕業ではと―…】
「……馬鹿馬鹿しい」
ぼそりとベッドに沈みながら呟いた。最近はこういった事件がよく起きている。確かに奇妙な事件だとは思うが、それが吸血鬼の仕業?ふざけている。その噂を流した人物は本気でそんな存在がいるとでも思っているのだろうか。
「……いるわけない」
窓の外を見る。
雨だ。
僕、比奈瀬レオは病弱なために、長いことこうして家に閉じこもっている状態だ。学校なんていつから行ってないだろう。一応通うことはできるが、こんな少しの運動もできないような身体じゃ行く気にもならない。
……だから、ふと思う時がある。吸血鬼は病気にもならないし、並はずれた身体能力を持っている。もし本当なら、僕も吸血鬼みたいになれたら……。こんな家に閉じこもってるなんてしなくていいのに。外も自由に歩けるのに。病気で死ぬこともないのに…。
「……結局、化け物ってことか」
僕はふらふらと立ち上がり、散歩に出かけるため傘を取り出した。
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