本編(改)
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3.To be invited(2)
あの人と同じこと言っていた──。
誉は、先ほどの幻影を追い払うように頭を振った。
気づいた時には、驚いた顔をした真一郎が目の前にいて、まるでふわふわと夢でも見ているような感覚に陥っていた。
──夢以外で、死んだ兄の姿が現れたことなど、今まで無かったのに。
誉は、雑念を払うように無心で道場の床を拭き始めた。周囲を見渡せば、とてもよく手入れされていることが見て取れる。普段から大事に使われているのだと分かった。
「あー腰痛ぇ」
床を拭きながらボヤく真一郎をみて、誉は苦笑した。
「先輩、鍛錬が足りませんよ」
この程度で音を上げるとは、総長の威厳はどこへやら──。
「終わったー!」
「今日は真一郎君たちがいたから早かったな!」
みんなで手分けしていた床の吹き上げが終わった。早く済んで、子どもたちの晴れやかな声が響く。
誉が立ち上がると、隣では真一郎が胡座をかいたまま、魂が抜けたようにぐったりとしていた。
「はい、先輩」
ひとつため息をついた誉が、徐ろに手を差し出す。真一郎は驚いたように目を瞬かせ、それから笑ってその手を取った。
──だが、神妙な面持ちの真一郎は、誉の手を握ったまま離そうとしない。ぐっと引っ張ってみてもびくともしなかった。
「……ど、どうかしました?」
「なぁ。こないだやってたアレ、教えて」
アレ──とは、もしや屋上で上級生を撃退した時のことだろうか。
誉は呆れ顔で微笑を浮かべ、
「稽古には参加しないくせにぃ」
「るせ。いいからほらっ」
これをきっかけに、やる気を出すかも──。そんな期待を密かに抱く。
誉は、簡単に出来そうな技を選び手を差し出した。
「じゃあ一度やってみますね。わたしの手首を思いっきり掴んでください。受け身ちゃんととってくださいね」
そう言えば、真一郎がぐっと力を入れて誉の手首を掴む──その瞬間、誉が真一郎の方向へ一歩大きく踏み込んだ。
「ぅおッ!?」
勢いよく肘を上げれば、掴まれた手が解ける。素早く手首を掴み返すと、逆の手で彼の手の甲を内側へ向かってグッと押えた。
思わず痛みから逃げようと真一郎が態勢を崩す。その勢いそのままに、誉は真一郎の腕を抱え込んだ。
一瞬にも満たない早業に、真一郎が気づいた時には仰向けに倒れていて──。
ダンッ!──という音が、技が決まったことを告げた。子どもたちの声で賑わっていた道場に、一時の静寂が訪れ──やがて、
「「「……すっげぇー!!」」」
「何が起きたのか全然わかんなかった!」
わっと歓声が弾けた。
「へぇ……やるじゃん」
ニヤリと口元を吊り上げる万次郎の横で、エマと圭介も、男の体を華麗に倒した誉の姿に釘付けだった。
「誉ちゃん、かっこいい!」
「真一郎君の彼女、ヤベぇ!」
「いや彼女じゃねぇよ」
すかさず万次郎のツッコミが入った。
「……マジか」
ギャラリーの声が湧き上がる中、真一郎は衝撃のあまり放心していた。
「先輩!めちゃくちゃ受け身キレイでしたねっ!」
と興奮気味の誉が言った。
「……稽古、出よっかな……」
ぽつりとこぼれた僅かな声も聞き逃さなかった。
誉は、嬉しさのあまり声を出して笑った。
卍おまけ卍
万次郎「どら焼きってこんなにうまかったんだ!」
エマ「あんこがいっぱいでおいしー!」
圭介「これ何個でも食えそう!」
誉「ふふふ。そのどら焼きまた買ってくるね」
万次郎「(もぐもぐ)」←5個目
真一郎「おい!おまえら俺の分も残せー!」
あの人と同じこと言っていた──。
誉は、先ほどの幻影を追い払うように頭を振った。
気づいた時には、驚いた顔をした真一郎が目の前にいて、まるでふわふわと夢でも見ているような感覚に陥っていた。
──夢以外で、死んだ兄の姿が現れたことなど、今まで無かったのに。
誉は、雑念を払うように無心で道場の床を拭き始めた。周囲を見渡せば、とてもよく手入れされていることが見て取れる。普段から大事に使われているのだと分かった。
「あー腰痛ぇ」
床を拭きながらボヤく真一郎をみて、誉は苦笑した。
「先輩、鍛錬が足りませんよ」
この程度で音を上げるとは、総長の威厳はどこへやら──。
「終わったー!」
「今日は真一郎君たちがいたから早かったな!」
みんなで手分けしていた床の吹き上げが終わった。早く済んで、子どもたちの晴れやかな声が響く。
誉が立ち上がると、隣では真一郎が胡座をかいたまま、魂が抜けたようにぐったりとしていた。
「はい、先輩」
ひとつため息をついた誉が、徐ろに手を差し出す。真一郎は驚いたように目を瞬かせ、それから笑ってその手を取った。
──だが、神妙な面持ちの真一郎は、誉の手を握ったまま離そうとしない。ぐっと引っ張ってみてもびくともしなかった。
「……ど、どうかしました?」
「なぁ。こないだやってたアレ、教えて」
アレ──とは、もしや屋上で上級生を撃退した時のことだろうか。
誉は呆れ顔で微笑を浮かべ、
「稽古には参加しないくせにぃ」
「るせ。いいからほらっ」
これをきっかけに、やる気を出すかも──。そんな期待を密かに抱く。
誉は、簡単に出来そうな技を選び手を差し出した。
「じゃあ一度やってみますね。わたしの手首を思いっきり掴んでください。受け身ちゃんととってくださいね」
そう言えば、真一郎がぐっと力を入れて誉の手首を掴む──その瞬間、誉が真一郎の方向へ一歩大きく踏み込んだ。
「ぅおッ!?」
勢いよく肘を上げれば、掴まれた手が解ける。素早く手首を掴み返すと、逆の手で彼の手の甲を内側へ向かってグッと押えた。
思わず痛みから逃げようと真一郎が態勢を崩す。その勢いそのままに、誉は真一郎の腕を抱え込んだ。
一瞬にも満たない早業に、真一郎が気づいた時には仰向けに倒れていて──。
ダンッ!──という音が、技が決まったことを告げた。子どもたちの声で賑わっていた道場に、一時の静寂が訪れ──やがて、
「「「……すっげぇー!!」」」
「何が起きたのか全然わかんなかった!」
わっと歓声が弾けた。
「へぇ……やるじゃん」
ニヤリと口元を吊り上げる万次郎の横で、エマと圭介も、男の体を華麗に倒した誉の姿に釘付けだった。
「誉ちゃん、かっこいい!」
「真一郎君の彼女、ヤベぇ!」
「いや彼女じゃねぇよ」
すかさず万次郎のツッコミが入った。
「……マジか」
ギャラリーの声が湧き上がる中、真一郎は衝撃のあまり放心していた。
「先輩!めちゃくちゃ受け身キレイでしたねっ!」
と興奮気味の誉が言った。
「……稽古、出よっかな……」
ぽつりとこぼれた僅かな声も聞き逃さなかった。
誉は、嬉しさのあまり声を出して笑った。
卍おまけ卍
万次郎「どら焼きってこんなにうまかったんだ!」
エマ「あんこがいっぱいでおいしー!」
圭介「これ何個でも食えそう!」
誉「ふふふ。そのどら焼きまた買ってくるね」
万次郎「(もぐもぐ)」←5個目
真一郎「おい!おまえら俺の分も残せー!」
