🐾本編🐾
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5.庇護
夜の街を颯爽と走り抜ける2台のバイク。
圭介は、千冬と共に東京卍會の集会場所である武蔵神社へと向かっていた。
「・・・場地さん。」
「あん?」
「その・・・場地さんの胸、膨らんでません?」
圭介の胸が、女性のようにふっくらと盛り上がっていた。最近、彼の周りではめっぽう不思議な現象が起きている。千冬は、まさか女の子に化けるネコの次は圭介自身が女になったのか。なんて冗談にならないことを想像しながら、彼の様子をハラハラしながら覗っていた。
「あぁ。これか。」
プチプチと特攻服のボタンを2つほど開けると、その隙間からぴょこっと顔を出した件の人物。いやネコが一匹。
「ええ!?〇〇っ!?」
「夜、オフクロが職場の同僚家に呼んで飲み会するっつってよ。その同僚が猫アレルギーで、〇〇追い出しとけっつーから連れてきた。」
「そ・・・そうだったんっスね・・・」
〇〇は目を閉じ、すました顔で正面から風を受けていた。千冬は、すっかり圭介に懐いているその姿に癒されつつ、何事もなけければいいが。と懸念を振り払うようにアクセルを回した。
「以上!解散!」
現状報告と、今後警戒すべきチームの情報共有で今日の集会は終わった。
我らが隊長の足元にすり寄る小さな生き物。壱番隊の面々は、始終そちらに視線が向いていたものだから、案の定集会の話など殆ど頭に入る訳がなく、終了の合図さえ気づいていないようだった。
「あれ、野良猫・・・?」
「いや、隊長のペットじゃね?」
「いや、あの場地君だぞ。あんなかわいいペット飼わねーだろ。」
千冬は、後ろから聞こえる囁き声に、ここは圭介の威厳を保つためにも早いところ散らした方がいいかと思い、オラさっさと解散しろテメーら。と一蹴すると、あっという間に全員そそくさと去っていったのだった。
「あん?もう全員帰ったのか。早ぇな。」
「場地さん。オレらも帰りましょう。」
「あれ?万子がいる♡」
「にゃあん」
その時、圭介の足元にいる〇〇に気づいた万次郎が、ニコニコと二人の元へ軽い足取りで近寄ってきた。めんどくせぇやつが来やがった。その姿を渋い顔をした圭介が睨みつけていた。
「万子じゃねぇ。〇〇だ。」
「えー?オレ万子気に入ってたのにぃ。」
「なに?マン子ってソイツの名前?」
万次郎の後ろについていた副総長 龍宮寺堅ことドラケンは、圭介にその身を寄せるネコの存在に気づいていた様子で話しかけてきた。高身長の彼が、小さな珍客をじっくり見てやろうとしゃがむと、そのネコが銀の毛色であることを認める。集会にペット連れてくる奴初めて見たわ。しっぽをゆるゆると揺らす〇〇に視線を向けたまま彼がぼやいた。
「ケンチン、バジが拾ったんだって。万子かわいいだろ♡」
「だから〇〇だっつってんだろ!」
「結局どっちなん?」
「ドラケン君、〇〇って呼んでやってください・・・」
「マイキー。ちょっと言い忘れてたこ・・・あれ、お前らなにやってんの?」
その時、万次郎への用事を思い出した弐番隊隊長 三ツ谷隆が境内前へと引き返してきた。彼は、4人が何かを取り囲むように話し込んでいる様子を不思議そうに見つめている。
「ネコ。」
「は?ネコ?」
ドラケンが必要最低限の単語で答えると、三ツ谷が眉を寄せ彼らが取り囲んでいる中心へと視線を向ける。すると、なにか心当たりでもあったのか、妙に納得したと言わんばかりの表情で近づいていった。
「ああ。壱番隊が妙にザワついてたのってコレか。」
「しゃーねぇな。ほら、〇〇~マイキー様が撫でてやるぞ~」
ばっと両手を開き、万次郎がおいでと声をかけると、〇〇がスルっと彼の方へと寄っていった。従順なその姿に、万次郎の顔もほころぶ。
「おまえってホントいいコだな~♪」
「にぁん」
万次郎は、余りの可愛さに抱き上げ〇〇に頬をすり寄せる。ぐりぐりと肌触りのいい毛並みを堪能する彼の様子を、怪訝そうに睨みつける視線。
「・・・チッ。」
「場地さん、どーどー。」
まんざらでもない〇〇の様子を見て、妙に腹立たしさが募る圭介。明らかにご機嫌ナナメな我が隊長を千冬が宥めにかかる。あれはしょうがない。〇〇の可愛さは魔性なのだ。
「へー。すげぇ人懐っこいな。」
「だろ?ん?どーした〇〇?」
〇〇が万次郎の顔をスンスンと嗅いでいた。その微笑ましい光景を、どこか懸念の拭えぬ表情で眺める千冬が圭介に向かって問いかけた。
「場地さん・・・〇〇って場地さん以外の人とキスして人間になったことってあるんスか・・・?」
「あん?無ぇけど・・・・・・ぁあ!!?」
嫌な予感。バッと振り向いた先では、万次郎と〇〇が鼻をすり寄せているところだった。
「あはは。このままちゅーしちゃうぞ~♡」
「マイキー!!待っ」
圭介が慌てて踏み出したが、阻止叶わず。万次郎の唇が〇〇の口元に触れた瞬間、ぼぉんっ。と明らかに大きくなった彼女の姿に、その場にいた全員が目を丸くする。万次郎が、突然何倍もの体重がかかった拍子に〇〇ごと後ろにひっくり返った。
「ぅわあっっ!?」
「マイキー!?」
どたーん!何が起こった。万次郎が倒れた衝撃で閉じていた目を開けると、身体の上に乗っかっているモノの姿を捉えた。満月のように輝く双眼とバッチリ目が合う。しばしそれを見つめること約10秒。裸の女の子に押し倒されているという状況をやっとのことで理解した万次郎が、目をパチパチさせると、
「・・・いい眺め。」
ふにっ。
「だぁぁぁぁぁあっ!!」
彼は、思わず〇〇の身体からたわわに実る膨らみを鷲掴みにしていた。その瞬間、周りと一緒になって放心していた圭介が特攻服を慌てて脱ぐと、がばっ!と勢いよく〇〇の身体に被せた。
「ケースケ。チフユー。ペヤンヌゥ~。」
圭介のものでは下半身が際どいので、〇〇は万次郎の長ランを着せてもらっていた。腹が減ったのか、元気よくペヤングを強請っている。
「どー見ても人間の女の子だな~。」
「信じらんねぇ・・・」
「しゃべり方がガキみてーに舌ったらずだな。」
先ほど、大方の事情を聞いた万次郎、ドラケン、三ツ谷の三人は、石段に座り一生懸命圭介たちに話しかける〇〇の姿を観察していた。
「ペヤン"ヌ"じゃなくてペヤン"グ"な。つか来る前に猫缶食わしたろーが。」
「相変わらず濁音が言えないんスね。」
「ヌ゙ゥ゙。」
突然、あ。なるほどな。と何かに納得したような万次郎が感嘆詞を上げると、何事かとその場にいた全員が彼に視線を向ける。
「バジがエマの服くれって言ってたのって、〇〇に着せる為だったのかぁ。」
「っおい!その話は」
「ケンチーン、バジのヤツ、エマのパンツまで強請ってさぁ~」
「は?パンツ?」
「ばっ!だからあれは!!」
「あぁ。この前エマが言ってたわ。」
え?想定外の反応に万次郎と圭介が面食らう。アイツしゃべったんかい!圭介は、ヤマシイことは一つもないはずなのに変な汗をかき始めていた。
「まぁ、場地が性欲処理にエマの下着使うとは思えなかったから、なんか事情があんだろとは思ったけど。流石のお前も、ノーパンノーブラの女の子と一緒にいるのは耐えらんなかった訳か。」
ははは、と軽く笑い飛ばす。流石は察しの良い男ドラケン。彼の読みの良さに、圭介は妙に感心した。というか、端から万次郎ではなく彼を頼った方が良かったかもしれない。と今更ながらつい思う。
そんなやり取りをしている間にも、〇〇はひたすら覚えたての言葉を千冬に向かってしゃべり続けていた。
「コンチフユー。ペケ。ハンブンコぉ。」
「ははっ。なんかちょっと前の妹たちみてぇ。」
三ツ谷の言葉に思わず圭介と千冬が振り向いた。そう、〇〇の人間の姿は彼らとさして変わらない年頃なのに、知能指数は2、3歳児くらいと言ったところだろうか。元々ネコなのだから、そんなもの数字で示すのもなんだかおかしな話なのだが。
「あぁ。確かに言葉覚えたての幼児って感じっスね。」
「〇〇って端からこんな感じだったの?」
「いや、最初は"にゃー"しか言わなかった。気づいたらオレの名前呼べるようになってた。」
ということは、徐々に人間の子どものように言語や知識を身につけていくのかもしれない。教えてやればもっとコミュニケーションを取れるようになるのでは。どこか他人事のようには思えない三ツ谷の、ちょっとしたお節介が顔を出す。
「絵本とか、テレビ見せてやると言葉覚えるの早いかもよ。ボロボロでよければ妹の絵本貸してやろーか?」
「おお。イイなそれ。」
「場地さんマジっスか?」
「それってさ、バジが読み聞かせるってこと?ウケんだけど。」
「ぁあ゙ン!?」
ぶっコ●す。やれるもんならやってみろ。一触即発の空気に副総長と副隊長が双方を押さえにかかる。その様子を苦笑しながら眺めていた三ツ谷が、そういえば。と圭介に問いかけた。
「〇〇ってどーやってネコに戻んの?」
「またキスすると戻る。」
「あ、なるほどな。」
「ほぅほぅ。よしやってみよう。」
「おいテメェ何してんだゴルァ。」
万次郎が、彼らの様子をぼーっと眺めていた〇〇に近づき肩を掴みにいったところで、圭介にその手を剥がされた。
「なんだよ。バジは毎日〇〇とチュッチュ出来んだろ?今日くらいオレにやらせろ。」
「黙れさせるかなんか腹立つ。」
「ケースケ~。ペヤンヌ゙ゥゥゥ。」
まだ諦めてなかった〇〇が、くいくいと圭介の袖を引っ張って強請る。言い合いをしていた二人も、思わずその姿に見入ってしまった。
その瞬間、圭介が動く。万次郎が静止した隙を逃すまいと流れるように〇〇へ唇を寄せていた。
ちゅ。
「あああああ!?」
「・・・アイツ、人前でも抵抗無ぇのな。」
「大体寝てる間に、〇〇が勝手に女の子になっちゃってるらしくて。場地さん、最早作業のようにするんスよ・・・」
「ウケんなそれ。」
ドラケンと三ツ谷に対し、千冬が半ば愚痴のように補足を入れる。
圭介は、総長特攻服を拾って持ち主にグイっと押し付けると、小さくなった〇〇を抱きかかえバイクを停めた場所へと足早に向かっていった。
「クソっ。今日は散々だった。」
「あむあむ。」
圭介は、帰宅するとペヤングを作り、人間に変身させた〇〇と夜食をとっていた。先程のやり取りを思い出し、ピリピリしながら割り箸で麺を持ち上げると、瞳孔の開いた彼女をじろりと一瞥する。
「つーかおまえ、マイキーに懐きすぎ。」
「ケースケ。ケースケ。あ~~~」
「・・・」
ペヤング待ちのお口に次の言葉が続かなかった圭介が、諦めたようにため息をつくと、その中に麺を放り込んでやる。
彼は、咀嚼する姿を見ながら考えていた。〇〇は、自分以外の人間がキスをしてもその姿を変えていた。今日は身内だけだったからよかったものの、こんな摩訶不思議な生物、他のヤツに見つかればどんなことになるか分からない。
「ウ、ウゥ、ウマ、ウマイにゃ~」
「はは。んだそれ。千冬に教わったのか。」
もう傷ついている姿は見たくない。ゴクっと焼きそばを飲み込む姿に視線を向けながら、圭介は胸糞悪い想像を払うように勢いよく麺をすすった。
ーーー卍おまけ卍ーーー
千冬「場地さん、"コンチフユ"って教えたの場地さんっスか・・・?」
圭介「おぉ。面白半分で言ったら覚えちまった。ウケんだろ?」
千冬「はは・・・」
〇〇「ペケ~コンチフユ~♪」
夜の街を颯爽と走り抜ける2台のバイク。
圭介は、千冬と共に東京卍會の集会場所である武蔵神社へと向かっていた。
「・・・場地さん。」
「あん?」
「その・・・場地さんの胸、膨らんでません?」
圭介の胸が、女性のようにふっくらと盛り上がっていた。最近、彼の周りではめっぽう不思議な現象が起きている。千冬は、まさか女の子に化けるネコの次は圭介自身が女になったのか。なんて冗談にならないことを想像しながら、彼の様子をハラハラしながら覗っていた。
「あぁ。これか。」
プチプチと特攻服のボタンを2つほど開けると、その隙間からぴょこっと顔を出した件の人物。いやネコが一匹。
「ええ!?〇〇っ!?」
「夜、オフクロが職場の同僚家に呼んで飲み会するっつってよ。その同僚が猫アレルギーで、〇〇追い出しとけっつーから連れてきた。」
「そ・・・そうだったんっスね・・・」
〇〇は目を閉じ、すました顔で正面から風を受けていた。千冬は、すっかり圭介に懐いているその姿に癒されつつ、何事もなけければいいが。と懸念を振り払うようにアクセルを回した。
「以上!解散!」
現状報告と、今後警戒すべきチームの情報共有で今日の集会は終わった。
我らが隊長の足元にすり寄る小さな生き物。壱番隊の面々は、始終そちらに視線が向いていたものだから、案の定集会の話など殆ど頭に入る訳がなく、終了の合図さえ気づいていないようだった。
「あれ、野良猫・・・?」
「いや、隊長のペットじゃね?」
「いや、あの場地君だぞ。あんなかわいいペット飼わねーだろ。」
千冬は、後ろから聞こえる囁き声に、ここは圭介の威厳を保つためにも早いところ散らした方がいいかと思い、オラさっさと解散しろテメーら。と一蹴すると、あっという間に全員そそくさと去っていったのだった。
「あん?もう全員帰ったのか。早ぇな。」
「場地さん。オレらも帰りましょう。」
「あれ?万子がいる♡」
「にゃあん」
その時、圭介の足元にいる〇〇に気づいた万次郎が、ニコニコと二人の元へ軽い足取りで近寄ってきた。めんどくせぇやつが来やがった。その姿を渋い顔をした圭介が睨みつけていた。
「万子じゃねぇ。〇〇だ。」
「えー?オレ万子気に入ってたのにぃ。」
「なに?マン子ってソイツの名前?」
万次郎の後ろについていた副総長 龍宮寺堅ことドラケンは、圭介にその身を寄せるネコの存在に気づいていた様子で話しかけてきた。高身長の彼が、小さな珍客をじっくり見てやろうとしゃがむと、そのネコが銀の毛色であることを認める。集会にペット連れてくる奴初めて見たわ。しっぽをゆるゆると揺らす〇〇に視線を向けたまま彼がぼやいた。
「ケンチン、バジが拾ったんだって。万子かわいいだろ♡」
「だから〇〇だっつってんだろ!」
「結局どっちなん?」
「ドラケン君、〇〇って呼んでやってください・・・」
「マイキー。ちょっと言い忘れてたこ・・・あれ、お前らなにやってんの?」
その時、万次郎への用事を思い出した弐番隊隊長 三ツ谷隆が境内前へと引き返してきた。彼は、4人が何かを取り囲むように話し込んでいる様子を不思議そうに見つめている。
「ネコ。」
「は?ネコ?」
ドラケンが必要最低限の単語で答えると、三ツ谷が眉を寄せ彼らが取り囲んでいる中心へと視線を向ける。すると、なにか心当たりでもあったのか、妙に納得したと言わんばかりの表情で近づいていった。
「ああ。壱番隊が妙にザワついてたのってコレか。」
「しゃーねぇな。ほら、〇〇~マイキー様が撫でてやるぞ~」
ばっと両手を開き、万次郎がおいでと声をかけると、〇〇がスルっと彼の方へと寄っていった。従順なその姿に、万次郎の顔もほころぶ。
「おまえってホントいいコだな~♪」
「にぁん」
万次郎は、余りの可愛さに抱き上げ〇〇に頬をすり寄せる。ぐりぐりと肌触りのいい毛並みを堪能する彼の様子を、怪訝そうに睨みつける視線。
「・・・チッ。」
「場地さん、どーどー。」
まんざらでもない〇〇の様子を見て、妙に腹立たしさが募る圭介。明らかにご機嫌ナナメな我が隊長を千冬が宥めにかかる。あれはしょうがない。〇〇の可愛さは魔性なのだ。
「へー。すげぇ人懐っこいな。」
「だろ?ん?どーした〇〇?」
〇〇が万次郎の顔をスンスンと嗅いでいた。その微笑ましい光景を、どこか懸念の拭えぬ表情で眺める千冬が圭介に向かって問いかけた。
「場地さん・・・〇〇って場地さん以外の人とキスして人間になったことってあるんスか・・・?」
「あん?無ぇけど・・・・・・ぁあ!!?」
嫌な予感。バッと振り向いた先では、万次郎と〇〇が鼻をすり寄せているところだった。
「あはは。このままちゅーしちゃうぞ~♡」
「マイキー!!待っ」
圭介が慌てて踏み出したが、阻止叶わず。万次郎の唇が〇〇の口元に触れた瞬間、ぼぉんっ。と明らかに大きくなった彼女の姿に、その場にいた全員が目を丸くする。万次郎が、突然何倍もの体重がかかった拍子に〇〇ごと後ろにひっくり返った。
「ぅわあっっ!?」
「マイキー!?」
どたーん!何が起こった。万次郎が倒れた衝撃で閉じていた目を開けると、身体の上に乗っかっているモノの姿を捉えた。満月のように輝く双眼とバッチリ目が合う。しばしそれを見つめること約10秒。裸の女の子に押し倒されているという状況をやっとのことで理解した万次郎が、目をパチパチさせると、
「・・・いい眺め。」
ふにっ。
「だぁぁぁぁぁあっ!!」
彼は、思わず〇〇の身体からたわわに実る膨らみを鷲掴みにしていた。その瞬間、周りと一緒になって放心していた圭介が特攻服を慌てて脱ぐと、がばっ!と勢いよく〇〇の身体に被せた。
「ケースケ。チフユー。ペヤンヌゥ~。」
圭介のものでは下半身が際どいので、〇〇は万次郎の長ランを着せてもらっていた。腹が減ったのか、元気よくペヤングを強請っている。
「どー見ても人間の女の子だな~。」
「信じらんねぇ・・・」
「しゃべり方がガキみてーに舌ったらずだな。」
先ほど、大方の事情を聞いた万次郎、ドラケン、三ツ谷の三人は、石段に座り一生懸命圭介たちに話しかける〇〇の姿を観察していた。
「ペヤン"ヌ"じゃなくてペヤン"グ"な。つか来る前に猫缶食わしたろーが。」
「相変わらず濁音が言えないんスね。」
「ヌ゙ゥ゙。」
突然、あ。なるほどな。と何かに納得したような万次郎が感嘆詞を上げると、何事かとその場にいた全員が彼に視線を向ける。
「バジがエマの服くれって言ってたのって、〇〇に着せる為だったのかぁ。」
「っおい!その話は」
「ケンチーン、バジのヤツ、エマのパンツまで強請ってさぁ~」
「は?パンツ?」
「ばっ!だからあれは!!」
「あぁ。この前エマが言ってたわ。」
え?想定外の反応に万次郎と圭介が面食らう。アイツしゃべったんかい!圭介は、ヤマシイことは一つもないはずなのに変な汗をかき始めていた。
「まぁ、場地が性欲処理にエマの下着使うとは思えなかったから、なんか事情があんだろとは思ったけど。流石のお前も、ノーパンノーブラの女の子と一緒にいるのは耐えらんなかった訳か。」
ははは、と軽く笑い飛ばす。流石は察しの良い男ドラケン。彼の読みの良さに、圭介は妙に感心した。というか、端から万次郎ではなく彼を頼った方が良かったかもしれない。と今更ながらつい思う。
そんなやり取りをしている間にも、〇〇はひたすら覚えたての言葉を千冬に向かってしゃべり続けていた。
「コンチフユー。ペケ。ハンブンコぉ。」
「ははっ。なんかちょっと前の妹たちみてぇ。」
三ツ谷の言葉に思わず圭介と千冬が振り向いた。そう、〇〇の人間の姿は彼らとさして変わらない年頃なのに、知能指数は2、3歳児くらいと言ったところだろうか。元々ネコなのだから、そんなもの数字で示すのもなんだかおかしな話なのだが。
「あぁ。確かに言葉覚えたての幼児って感じっスね。」
「〇〇って端からこんな感じだったの?」
「いや、最初は"にゃー"しか言わなかった。気づいたらオレの名前呼べるようになってた。」
ということは、徐々に人間の子どものように言語や知識を身につけていくのかもしれない。教えてやればもっとコミュニケーションを取れるようになるのでは。どこか他人事のようには思えない三ツ谷の、ちょっとしたお節介が顔を出す。
「絵本とか、テレビ見せてやると言葉覚えるの早いかもよ。ボロボロでよければ妹の絵本貸してやろーか?」
「おお。イイなそれ。」
「場地さんマジっスか?」
「それってさ、バジが読み聞かせるってこと?ウケんだけど。」
「ぁあ゙ン!?」
ぶっコ●す。やれるもんならやってみろ。一触即発の空気に副総長と副隊長が双方を押さえにかかる。その様子を苦笑しながら眺めていた三ツ谷が、そういえば。と圭介に問いかけた。
「〇〇ってどーやってネコに戻んの?」
「またキスすると戻る。」
「あ、なるほどな。」
「ほぅほぅ。よしやってみよう。」
「おいテメェ何してんだゴルァ。」
万次郎が、彼らの様子をぼーっと眺めていた〇〇に近づき肩を掴みにいったところで、圭介にその手を剥がされた。
「なんだよ。バジは毎日〇〇とチュッチュ出来んだろ?今日くらいオレにやらせろ。」
「黙れさせるかなんか腹立つ。」
「ケースケ~。ペヤンヌ゙ゥゥゥ。」
まだ諦めてなかった〇〇が、くいくいと圭介の袖を引っ張って強請る。言い合いをしていた二人も、思わずその姿に見入ってしまった。
その瞬間、圭介が動く。万次郎が静止した隙を逃すまいと流れるように〇〇へ唇を寄せていた。
ちゅ。
「あああああ!?」
「・・・アイツ、人前でも抵抗無ぇのな。」
「大体寝てる間に、〇〇が勝手に女の子になっちゃってるらしくて。場地さん、最早作業のようにするんスよ・・・」
「ウケんなそれ。」
ドラケンと三ツ谷に対し、千冬が半ば愚痴のように補足を入れる。
圭介は、総長特攻服を拾って持ち主にグイっと押し付けると、小さくなった〇〇を抱きかかえバイクを停めた場所へと足早に向かっていった。
「クソっ。今日は散々だった。」
「あむあむ。」
圭介は、帰宅するとペヤングを作り、人間に変身させた〇〇と夜食をとっていた。先程のやり取りを思い出し、ピリピリしながら割り箸で麺を持ち上げると、瞳孔の開いた彼女をじろりと一瞥する。
「つーかおまえ、マイキーに懐きすぎ。」
「ケースケ。ケースケ。あ~~~」
「・・・」
ペヤング待ちのお口に次の言葉が続かなかった圭介が、諦めたようにため息をつくと、その中に麺を放り込んでやる。
彼は、咀嚼する姿を見ながら考えていた。〇〇は、自分以外の人間がキスをしてもその姿を変えていた。今日は身内だけだったからよかったものの、こんな摩訶不思議な生物、他のヤツに見つかればどんなことになるか分からない。
「ウ、ウゥ、ウマ、ウマイにゃ~」
「はは。んだそれ。千冬に教わったのか。」
もう傷ついている姿は見たくない。ゴクっと焼きそばを飲み込む姿に視線を向けながら、圭介は胸糞悪い想像を払うように勢いよく麺をすすった。
ーーー卍おまけ卍ーーー
千冬「場地さん、"コンチフユ"って教えたの場地さんっスか・・・?」
圭介「おぉ。面白半分で言ったら覚えちまった。ウケんだろ?」
千冬「はは・・・」
〇〇「ペケ~コンチフユ~♪」
