名前変換のみです(苗字はそのままデフォルトです。申し訳。)
番外編
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※230話・公式Twitterネタバレ含 若狭に助けてもらうおはなし。真一郎もちょっと出ます
Extra editio9.
A catch
「っ!」
都内の図書館へ行った帰り道、〇〇は電車に乗っていた。吊革に掴まって立っていると、すぐ後方から何者かが異様に密着してくるのに気づく。混みあう車内、車体が揺れる度に乗客同士が押し押されな状態であるが、意図的に感じる近さと荒い息遣いに不快感を覚えた。
暫くすると、太もも裏を何かが走った。それは、人の手が触れたのだと分かる。痴漢だ。
しかし、ここで訴えたところですっトボケられで終わりかもしれない。腕を掴んで問い詰めようにも、この混雑で身体が思うように動かない。
そうこう考えているうちに、手は上へと上がってくる。怖い。こういう時の対処法を学んでおくべきだった。なんと不甲斐ない。〇〇は、恐怖と気持ち悪さに耐えるしかない状況に情けなくなった。
「おい、オッサン」
その時、若い男の声が響いた。ドスを利かせた威嚇の籠った声だ。同時に、中年男性のようなしゃがれ声が悲鳴をあげる。
「いっ痛だだだっ!?」
「フザけた真似してんじゃねーぞ」
間もなく、痴漢男の腕を捻りあげた若い男がそのままの状態で停車駅を降りる。慌てて〇〇もその後ろ姿について行くと、騒ぎを聞き付けた駅員が走って来た。
他にも、別車両に乗っていた数名が同じ被害を受けていた。男の目撃情報と合わせ、同様の手口である証言が取れたお陰もあり、あっさり現行犯逮捕となったのだった。
「あっ、あの。助けていただいてありがとうございました!」
漸く安堵した〇〇が、痴漢男を取り押さえてくれた男性に向き直り、礼を述べる。すると、男が振り返った瞬間、見覚えのある顔に大層驚いた。
「ん。別に」
「あ、えっと、あの、ぶっ黒龍 の」
特攻隊長 今牛若狭。
数える程しか顔を見ていないが間違いない。真一郎が総長を務めていた暴走族。そこに居た幹部の一人だった男だ。
「へぇ。オレのこと覚えてたんだ」
「は、ハイ。一応・・・今牛さん、今日はバイクじゃないんですね」
「あー。調子悪ぃから真ちゃんに修理頼んでる」
「しっ」
真ちゃん・・・
一瞬、誰のことか分からなかった。随分と可愛いあだ名で呼んでいるんだな。つい、そんなことを思った〇〇は、思わずニヤけそうになる顔面に必死こいて力を込める。
「・・・なにヘラヘラしてんの?」
「ひぁっ」
全く堪えきれていなかった。
その時、警察官と駅員が呼びに来た。若狭と〇〇にも事情を説明してほしいと、構内の別室へ案内されることに。
その後、長時間の聴取の末、やっと解放され安堵のため息をついた二人は、駅の外へと出ていた。
「あんた、〇〇だったっけ?」
「は、はい」
「真ちゃんに連絡入れとくか」
そう言うと、若狭がおもむろにPHS を取り出し電話をかけ始めた。真一郎は、自宅で一日中バイクをいじると言っていた。目の前に居る彼のバイクの事だったのかも、と〇〇は今頃楽しそうに作業をしている彼の姿を想像する。
「あー真ちゃん?今さ、表参の駅にいんだけど、〇〇が痴漢にあって今サツの聴取終わったんだわ。迎えに来てやってよ」
若狭は、何てことない口調で経緯を話し出した。電話の向こうでは、案の定真一郎の叫び声が大音量で漏れ聞こえてくる。思わず若狭が耳から電話を離した。
「っるせぇな。ア゙?だから、〇〇が痴、おい、真ちゃ・・・切りやがった」
「・・・」
ものすごく心配をかけてしまったであろうことは想像に難くない。だが、一人で帰るよりは迎えに来てもらった方が正直安心だ。若狭のお陰で、〇〇の心のザワつきが安心感に包まれる。
「今からなら、道混んでなきゃ15分。いや、真ちゃんなら10分で来るか」
「ここ座ってて」と言われた〇〇が駅前のベンチに腰掛け暫くすると、その場を離れていた若狭が緩々とした動作で戻ってきた。自販機で買ったのだろう飲み物を差し出され、少し申し訳なさそうに〇〇がそれを受け取る。
「ありがとうございます」
「ちょっとは落ち着いたか」
「はい。お陰様で」
彼があの車両に乗り合わせていなかったら今頃どうなっていたことか。本当に暴走族だったのかと疑うくらい、〇〇は若狭の気遣いに助けられた。
「わたし、護身術を習ってたんですが、ダメですね。いざと言う時、ちゃんと実践出来るようにしとかなきゃ」
「あー。真ちゃんが言ってたな。〇〇の頭突きは日本一だって」
「なんですって!?」
なんつーことを喋っているんだ。想定外の羞恥心に、彼から目を逸らした〇〇が俯いた。
「真一郎先輩のバカ・・・///」
「くくっ。いいね。日本一になった元総長と日本一の石頭を持つ"姫"ってとこか。お似合いじゃん」
「なんですかそれっ!?揶揄わないでください!」
〇〇が真っ赤になりながら缶コーヒーのタブを開けた。 隣に座る若狭は、余っ程可笑しかったのか未だにケラケラと笑っている。ここに真一郎が居れば問い詰めていたところだが、生憎不在の為に若狭を睨みつける〇〇のジト目。
「今牛さん笑いすぎです・・・」
「ワカでいい」
「え」
「みんなそう呼ぶ」
そう言うと彼は、缶コーヒーに口をつける。明司といい彼といい、初対面のイメージと大分違って驚く。つい、その横顔を見つめながら〇〇は考えていた。よく見ると、ヤンキーにしては(偏見)綺麗な顔立ちをしている。まつ毛も長くて羨ましい。
「・・・なに。惚れた?」
「へ!?」
「真ちゃんやめてオレにしとく?」
「いっや、やゃやややめませんっ///」
「うん、その方がいい」
そう言った彼の笑顔は、穏やかで印象的だった。きっと、若狭も真一郎のことが大好きなんだと、〇〇にはそう見えた。
その時、聞き覚えのある排気音が耳を掠めた。どんどん近づいてくる音がカーブを抜けると、その姿を現した。真一郎と愛機のバブだ。
「今日は一段とキレがいいな」
「安全運転で来たかな・・・」
真一郎が、目の前の路肩に停車させたバブから降りた。被る気があるんだか無いんだか分からないヘルメットを首にかけたまま、焦ったように二人の元へと駆けてくる。
いや、二人の元へ、というより〇〇目掛けて一直線だった。立ち上がった〇〇が、その勢いを逃がすようにたたらを踏んで全身で真一郎受け止める。
「〇〇っ!!」
「わっ!?」
「どこだ!どこ触られた!?オレが上書きしてやっから!尻か!!まさかおっおぉぉおっぱいかー!?」
「ちょっ、先輩!?やっどこ触っ」
ゴッ!と鈍い衝撃音が聞こえ、真一郎が頭を抱えうずくまった。彼が現れてからの展開が目まぐるし過ぎて、思わず〇〇の目も点だ。
「真ちゃん、それ痴漢ジジイと一緒だから」
「ワカ、手加減・・・っ゙」
「する訳無いでしょ」
若狭の握り拳を見て、あれが真一郎の脳天にヒットしたのだと悟る。
〇〇は以前、若狭は元々別の集団のトップを張っていて、その名を轟かせていた人物だと聞いていた。真一郎の頭蓋は無事だろうか。〇〇が本気で心配していると、いつの間にか正面に若狭が立っていた。
「〇〇、行くぞ」
「え?」
「ココにもクソ野郎がいるみたいだからな」
彼に肩を抱かれ、思わずドキッとする。〇〇が若狭を見上げると、ニヤリと何かを含んだ笑顔が見えた。あ、このパターン何処かで。
「な!?ザケんなワカーッ!!」
「なに?オレが〇〇から痴漢を撃退してやったのに、文句ある?」
「おっ、おま、そーゆー事言う!?」
「あ、あの、ワカ、さん?その辺にしていただいて・・・」
すると、突然真一郎の顔に衝撃が走った。滅多に見ない驚愕の表情に、何事!?と〇〇が困惑する。
「いっ、いつの間に「ワカさん」なんて呼ぶ仲に!?」
「え、と。さっき、ですけど?」
「〇〇は、変態真ちゃんなんかやめてオレの方がイイってさ」
「ぇえ!?そんな事言ってな」
「〇〇っ、おまえまでぇっ!!」
おまえまで、とは?妙に引っかかる彼の発言に、〇〇の眉間にしわが寄る。その様子を、笑いを堪えながら見ていた若狭が口を開いた。
「昔、真ちゃんが好きな子に告ったら、その子に「若狭くんの方がカッコイイからごめんなさい」って言われたんだって」
「そ、そんなことが・・・」
この男、分かっていて揶揄ったな。真一郎を見ると、目元に腕を擦り付けながらおんおんと泣いていた。古傷を抉られたようで、〇〇が不憫に思う。
仲が良いのは結構だが、程々にしてあげてほしい。〇〇は、苦笑いを浮かべながらため息を漏らした。
「ワカさん、ごめんなさい。わたし、真一郎先輩と帰りますね」
冗談だと分かっていながら律儀に断りを入れる〇〇に、若狭は「これ以上は止めておけ」と釘刺されたことを理解する。己が、"喧嘩も恋も最弱王"なんて呼んでいた男も、ちゃんと良い女を捕まえることが出来たらしい。と、思わず若狭の口角が上がった。
「ん。じゃあな」
「今日は、本当にありがとうございました」
若狭が手を離したのを確認すると、〇〇は涙を浮かべる真一郎の傍に寄っていく。先程の痛々しい一撃を思い出し、彼の頭を優しく撫でたのだった。
ーーー卍おまけ卍ーーー
ぎゅ。
真一郎「惚れちゃダメ。ゼッタイ」
〇〇「そんな標語どこかで・・・」
真一郎「グスン」
〇〇「わたしが好きなのは、真一郎先輩だけですよ///」
真一郎「・・・ちゅーしていい?」
〇〇「だっダダダメです!/// ココ外」
若狭「ねぇ。オレまだ居るんだけど」
Extra editio9.
A catch
「っ!」
都内の図書館へ行った帰り道、〇〇は電車に乗っていた。吊革に掴まって立っていると、すぐ後方から何者かが異様に密着してくるのに気づく。混みあう車内、車体が揺れる度に乗客同士が押し押されな状態であるが、意図的に感じる近さと荒い息遣いに不快感を覚えた。
暫くすると、太もも裏を何かが走った。それは、人の手が触れたのだと分かる。痴漢だ。
しかし、ここで訴えたところですっトボケられで終わりかもしれない。腕を掴んで問い詰めようにも、この混雑で身体が思うように動かない。
そうこう考えているうちに、手は上へと上がってくる。怖い。こういう時の対処法を学んでおくべきだった。なんと不甲斐ない。〇〇は、恐怖と気持ち悪さに耐えるしかない状況に情けなくなった。
「おい、オッサン」
その時、若い男の声が響いた。ドスを利かせた威嚇の籠った声だ。同時に、中年男性のようなしゃがれ声が悲鳴をあげる。
「いっ痛だだだっ!?」
「フザけた真似してんじゃねーぞ」
間もなく、痴漢男の腕を捻りあげた若い男がそのままの状態で停車駅を降りる。慌てて〇〇もその後ろ姿について行くと、騒ぎを聞き付けた駅員が走って来た。
他にも、別車両に乗っていた数名が同じ被害を受けていた。男の目撃情報と合わせ、同様の手口である証言が取れたお陰もあり、あっさり現行犯逮捕となったのだった。
「あっ、あの。助けていただいてありがとうございました!」
漸く安堵した〇〇が、痴漢男を取り押さえてくれた男性に向き直り、礼を述べる。すると、男が振り返った瞬間、見覚えのある顔に大層驚いた。
「ん。別に」
「あ、えっと、あの、ぶっ
特攻隊長 今牛若狭。
数える程しか顔を見ていないが間違いない。真一郎が総長を務めていた暴走族。そこに居た幹部の一人だった男だ。
「へぇ。オレのこと覚えてたんだ」
「は、ハイ。一応・・・今牛さん、今日はバイクじゃないんですね」
「あー。調子悪ぃから真ちゃんに修理頼んでる」
「しっ」
真ちゃん・・・
一瞬、誰のことか分からなかった。随分と可愛いあだ名で呼んでいるんだな。つい、そんなことを思った〇〇は、思わずニヤけそうになる顔面に必死こいて力を込める。
「・・・なにヘラヘラしてんの?」
「ひぁっ」
全く堪えきれていなかった。
その時、警察官と駅員が呼びに来た。若狭と〇〇にも事情を説明してほしいと、構内の別室へ案内されることに。
その後、長時間の聴取の末、やっと解放され安堵のため息をついた二人は、駅の外へと出ていた。
「あんた、〇〇だったっけ?」
「は、はい」
「真ちゃんに連絡入れとくか」
そう言うと、若狭がおもむろに
「あー真ちゃん?今さ、表参の駅にいんだけど、〇〇が痴漢にあって今サツの聴取終わったんだわ。迎えに来てやってよ」
若狭は、何てことない口調で経緯を話し出した。電話の向こうでは、案の定真一郎の叫び声が大音量で漏れ聞こえてくる。思わず若狭が耳から電話を離した。
「っるせぇな。ア゙?だから、〇〇が痴、おい、真ちゃ・・・切りやがった」
「・・・」
ものすごく心配をかけてしまったであろうことは想像に難くない。だが、一人で帰るよりは迎えに来てもらった方が正直安心だ。若狭のお陰で、〇〇の心のザワつきが安心感に包まれる。
「今からなら、道混んでなきゃ15分。いや、真ちゃんなら10分で来るか」
「ここ座ってて」と言われた〇〇が駅前のベンチに腰掛け暫くすると、その場を離れていた若狭が緩々とした動作で戻ってきた。自販機で買ったのだろう飲み物を差し出され、少し申し訳なさそうに〇〇がそれを受け取る。
「ありがとうございます」
「ちょっとは落ち着いたか」
「はい。お陰様で」
彼があの車両に乗り合わせていなかったら今頃どうなっていたことか。本当に暴走族だったのかと疑うくらい、〇〇は若狭の気遣いに助けられた。
「わたし、護身術を習ってたんですが、ダメですね。いざと言う時、ちゃんと実践出来るようにしとかなきゃ」
「あー。真ちゃんが言ってたな。〇〇の頭突きは日本一だって」
「なんですって!?」
なんつーことを喋っているんだ。想定外の羞恥心に、彼から目を逸らした〇〇が俯いた。
「真一郎先輩のバカ・・・///」
「くくっ。いいね。日本一になった元総長と日本一の石頭を持つ"姫"ってとこか。お似合いじゃん」
「なんですかそれっ!?揶揄わないでください!」
〇〇が真っ赤になりながら缶コーヒーのタブを開けた。 隣に座る若狭は、余っ程可笑しかったのか未だにケラケラと笑っている。ここに真一郎が居れば問い詰めていたところだが、生憎不在の為に若狭を睨みつける〇〇のジト目。
「今牛さん笑いすぎです・・・」
「ワカでいい」
「え」
「みんなそう呼ぶ」
そう言うと彼は、缶コーヒーに口をつける。明司といい彼といい、初対面のイメージと大分違って驚く。つい、その横顔を見つめながら〇〇は考えていた。よく見ると、ヤンキーにしては(偏見)綺麗な顔立ちをしている。まつ毛も長くて羨ましい。
「・・・なに。惚れた?」
「へ!?」
「真ちゃんやめてオレにしとく?」
「いっや、やゃやややめませんっ///」
「うん、その方がいい」
そう言った彼の笑顔は、穏やかで印象的だった。きっと、若狭も真一郎のことが大好きなんだと、〇〇にはそう見えた。
その時、聞き覚えのある排気音が耳を掠めた。どんどん近づいてくる音がカーブを抜けると、その姿を現した。真一郎と愛機のバブだ。
「今日は一段とキレがいいな」
「安全運転で来たかな・・・」
真一郎が、目の前の路肩に停車させたバブから降りた。被る気があるんだか無いんだか分からないヘルメットを首にかけたまま、焦ったように二人の元へと駆けてくる。
いや、二人の元へ、というより〇〇目掛けて一直線だった。立ち上がった〇〇が、その勢いを逃がすようにたたらを踏んで全身で真一郎受け止める。
「〇〇っ!!」
「わっ!?」
「どこだ!どこ触られた!?オレが上書きしてやっから!尻か!!まさかおっおぉぉおっぱいかー!?」
「ちょっ、先輩!?やっどこ触っ」
ゴッ!と鈍い衝撃音が聞こえ、真一郎が頭を抱えうずくまった。彼が現れてからの展開が目まぐるし過ぎて、思わず〇〇の目も点だ。
「真ちゃん、それ痴漢ジジイと一緒だから」
「ワカ、手加減・・・っ゙」
「する訳無いでしょ」
若狭の握り拳を見て、あれが真一郎の脳天にヒットしたのだと悟る。
〇〇は以前、若狭は元々別の集団のトップを張っていて、その名を轟かせていた人物だと聞いていた。真一郎の頭蓋は無事だろうか。〇〇が本気で心配していると、いつの間にか正面に若狭が立っていた。
「〇〇、行くぞ」
「え?」
「ココにもクソ野郎がいるみたいだからな」
彼に肩を抱かれ、思わずドキッとする。〇〇が若狭を見上げると、ニヤリと何かを含んだ笑顔が見えた。あ、このパターン何処かで。
「な!?ザケんなワカーッ!!」
「なに?オレが〇〇から痴漢を撃退してやったのに、文句ある?」
「おっ、おま、そーゆー事言う!?」
「あ、あの、ワカ、さん?その辺にしていただいて・・・」
すると、突然真一郎の顔に衝撃が走った。滅多に見ない驚愕の表情に、何事!?と〇〇が困惑する。
「いっ、いつの間に「ワカさん」なんて呼ぶ仲に!?」
「え、と。さっき、ですけど?」
「〇〇は、変態真ちゃんなんかやめてオレの方がイイってさ」
「ぇえ!?そんな事言ってな」
「〇〇っ、おまえまでぇっ!!」
おまえまで、とは?妙に引っかかる彼の発言に、〇〇の眉間にしわが寄る。その様子を、笑いを堪えながら見ていた若狭が口を開いた。
「昔、真ちゃんが好きな子に告ったら、その子に「若狭くんの方がカッコイイからごめんなさい」って言われたんだって」
「そ、そんなことが・・・」
この男、分かっていて揶揄ったな。真一郎を見ると、目元に腕を擦り付けながらおんおんと泣いていた。古傷を抉られたようで、〇〇が不憫に思う。
仲が良いのは結構だが、程々にしてあげてほしい。〇〇は、苦笑いを浮かべながらため息を漏らした。
「ワカさん、ごめんなさい。わたし、真一郎先輩と帰りますね」
冗談だと分かっていながら律儀に断りを入れる〇〇に、若狭は「これ以上は止めておけ」と釘刺されたことを理解する。己が、"喧嘩も恋も最弱王"なんて呼んでいた男も、ちゃんと良い女を捕まえることが出来たらしい。と、思わず若狭の口角が上がった。
「ん。じゃあな」
「今日は、本当にありがとうございました」
若狭が手を離したのを確認すると、〇〇は涙を浮かべる真一郎の傍に寄っていく。先程の痛々しい一撃を思い出し、彼の頭を優しく撫でたのだった。
ーーー卍おまけ卍ーーー
ぎゅ。
真一郎「惚れちゃダメ。ゼッタイ」
〇〇「そんな標語どこかで・・・」
真一郎「グスン」
〇〇「わたしが好きなのは、真一郎先輩だけですよ///」
真一郎「・・・ちゅーしていい?」
〇〇「だっダダダメです!/// ココ外」
若狭「ねぇ。オレまだ居るんだけど」
