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番外編
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Extra editio7.
Two conditions
つい数十分前、一生安全運転。と高らかに宣言した真一郎は、心做しか焦り気味でバイクのアクセルを回していた。勿論、事故なんて起こさぬよう最新の注意を払いながら。
冷たい夜風で冷えるのか、後ろからしがみついてくる〇〇に急かされギリギリのところまで飛ばした。
「はー間に合ったー!先輩ありがとうございました。」
「はは・・・柴田さんも抜かりねぇな。」
〇〇に課された門限11時まで残り1分。玄関前に到着すると、二人して胸を撫で下ろした。
万が一間に合わなかった時は、己の身が無事では済まなっただろう。苦笑いの真一郎は、ふと〇〇の様子がおかしいことに気づく。彼から視線を逸らし、何か言いたげにもじもじしていた。真一郎も周りから散々言われてきたものだが、〇〇も大概その感情が表に出やすいタイプだ。
「あ、あの・・・気をつけて帰ってくださいね。」
真一郎から見ても、別れを惜しんでいるのは明らかで。そんな顔をされると、帰したくなくなる。
「待って。」
それじゃあ。と〇〇がドアノブに手をかけたところで振り返ると、目の前に真一郎の顔が迫っていた。
「っ!」
まだ帰らないで。まるで引き止めるような少し甘えた口づけに、〇〇の心臓がきゅっと締まる。しかし、このままではいかん。と思わず彼の胸を押し返した。
「っせ、先ぱ・・・もう、11時・・・」
「まだ・・・もう少しだけ・・・」
その切なげな囁き声に絆されそうになる。真一郎から逃げるようにドアの脇へ一歩下がった〇〇を追いかけ、彼も一歩前へと踏み出す。真一郎が、逃がすまいとその腰にスルりと手を回した―――
ドガッ。
「・・・え?」
突然響いた鈍い音。〇〇は、あまりにも一瞬の出来事に固まった。何が起きたのだろうか。数回瞬きをする。取り敢えず、視界から彼が消えたのは確かだ。
気配を探り視線を向けると、そこには「ぬ゙ぉぉっ」と唸りながら床で悶えている真一郎が居た。
どうも、一歩下がった〇〇が軌道コースから外れたタイミングで、玄関ドアが勢いよく開いたようだった。見事もろにブチ当たった真一郎が、そのままドアに吹っ飛ばされたのである。
「しっ真一郎先輩!?」
「お嬢、1分遅刻。」
声のした方へ振り向くと、玄関で柴田が仁王立ちをしていた。借金を取り立てに来たヤーさんが如く、身震いする視線に流石の〇〇も慄いた。
「ひぇ、柴田・・・!」
「躾のなってねぇ獣が一匹彷徨いとるのぉ。お嬢、早ぉ中入り。」
「っし、柴田さん・・・結構痛い・・・っ」
「あぁぁぁ先輩大丈夫ですかっ!?」
〇〇は、肘と膝をついて生まれたての小鹿のようにプルプル震える真一郎に駆け寄った。その肩を支えて何とか立ち上がらせると、まだ伝えていなかったことを思い出す。
「先輩、実は・・・先日柴田に全部言っちゃいまして・・・」
「え・・・マジ?」
真一郎は、引退式が終わってから心の準備を整えたうえで交際の報告に上がろうと考えていた。想定外の事態に、ダラダラと冷や汗が流れる。
「真一郎、話がある。明日また出直してこい。」
「ハ・・・ハィ。」
当然、覚悟はしていた。心配そうに見つめる〇〇の背を撫でながら、真一郎が大丈夫だよと告げる。彼は、腹をくくると明日の訪問時間を伝え、大人しくその場を後にしたのだった。
翌日。
ドーン。柴田が腕を組みながらソファにふんぞり返っている。ローテーブルを挟んだ正面では、正座をした〇〇と真一郎が対峙していた。
「で?まずはお前から俺に言わにゃあいけんことがあるんやないんか、真一郎。」
「ハィ・・・あの、この度〇〇さんとお付き合いすることになりました・・・報告が遅れて申し訳ございませんっ!!」
ガバッ!と真一郎が後ろに下がって頭を下げた。
「柴田ぁ。あんまり先輩いじめないで・・・」
「これは男のケジメとして当然です、お嬢。」
モノホンの殺気に怯える真一郎を横目に、〇〇はハラハラと心配そうに二人の様子を伺っていた。
「一応聞くが、お前、組長の娘に唾ぁ付けるんがどういう事か分かっとんよのぉ?」
「だから止めてって柴田!」
「オレは、関係ないと思ってます。」
思わず〇〇が横にいる彼へと視線を向ける。真一郎は、頭を下げたまま間髪入れずに答えた。
「〇〇が何処の家の娘でも、オレは絶対好きになってます。たまたまヤクザの娘だったってだけだ。」
「先輩・・・」
「本当は死にたくないけど、〇〇のこと好きになってから死ぬ覚悟は出来てます。脅されようが、殴られようが、銃ぶっ放されようが、オレは絶対倒れないし、諦めるつもりありません。」
〇〇は、本当にそんなことをされるようなら別れてくれと言ってしまおうと思っていた。だけど、もう逃げてはいけないんだと思い直す。戦うと言う彼の決意に、これ以上ない程に胸打たれていた。
「・・・お嬢。真一郎と二人で話がしたい。席を外してくれませんか。」
「!・・・うん。」
なんだかんだ、彼も真一郎の人柄を買っていることは知っている。柴田の様子に、〇〇はひとまず半殺しの目に遭うことはなさそうだ、と大人しく彼の言葉に従った。
「真一郎。お前に出す条件が二つある。」
ふ、二つもあるの!?むしろそれだで済むならマシと思うのが正解か。いや、ケジメつけろや。と指詰めや拳銃でロシアンルーレットとか強要されるのかもしれない。いろんな可能性を巡らせる真一郎は、ビクビクしながら柴田の言葉を待った。
「あの子が成人するまで、絶対に手ぇ出すな。」
「・・・へ?」
想定外の要望に、顔を上げた真一郎の目が点になる。"手を出すな"とは、つまり所謂そーゆーことを致してはならないということか。
「お嬢は親父の娘だが、親友から託された大事な預かりものでもある。未成年のうちは俺等が守ってやるって決めとんじゃ。だから、それまでの間は好き勝手させるわけにいかん。俺の言ってる意味分かるな?」
「は、はい。」
「反故にした時ぁ、今度こそお前のタマ取るけぇのォ。」
「は!ははははいぃっ!」
柴田の目が今まで見たこともない程ギラついていて、これは流石にガチのやつだ。と真一郎から血の気が引いた。
「あ、あの、柴田さん。オレ、〇〇の親父さんにも会いに行った方がいいんでしょうか・・・」
気になっていた。柴田に報告はしたものの、肝心の父親を放って話が進んでいることにいささか懸念が残る。娘に彼氏が出来たとあっては、心中穏やかではないだろうが。
「いい。お前が今行ったら間違いなく頭ブチ抜かれる。」
「ブ!?のぉぉお!?」
「神保の敷居を跨いだ瞬間が、お前の命日じゃ。」
「・・・・・・ヤメトキマス。」
デンジャラス。もし結婚するってなったらどうなるのだろう。最悪、〇〇を盾に乗り込むしかないか。その時のことを想像し、真一郎は何とも情けなくなった。
「親父には俺から話を通しておく。あの人にも、暫く気持ちの整理をつける時間をやってくれ。」
「ハイ。何卒、何卒よろしくお願いします。」
「心配するな。お前になんかあれば、今度こそお嬢がどうなるか分からんけぇの。」
彼の目があまりにも真剣で、真一郎は言葉が続かなかった。言われなくても承知している。もう二度と、彼女に同じ悲しみを繰り返させてはならないこと。
「二つ目の条件。・・・あの子より先に死んでくれるな、真一郎。」
「――はい。」
「頼むぞ。」
こんな顔も出来るのか。基本強面の柴田が、今まで見た事のない穏やかな笑みをたたえていた。そうだ。目の前の男も娘を案じる"父親"であった。真一郎も、それに応えるように笑顔で決意を表したのだった。
「・・・」
〇〇は、リビングへ続く扉の前にいた。目尻から零れる雫を袖で拭う。二人から与えられる愛情が、これ以上ない程の幸せが、心を満たしていった。
真一郎は、〇〇の部屋にある透の写真の前で手を合わせていた。お仏壇じゃないんだけどな。と隣で〇〇が苦笑いでぼやく。
「いいんだよ。こういうのは気持ちの問題なんだから。」
「ふふ。なんて言ったんですか?」
「内緒。」
「ええ。気になる。」
「んー。〇〇が二十歳になった時教えてやるよ。」
何だかそれは、先ほど柴田が提示していた"条件"を思い起こさせ、思わず〇〇の頬が赤くなる。
「あ。おまえさっき柴田さんとの会話聴いてたろ?」
「え!?いや、その・・・っ」
「盗み聞きする悪いコにはお仕置きだなぁ。」
「なっ!んぅっ!?」
〇〇が抵抗する間もなく、二人の唇が合わさった。
優しく求めてくれる彼の口づけに、離れた後も甘い余韻が残る。
「あ、あぅ・・・///」
「あー・・・ムラムラする。」
「っえ、なっ、なん、な!?!?///」
「嘘。柴田さんに釘刺されたんだ。約束破ったら間違いなくコ●されるからやめとく。」
「・・・死んじゃいや。」
「うん。分かってる。」
そう言うと、真一郎が〇〇を抱き寄せた。その不安を取り除くように。
「いつか広島行ってみてえな。親父さんの気持ちの整理とやらがついてたら、〇〇ん家にも寄って・・・生きて帰れっかな?」
「その時は、柴田も連れて行かなくちゃ。」
「寧ろ、親父さんに命令されたら柴田さんも共謀してコ●しにかかるんじゃねぇか・・・?」
「ダメ!絶対止める!」
「おぅ、めっちゃ期待してる。オレのこと守ってね。」
冗談交じりに、そんないつかを想像する。幸せそうに抱き合う二人を、写真の中の透が穏やかに見つめていた。
ーーー卍おまけ卍ーーー
〇〇「そう言えば、髪下ろしてる先輩見るのはお泊まりした時以来ですね。」
真一郎「もうフリョーは卒業したかんな。」
〇〇「あの・・・そっちの方が・・・カッコイイ、です。///」
真一郎「・・・っマ、マママジ!?///」
〇〇「マジ。///」
Two conditions
つい数十分前、一生安全運転。と高らかに宣言した真一郎は、心做しか焦り気味でバイクのアクセルを回していた。勿論、事故なんて起こさぬよう最新の注意を払いながら。
冷たい夜風で冷えるのか、後ろからしがみついてくる〇〇に急かされギリギリのところまで飛ばした。
「はー間に合ったー!先輩ありがとうございました。」
「はは・・・柴田さんも抜かりねぇな。」
〇〇に課された門限11時まで残り1分。玄関前に到着すると、二人して胸を撫で下ろした。
万が一間に合わなかった時は、己の身が無事では済まなっただろう。苦笑いの真一郎は、ふと〇〇の様子がおかしいことに気づく。彼から視線を逸らし、何か言いたげにもじもじしていた。真一郎も周りから散々言われてきたものだが、〇〇も大概その感情が表に出やすいタイプだ。
「あ、あの・・・気をつけて帰ってくださいね。」
真一郎から見ても、別れを惜しんでいるのは明らかで。そんな顔をされると、帰したくなくなる。
「待って。」
それじゃあ。と〇〇がドアノブに手をかけたところで振り返ると、目の前に真一郎の顔が迫っていた。
「っ!」
まだ帰らないで。まるで引き止めるような少し甘えた口づけに、〇〇の心臓がきゅっと締まる。しかし、このままではいかん。と思わず彼の胸を押し返した。
「っせ、先ぱ・・・もう、11時・・・」
「まだ・・・もう少しだけ・・・」
その切なげな囁き声に絆されそうになる。真一郎から逃げるようにドアの脇へ一歩下がった〇〇を追いかけ、彼も一歩前へと踏み出す。真一郎が、逃がすまいとその腰にスルりと手を回した―――
ドガッ。
「・・・え?」
突然響いた鈍い音。〇〇は、あまりにも一瞬の出来事に固まった。何が起きたのだろうか。数回瞬きをする。取り敢えず、視界から彼が消えたのは確かだ。
気配を探り視線を向けると、そこには「ぬ゙ぉぉっ」と唸りながら床で悶えている真一郎が居た。
どうも、一歩下がった〇〇が軌道コースから外れたタイミングで、玄関ドアが勢いよく開いたようだった。見事もろにブチ当たった真一郎が、そのままドアに吹っ飛ばされたのである。
「しっ真一郎先輩!?」
「お嬢、1分遅刻。」
声のした方へ振り向くと、玄関で柴田が仁王立ちをしていた。借金を取り立てに来たヤーさんが如く、身震いする視線に流石の〇〇も慄いた。
「ひぇ、柴田・・・!」
「躾のなってねぇ獣が一匹彷徨いとるのぉ。お嬢、早ぉ中入り。」
「っし、柴田さん・・・結構痛い・・・っ」
「あぁぁぁ先輩大丈夫ですかっ!?」
〇〇は、肘と膝をついて生まれたての小鹿のようにプルプル震える真一郎に駆け寄った。その肩を支えて何とか立ち上がらせると、まだ伝えていなかったことを思い出す。
「先輩、実は・・・先日柴田に全部言っちゃいまして・・・」
「え・・・マジ?」
真一郎は、引退式が終わってから心の準備を整えたうえで交際の報告に上がろうと考えていた。想定外の事態に、ダラダラと冷や汗が流れる。
「真一郎、話がある。明日また出直してこい。」
「ハ・・・ハィ。」
当然、覚悟はしていた。心配そうに見つめる〇〇の背を撫でながら、真一郎が大丈夫だよと告げる。彼は、腹をくくると明日の訪問時間を伝え、大人しくその場を後にしたのだった。
翌日。
ドーン。柴田が腕を組みながらソファにふんぞり返っている。ローテーブルを挟んだ正面では、正座をした〇〇と真一郎が対峙していた。
「で?まずはお前から俺に言わにゃあいけんことがあるんやないんか、真一郎。」
「ハィ・・・あの、この度〇〇さんとお付き合いすることになりました・・・報告が遅れて申し訳ございませんっ!!」
ガバッ!と真一郎が後ろに下がって頭を下げた。
「柴田ぁ。あんまり先輩いじめないで・・・」
「これは男のケジメとして当然です、お嬢。」
モノホンの殺気に怯える真一郎を横目に、〇〇はハラハラと心配そうに二人の様子を伺っていた。
「一応聞くが、お前、組長の娘に唾ぁ付けるんがどういう事か分かっとんよのぉ?」
「だから止めてって柴田!」
「オレは、関係ないと思ってます。」
思わず〇〇が横にいる彼へと視線を向ける。真一郎は、頭を下げたまま間髪入れずに答えた。
「〇〇が何処の家の娘でも、オレは絶対好きになってます。たまたまヤクザの娘だったってだけだ。」
「先輩・・・」
「本当は死にたくないけど、〇〇のこと好きになってから死ぬ覚悟は出来てます。脅されようが、殴られようが、銃ぶっ放されようが、オレは絶対倒れないし、諦めるつもりありません。」
〇〇は、本当にそんなことをされるようなら別れてくれと言ってしまおうと思っていた。だけど、もう逃げてはいけないんだと思い直す。戦うと言う彼の決意に、これ以上ない程に胸打たれていた。
「・・・お嬢。真一郎と二人で話がしたい。席を外してくれませんか。」
「!・・・うん。」
なんだかんだ、彼も真一郎の人柄を買っていることは知っている。柴田の様子に、〇〇はひとまず半殺しの目に遭うことはなさそうだ、と大人しく彼の言葉に従った。
「真一郎。お前に出す条件が二つある。」
ふ、二つもあるの!?むしろそれだで済むならマシと思うのが正解か。いや、ケジメつけろや。と指詰めや拳銃でロシアンルーレットとか強要されるのかもしれない。いろんな可能性を巡らせる真一郎は、ビクビクしながら柴田の言葉を待った。
「あの子が成人するまで、絶対に手ぇ出すな。」
「・・・へ?」
想定外の要望に、顔を上げた真一郎の目が点になる。"手を出すな"とは、つまり所謂そーゆーことを致してはならないということか。
「お嬢は親父の娘だが、親友から託された大事な預かりものでもある。未成年のうちは俺等が守ってやるって決めとんじゃ。だから、それまでの間は好き勝手させるわけにいかん。俺の言ってる意味分かるな?」
「は、はい。」
「反故にした時ぁ、今度こそお前のタマ取るけぇのォ。」
「は!ははははいぃっ!」
柴田の目が今まで見たこともない程ギラついていて、これは流石にガチのやつだ。と真一郎から血の気が引いた。
「あ、あの、柴田さん。オレ、〇〇の親父さんにも会いに行った方がいいんでしょうか・・・」
気になっていた。柴田に報告はしたものの、肝心の父親を放って話が進んでいることにいささか懸念が残る。娘に彼氏が出来たとあっては、心中穏やかではないだろうが。
「いい。お前が今行ったら間違いなく頭ブチ抜かれる。」
「ブ!?のぉぉお!?」
「神保の敷居を跨いだ瞬間が、お前の命日じゃ。」
「・・・・・・ヤメトキマス。」
デンジャラス。もし結婚するってなったらどうなるのだろう。最悪、〇〇を盾に乗り込むしかないか。その時のことを想像し、真一郎は何とも情けなくなった。
「親父には俺から話を通しておく。あの人にも、暫く気持ちの整理をつける時間をやってくれ。」
「ハイ。何卒、何卒よろしくお願いします。」
「心配するな。お前になんかあれば、今度こそお嬢がどうなるか分からんけぇの。」
彼の目があまりにも真剣で、真一郎は言葉が続かなかった。言われなくても承知している。もう二度と、彼女に同じ悲しみを繰り返させてはならないこと。
「二つ目の条件。・・・あの子より先に死んでくれるな、真一郎。」
「――はい。」
「頼むぞ。」
こんな顔も出来るのか。基本強面の柴田が、今まで見た事のない穏やかな笑みをたたえていた。そうだ。目の前の男も娘を案じる"父親"であった。真一郎も、それに応えるように笑顔で決意を表したのだった。
「・・・」
〇〇は、リビングへ続く扉の前にいた。目尻から零れる雫を袖で拭う。二人から与えられる愛情が、これ以上ない程の幸せが、心を満たしていった。
真一郎は、〇〇の部屋にある透の写真の前で手を合わせていた。お仏壇じゃないんだけどな。と隣で〇〇が苦笑いでぼやく。
「いいんだよ。こういうのは気持ちの問題なんだから。」
「ふふ。なんて言ったんですか?」
「内緒。」
「ええ。気になる。」
「んー。〇〇が二十歳になった時教えてやるよ。」
何だかそれは、先ほど柴田が提示していた"条件"を思い起こさせ、思わず〇〇の頬が赤くなる。
「あ。おまえさっき柴田さんとの会話聴いてたろ?」
「え!?いや、その・・・っ」
「盗み聞きする悪いコにはお仕置きだなぁ。」
「なっ!んぅっ!?」
〇〇が抵抗する間もなく、二人の唇が合わさった。
優しく求めてくれる彼の口づけに、離れた後も甘い余韻が残る。
「あ、あぅ・・・///」
「あー・・・ムラムラする。」
「っえ、なっ、なん、な!?!?///」
「嘘。柴田さんに釘刺されたんだ。約束破ったら間違いなくコ●されるからやめとく。」
「・・・死んじゃいや。」
「うん。分かってる。」
そう言うと、真一郎が〇〇を抱き寄せた。その不安を取り除くように。
「いつか広島行ってみてえな。親父さんの気持ちの整理とやらがついてたら、〇〇ん家にも寄って・・・生きて帰れっかな?」
「その時は、柴田も連れて行かなくちゃ。」
「寧ろ、親父さんに命令されたら柴田さんも共謀してコ●しにかかるんじゃねぇか・・・?」
「ダメ!絶対止める!」
「おぅ、めっちゃ期待してる。オレのこと守ってね。」
冗談交じりに、そんないつかを想像する。幸せそうに抱き合う二人を、写真の中の透が穏やかに見つめていた。
ーーー卍おまけ卍ーーー
〇〇「そう言えば、髪下ろしてる先輩見るのはお泊まりした時以来ですね。」
真一郎「もうフリョーは卒業したかんな。」
〇〇「あの・・・そっちの方が・・・カッコイイ、です。///」
真一郎「・・・っマ、マママジ!?///」
〇〇「マジ。///」
