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本編(完結)
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16.Build future with you
「え・・・引退!?」
今日は、暖かい春風そよぐ気持ちの良い天気。二人は、修了式が終わると堤防を訪れていた。〇〇の手作り弁当を広げ、さぁ食べようと箸を伸ばした時、彼があっけらかんと言い放った。「暴走族を引退する」と。
「うん。今月いっぱいでね。」
「も、も、もしかして、わたしが総長の女は嫌だって言ったからですか!?」
〇〇は、過去の失言を悔やんだ。もしそうなら、こんな大事な事をそんな理由で決めてしまっていい訳が無い。集団のトップが抜けるなんて、一大事に違いなかった。
「いやいや、違うよ。前から決めてたんだ。高3に上がったらバイトしようと思って。」
「・・・先輩。不躾ながら、もし困っていらしたらうちの綺麗なお金いくらでもお出ししますので。」
「ブッ!」
吹き出す真一郎を、〇〇が真面目な顔で見つめる。こういう発想するところ、たまに"お嬢"だよな。そんなことを思いつつ、真一郎は苦笑いを浮かべた。彼にとっては、少々ぶっ飛んだところも彼女の魅力のひとつなのだが。
「いや、それも違うから。オレ、卒業したらバイク屋やりたいんだ。」
「な!なんと!!それはもう今からワクワクしちゃいます。」
「気が早いよ。まだあと数年先だって。」
「柴田に言えば、融資とか土地とか全部やってくれると思いますよ!」
「そ、それってさぁ・・・ちゃんと合法事業?」
開業資金を貯めたいのだと彼が言うと、〇〇の眼差しが何かを期待するようにキラキラと瞬く。彼女から提案された思わぬ金融パートナー候補に、真一郎は口元をひくつかせていた。協力してくれるのはありがたいが、後からぼったくられるのは勘弁してくれ。
その隣で、いらっしゃいませ。と不良の真一郎がお客を出迎える姿を想像し、〇〇が堪えきれずにニヤついている。へへ。と思わず声が漏れていた。
「なーに妄想してんだよ、えっち。」
「そ、そそそんなことは妄想してません!///」
「あ、そうそう。〇〇に頼みがあんだけどさ。」
ちょっとした戯れを挟んだと思ったら、突然箸を置き改まった表情の真一郎。〇〇が不思議そうにその様子を覗っていると、彼の口から飛び出したとんでもないお願いに、彼女は暫し言葉を失った。
「・・・・・・ぇええええ!?!?」
〇〇の手から、思わず箸が転がり落ちる。海の向こうまで届いたんじゃないかと思う程、その叫声はよく響いていた。
「うーん。絶対一人浮くと思う・・・」
というか、やっぱわたし行っちゃダメだよね。とブツブツ独り言を唱えていた〇〇は、自室で洋服を引っ張り出してファッションショーをしていた。ベッドの上には、トップスとボトムスを組み合わせた洋服達が所狭しと並べられている。先日の真一郎からの頼まれ事。「総長引退式に来てほしい」その場に着ていく洋服に悩んでいた。
「ん?ていうか暴走族の引退式ってどんなことするんだろ?」
真一郎は、全員で走ると言っていた。そのあとセレモニー的なことするのだろうか。
当日彼とは、集会をやっているいつもの広場へ現地集合ということになっていた。しこたま走った後、あの場でお別れの挨拶とか花束贈呈とかやるのかもしれない。任侠の世界でも、そういった節目の行事はきっちりばっちりとやるものだから、暴走族もさして変わらないんじゃなかろうか。〇〇の中ではそんなイメージを持っていた。
「明司さんに聞いてみようかな・・・」
いや、明司たち黒龍創設メンバーも一緒に引退すると言っていた。そうなると、主役に聞くのは憚られた。
そこで〇〇は閃いた。そうだ、柴田に聞いてみよう。彼も若い頃はヤンチャをしていた男であった。善は急げ、と〇〇は、リビングでパソコン作業をしている世話役の元へと足早に向かったのだった。
「柴田。今いーい?聞きたいことがあるんだけど。」
ダイニングテーブルでカタカタとキーボードを叩いていた柴田が、呼ばれた声に応答する。〇〇が仕事中に話しかけてくることなど滅多にない。何か緊急の用件だろうか、と彼が身構えた。
「はい。なんですか?」
「暴走族の引退式って、どんなことするの?」
「は?」
予想の斜め上を行く質問に、思わず呆気にとられた柴田は思っていた。「まぁこんなこと、あの男絡みとしか考えられないのだが」
知り合ってからというもの、〇〇が柴田の前で口にする話題に、件の総長の登場回数は日を追うごとに増していた。
「真一郎ですか?」
「あ、う、うん。今度ね、総長引退するんだって。引退式にわたしにも来てほしいって言われたんだけどさ、どんな服装で行ったらいいかなぁって。」
俯き加減の視線にほんのりと染まる頬。最近の〇〇は、機嫌もよく楽しそうにしている。あんなことがあった上、先日まで食欲が落ち何か思い悩んでいる様子に柴田は随分と心配していた。ふと彼は、別居中の妻から言われた言葉を思い出した。「恋する女は情緒不安定になりやすいのだ」と。
「アイツも随分大胆なことしますね。まるでお嬢が "自分の女" だとでも言いたげだ。」
「っあ、えっ!!?///」
遅かれ早かれこうなることは予測がついていた。ついこの間まで、まだ子供だと思っていた娘がすっかり女の顔である。慌てる〇〇に、思わず柴田が笑みを零す。
「も、もうちょっとしたら、言おっかなって、思って・・・///」
「はは。お嬢はすぐ顔に出ますから、それは無理ですね。」
「うぅ。」
「教える代わりに、今度真一郎をここに連れてきてください。」
「っえ!?ね、ねぇ、柴田?コ、コココr」
「安心してください。話をするだけです。」
彼がそう言うと、あからさまに、あぁなんだ。と〇〇がほっと胸を撫で下ろした。いつも真一郎にぶっコ●すと脅していたから、本気で事を運ぼうとしているのかと思ったのだろう。過ぎった予感は杞憂に終わったようだ。
「まぁ、半殺しくらいにはしちゃるつもりですけどね。」
「え゙。」
柴田は、よく冗談なのか本気なのか分からない言い方をする男なのだが、それに加え今はとても楽しそうに喋っている。〇〇が、こんなに笑っている彼を見るのは久しぶりのことだった。
「アイツらはど派手な刺繍入れてる特攻服 着てますから、お嬢が何着ていったとしても間違いなくアイツらの方が目立ちます。気にせず好きなものをお召しになればいいでしょう。」
「あぁ、それもそうか。浮くとかいう次元じゃないか。」
でもフォーマルに近い感じがいいかなぁ。襟はついてないとダメだよねぇ。とああでもないこうでもないと楽しそうに考えている"娘"を、微笑ましく見つめる視線。それは、どこか哀愁漂うものだった。
ォォオン――
ブォンブォォォ―――
辺りはすっかり濃い夜空が広がっていて、広場に植わる木々の向こうから特長的な排気音が響いてくる。〇〇は、柴田の運転する車に乗り、広場の脇道まで来ていた。
「帰りはどうしますか?」
「真一郎先輩が送ってくれるから大丈夫。」
「11時までには帰るように。」
「はぁい。」
門限を指定された〇〇は、苦笑いで返事を返すと車を降りた。今日は、夜風が少し肌寒い。顔を上げると、バイクのヘッドライドが辺りを照らしているのが見える。〇〇は少し緊張しつつ、なんとも物騒な待ち合わせ場所へと向かっていった。
「え・・・引退!?」
今日は、暖かい春風そよぐ気持ちの良い天気。二人は、修了式が終わると堤防を訪れていた。〇〇の手作り弁当を広げ、さぁ食べようと箸を伸ばした時、彼があっけらかんと言い放った。「暴走族を引退する」と。
「うん。今月いっぱいでね。」
「も、も、もしかして、わたしが総長の女は嫌だって言ったからですか!?」
〇〇は、過去の失言を悔やんだ。もしそうなら、こんな大事な事をそんな理由で決めてしまっていい訳が無い。集団のトップが抜けるなんて、一大事に違いなかった。
「いやいや、違うよ。前から決めてたんだ。高3に上がったらバイトしようと思って。」
「・・・先輩。不躾ながら、もし困っていらしたらうちの綺麗なお金いくらでもお出ししますので。」
「ブッ!」
吹き出す真一郎を、〇〇が真面目な顔で見つめる。こういう発想するところ、たまに"お嬢"だよな。そんなことを思いつつ、真一郎は苦笑いを浮かべた。彼にとっては、少々ぶっ飛んだところも彼女の魅力のひとつなのだが。
「いや、それも違うから。オレ、卒業したらバイク屋やりたいんだ。」
「な!なんと!!それはもう今からワクワクしちゃいます。」
「気が早いよ。まだあと数年先だって。」
「柴田に言えば、融資とか土地とか全部やってくれると思いますよ!」
「そ、それってさぁ・・・ちゃんと合法事業?」
開業資金を貯めたいのだと彼が言うと、〇〇の眼差しが何かを期待するようにキラキラと瞬く。彼女から提案された思わぬ金融パートナー候補に、真一郎は口元をひくつかせていた。協力してくれるのはありがたいが、後からぼったくられるのは勘弁してくれ。
その隣で、いらっしゃいませ。と不良の真一郎がお客を出迎える姿を想像し、〇〇が堪えきれずにニヤついている。へへ。と思わず声が漏れていた。
「なーに妄想してんだよ、えっち。」
「そ、そそそんなことは妄想してません!///」
「あ、そうそう。〇〇に頼みがあんだけどさ。」
ちょっとした戯れを挟んだと思ったら、突然箸を置き改まった表情の真一郎。〇〇が不思議そうにその様子を覗っていると、彼の口から飛び出したとんでもないお願いに、彼女は暫し言葉を失った。
「・・・・・・ぇええええ!?!?」
〇〇の手から、思わず箸が転がり落ちる。海の向こうまで届いたんじゃないかと思う程、その叫声はよく響いていた。
「うーん。絶対一人浮くと思う・・・」
というか、やっぱわたし行っちゃダメだよね。とブツブツ独り言を唱えていた〇〇は、自室で洋服を引っ張り出してファッションショーをしていた。ベッドの上には、トップスとボトムスを組み合わせた洋服達が所狭しと並べられている。先日の真一郎からの頼まれ事。「総長引退式に来てほしい」その場に着ていく洋服に悩んでいた。
「ん?ていうか暴走族の引退式ってどんなことするんだろ?」
真一郎は、全員で走ると言っていた。そのあとセレモニー的なことするのだろうか。
当日彼とは、集会をやっているいつもの広場へ現地集合ということになっていた。しこたま走った後、あの場でお別れの挨拶とか花束贈呈とかやるのかもしれない。任侠の世界でも、そういった節目の行事はきっちりばっちりとやるものだから、暴走族もさして変わらないんじゃなかろうか。〇〇の中ではそんなイメージを持っていた。
「明司さんに聞いてみようかな・・・」
いや、明司たち黒龍創設メンバーも一緒に引退すると言っていた。そうなると、主役に聞くのは憚られた。
そこで〇〇は閃いた。そうだ、柴田に聞いてみよう。彼も若い頃はヤンチャをしていた男であった。善は急げ、と〇〇は、リビングでパソコン作業をしている世話役の元へと足早に向かったのだった。
「柴田。今いーい?聞きたいことがあるんだけど。」
ダイニングテーブルでカタカタとキーボードを叩いていた柴田が、呼ばれた声に応答する。〇〇が仕事中に話しかけてくることなど滅多にない。何か緊急の用件だろうか、と彼が身構えた。
「はい。なんですか?」
「暴走族の引退式って、どんなことするの?」
「は?」
予想の斜め上を行く質問に、思わず呆気にとられた柴田は思っていた。「まぁこんなこと、あの男絡みとしか考えられないのだが」
知り合ってからというもの、〇〇が柴田の前で口にする話題に、件の総長の登場回数は日を追うごとに増していた。
「真一郎ですか?」
「あ、う、うん。今度ね、総長引退するんだって。引退式にわたしにも来てほしいって言われたんだけどさ、どんな服装で行ったらいいかなぁって。」
俯き加減の視線にほんのりと染まる頬。最近の〇〇は、機嫌もよく楽しそうにしている。あんなことがあった上、先日まで食欲が落ち何か思い悩んでいる様子に柴田は随分と心配していた。ふと彼は、別居中の妻から言われた言葉を思い出した。「恋する女は情緒不安定になりやすいのだ」と。
「アイツも随分大胆なことしますね。まるでお嬢が "自分の女" だとでも言いたげだ。」
「っあ、えっ!!?///」
遅かれ早かれこうなることは予測がついていた。ついこの間まで、まだ子供だと思っていた娘がすっかり女の顔である。慌てる〇〇に、思わず柴田が笑みを零す。
「も、もうちょっとしたら、言おっかなって、思って・・・///」
「はは。お嬢はすぐ顔に出ますから、それは無理ですね。」
「うぅ。」
「教える代わりに、今度真一郎をここに連れてきてください。」
「っえ!?ね、ねぇ、柴田?コ、コココr」
「安心してください。話をするだけです。」
彼がそう言うと、あからさまに、あぁなんだ。と〇〇がほっと胸を撫で下ろした。いつも真一郎にぶっコ●すと脅していたから、本気で事を運ぼうとしているのかと思ったのだろう。過ぎった予感は杞憂に終わったようだ。
「まぁ、半殺しくらいにはしちゃるつもりですけどね。」
「え゙。」
柴田は、よく冗談なのか本気なのか分からない言い方をする男なのだが、それに加え今はとても楽しそうに喋っている。〇〇が、こんなに笑っている彼を見るのは久しぶりのことだった。
「アイツらはど派手な刺繍入れてる
「あぁ、それもそうか。浮くとかいう次元じゃないか。」
でもフォーマルに近い感じがいいかなぁ。襟はついてないとダメだよねぇ。とああでもないこうでもないと楽しそうに考えている"娘"を、微笑ましく見つめる視線。それは、どこか哀愁漂うものだった。
ォォオン――
ブォンブォォォ―――
辺りはすっかり濃い夜空が広がっていて、広場に植わる木々の向こうから特長的な排気音が響いてくる。〇〇は、柴田の運転する車に乗り、広場の脇道まで来ていた。
「帰りはどうしますか?」
「真一郎先輩が送ってくれるから大丈夫。」
「11時までには帰るように。」
「はぁい。」
門限を指定された〇〇は、苦笑いで返事を返すと車を降りた。今日は、夜風が少し肌寒い。顔を上げると、バイクのヘッドライドが辺りを照らしているのが見える。〇〇は少し緊張しつつ、なんとも物騒な待ち合わせ場所へと向かっていった。
