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本編(完結)
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大行列の中、拝殿まであともう少しというところまで来たその時、周りでカウントダウンが始まった。
「お、もうすぐ0時だ。」
「「3、2、1・・・!」」
周りに倣ってカウントダウンをする小さな二人の声を聴きながら、〇〇たちは新年を迎えた。
「「「あけましておめでと~~~!!」」」
一瞬にしてその場が盛大に沸いた。家族や友人、恋人、偶然居合わせた見ず知らずの人同士まで、そこら中で交わされる新年のあいさつで賑わう。
昨年は、〇〇にとって転機の年となった。初めて訪れた土地での新たな生活。目の前の友人のお陰で夢への一歩を踏み出せた。どうかこのまま、今暫くは彼との時を穏やかに過ごしていけますように。
「真一郎先輩。今年もよろしくお願いします。」
「あぁ。よろしくな。」
その大好きな笑顔を、ずっと見ていたいから。
「なんということでしょう・・・!」
大行列の中、やっと拝殿へたどり着きお参りを済ませた〇〇たちは、新年一発目の運だめし、おみくじを引いていた。
「〇〇、凶かよ。だっせ。」
「初めて引いた・・・ホントにあるんだ・・・!」
「大丈夫だ〇〇!オレ大吉だからこれでプラマイゼロだろ!?」
「そ、そういうもんなのコレ!?」
物騒な輩に尾けられているかもしれないという、決して穏やかではないこのタイミングでこの結果は冗談にならなかった。今から帰ろうという時に、どうしてくれるんだ神様。
「おトイレ行きたーい。」
全員がおみくじを結び終えたその時、エマがトイレ休憩を要求してきた。
「じゃあ一緒に行こうね。」
〇〇がかさばる荷物を男二人に預けると、エマを連れて屋外にあるトイレへ向かった。
万が一、敵が女子トイレへ入ろうもんなら間違いなく目立つ。真一郎は、警戒しながら入り口前を注視していた。
「さっきからなにコエー顔してんだ、シンイチロー。」
「なんでもねぇよ。」
「並んでた時も後ろ気にしてたろ。〇〇もビクビクしてたし。アイツ誰かに狙われてんの?」
「・・・お前、なんでそんなに勘が鋭いの?」
7歳の小学一年生とは思えない名推理っぷりに、真一郎は感心を通り越して恐ろしくなった。もしや自分の弟は、見た目は子供頭脳は大人なのか?
「おまたせー。」
暫くすると、お手洗いを済ませたエマが戻ってきた。一人で。
「エマ、〇〇はどうした?」
「え、あれ?一緒に出てきたのに。おかしいな?」
屋外トイレは、奥が見えないようにと衝立が設置されていた。まさかその死角をつかれたか。真一郎が急ぎ衝立の奥を覗いたが、彼女の姿は見えず。念の為エマに中を確認させるも、やはりいなかったようだった。
「〇〇!!どこだ!!?」
真一郎が周囲に向けて彼女の名を呼ぶも、返事が返ってくることはなかった。
「んむ~~~~~っ!!?」
エマの後ろをついてトイレから出た瞬間、〇〇は突然後ろから口を押さえられ、建物裏の茂みへと引きずられるように連れてこられた。手の大きさや背中に触れる身体付きから、相手は男だと分かる。動きにくい着物を身に着け、状況は圧倒的不利だった。
エマは無事に真一郎たちと合流しただろうか。狙いが自分ならばあの兄弟に危害を加えることはまずないとは思うが、不安はぬぐい切れない。どうか無事でいてくれ。彼らの安否を気にしながら、どのように拘束を解こうかと考えを巡らせる。
「むむむ~~~!!(離せー!!)」
「お嬢!落ち着いてください!何もしませんけぇ」
「!?」
その声どこかで。自分をお嬢と呼ぶ声と馴染みのある訛り。恐る恐る抵抗を止めると、相手もすんなりとその力を抜き始めた。
ドガッ!!
その時、鈍い音とともに抑えられていた口と胴体の拘束が解けた。〇〇は、突然のことに思わず膝をついて崩れる。
「な、なにっ?」
「〇〇!!」
声のする方へ顔を向けると、こちらに向かって駆けてくる真一郎が見えた。エマも一緒だ。よかった無事だった。あれ、では今聞こえた衝撃音は誰が?
「あっけな。」
「ま、万次郎!?」
後ろを振り向くと、万次郎が倒れている男を蔑むような目で見下ろしていた。まさか、彼が大人の男相手に一撃を入れたのか。〇〇は、驚きのあまり口をあんぐりあけてその姿を覗った。
「ま、万次郎。な、なにしたの・・・?」
「飛び蹴り。」
ひぇ。なんつー小学一年生。将来有望すぎにもほどがある。予想外の展開に、〇〇はあんぐりと口を開けたまま放心していた。
「〇〇!無事か!?ケガは!?」
〇〇の肩を掴み、真一郎が慌てた様子で問いかけた。動きにくい恰好で結構な距離を走ったのだろうか、額からは汗が滴り落ちていた。
「だ、大丈夫です。どこも痛くありません。」
〇〇がそう答えるや否や、真一郎に力いっぱい抱き締められた。
「よかった・・・っごめん、油断した。」
「いえ、先輩のせいじゃ・・・それより、ですね。」
あのー。と言いにくそうな〇〇の様子を真一郎が不思議そうに見つめていると、ガササっと茂みから音がした。
「巧ー!」
「大丈夫かタクー!?」
新たな謎の人物出現に、真一郎が〇〇を背に隠し万次郎も構えの姿勢を取ると、〇〇が慌てて二人に待ったをかけた。
「あ、あの!その人たち、敵じゃないんです!!」
「「・・・は?」」
「「「お嬢!スイヤッセンシター!!」」」
「もう、信じらんない!!」
仁王立ちの〇〇の前に並んで正座させられている男が3人。彼らの正体は、神保組に所属する若手の組員だった。
「初詣はどーしたのよ!?」
「それは他の奴らに任せてきました!お嬢の危機に黙ってられんかったけぇ!」
「男と着物で初詣なんて、何が起きてもおかしくねぇっちゅうて、満場一致でワシらが代表して参上仕りましたぁ!」
「満場一致って、柴田に止められなかったの!?」
「柴田さんには黙ってきましたぁ!」
「おバカー!!」
大の大人3人相手に怒鳴る〇〇の姿を、遠巻きに見る佐野兄弟3人が呆気に取られていた。
「〇〇って、ホントにクミチョーの娘だったんだな~。」
「・・・やっぱオレ、口じゃあ〇〇に勝てねぇ気がしてきた。」
「シンイチローは他の女相手でも勝てねぇだろ。」
「ねーねー。クミチョーってなんの話?」
おまえは知らなくていいんだよ。と真一郎にやんわり濁されたエマが不服そうに頬を膨らませていた。何はともあれ、大事にならなくてよかった。真一郎は、今だガミガミと組員を叱りつける彼女の姿を見て、ほっと胸を撫で下ろしていた。
「ほんとに、お騒がせして申し訳ございません・・・っ」
「いや、まぁ。おまえのこと心配してのことだったんだから、大目に見てやれ。」
〇〇と真一郎が、車の到着を玄関前で待機していた。
あれから、あの3人をその場で解散させ、〇〇たちもクタクタになりながら佐野家へと戻った。帰ってすぐ布団に潜り込んだ万次郎とエマを見届けると、連絡した柴田から数分で着くとの一報が入った。向こうも無事に初詣を済ませたようだった。
「でも、ちょっとオレ、やばかった。」
「何がですか?」
「あの時、〇〇がこのまま居なくなっちまうかもしれないって思ったら、すげぇ怖かった・・・」
「・・・先」
真一郎が近い。先程の余裕のない感じとは違う、ゆっくり愛おしむような抱き締め方に、〇〇の鼓動が高鳴った。着物の隙間から吹き込む冷気も、彼の体温で気にならなくなる。
「取りあえずこの1年は、〇〇の傍を離れないようにしねぇとな。」
「え?」
「そうすれば、縁起の悪いこともプラマイゼロだ。」
本人はすっかり忘れていたのに。おみくじの運気を分ける気満々の彼に、〇〇が思わず噴き出した。
「でも、それで先輩に縁起悪いこと起きたらどうするんですか。」
「そこはまぁ、オレ的にはどうでもいい。ただの口実だし。」
え?なんの口実?〇〇が疑問に思ったその時、エンジンの音が聞こえ塀の向こうからライトの明かりが見えた。スーツ姿の彼が、珍しく運転席から降りてくると急ぎ足で二人の方へと向かってくる。
「お嬢っあのバカヤロー共が押しかけてすいやせん!」
「あ、うん、いいよ。わたしもその場で結構怒鳴っちゃったし・・・」
「真一郎も、迷惑かけてすまんかったな。」
「いやまぁ、驚きましたけど、身内で安心しました。」
さぁ寒いですから早く中へ。と柴田が車へ向かい歩いていく。〇〇が、少し名残惜しむように真一郎へと向き直った。
「じゃあ、今日はありがとうございました。色々あったけど楽しかったです。」
「〇〇。「凶」って、これ以上不幸なことは起きないって意味だからな。」
「え。」
「これから、きっと最強にいい事が起こるぞ。」
そうか。そういう考え方もあるのか。見た限り、おみくじの内容は決して良いと言えるものではなかったが、真一郎の言葉に、この先起こるどんな出来事も「最強にいい事」の前触れとでも思えそうだ。その最強の瞬間を、彼の傍で迎えられたらどんなに素晴らしいだろう。〇〇が、そんないつかを思い描きながら真一郎に別れを告げると、ドアを開け待機する柴田の元へ向かう。後部座席へと回り、暖房で少し暑いくらいの車内へと乗り込んだ。
ーーー卍おまけ卍ーーー
翌日。
真一郎「しまったぁぁぁぁぁぁあ!!」
万次郎「うるせぇぞシンイチロー。」
真一郎「〇〇の着物姿写真に収めるの忘れてたぁぁぁあ゙っ」
万次郎「・・・つーか早く告れよ。」
