名前変換のみです(苗字はそのままデフォルトです。申し訳。)
本編(完結)
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
じ―――。
「・・・」
「・・・」
「・・・ねぇ〇〇?」
「はい、なんでしょーか?」
「目ぇ、閉じないの?」
〇〇は、しっかと目を開き至近距離にある真一郎の顔をガン見していた。
「どうしてですか~?」
「いや、今からオレ、〇〇にキスしよっかな~って思ってっから・・・」
「キスする時って、目ぇ閉じないとダメなんですかぁ?」
「ダメって訳じゃねぇけど、なんつーかこう、ムードが出るかなぁって・・・」
あぁ、なるほどぉ。とちゃんと理解したのかどうなのか怪しい〇〇が、ポンッと手を打つと、ん♡と真一郎に言われた通りに目を閉じた。
あ、やべぇかわいい最高。〇〇のキス待ち顔に、天を仰いだ彼はより一層興奮した。このキスを皮切りに、万が一そーゆー流れになっても彼の準備は万端だった。念の為、さっとポケットの中身を確認した真一郎が、今度こそいざゆかん。と仕切り直して顔を近づけた。
―――ゴンッ!
「○■※□◇#△~っ!?」
あと5センチ――というところで、真一郎が目を閉じたと同時に謎の衝撃が走った。あまりの痛みで思わず掌で額を押さえる。
ハっとして彼が目の前の〇〇を見ると、フラフラと前後左右に舟を漕いでいる。そう、それはまさに授業中に座ったまま居眠りをする姿そのもの。まさか・・・嫌な予感がした。
「・・・ねる。」
そう一言告げると、〇〇は真一郎の肩口目掛けてダイブした。彼が慌ててその身体を支えると、スー、スーとすぐ傍で聞こえてきたのは、彼女の寝息。
「・・・嘘だろ。」
なんかオレ、こんなんばっかじゃねぇ!?真一郎は叫びたい気持ちをなんとか押し込んだ。彼女の、その姿からは想像つかない石頭にも衝撃を受けた。
何かの間違いではないのか。とじっくり〇〇を観察するが、まごうことなき寝入った姿だった。目を閉じるよう言ったのが眠りを誘ったのか。
意識のない彼女に対して、流石にアレコレしようという気は起きない。言いようのない疲労感がドッと押し寄せてきた真一郎は、〇〇の身体ごとそのまま後方に倒れこんだ。
「あ゙~~~~~っ」
時計の針が0時を指した頃、二人きりの部屋の中で男の嘆きが木霊した。
「―――・・・っゔ、ん・・・」
〇〇は、少し気だるさを感じ目を覚ました。いつもなら、カーテンから差し込む朝日を見ればスっと起きられるはずなのに、どうにも身体が言うことを聞かない。しかも、ちょっとおでこに違和感がある。
「・・・あれ、そういえばいつベッドに入ったっけ・・・?」
記憶がはっきりしない。確か昨晩は、こずえたちが誕生日会を開いてくれた。そして真一郎とシャンメリーを開けようということになって、二人でそれを飲んだはず。そこからが思い出せない。
「先輩、ちゃんと帰ったんだっけかな。」
ベッドから抜け出した〇〇は、重い身体をなんとか動かしリビングへと向かった。
「おぅ。おはよ。」
「・・・!?!?」
キッチンには真一郎が立っていた。なぜ。帰ったはずじゃあなかったのか。〇〇は、昨日の記憶を辿ろうと再度挑戦するも、やはり何も思い出せなかった。
「な、なんっ?ななななんで!?」
「なんでって・・・おまえが酔っ払って寝落ちして、カギ締めるヤツいなくて帰れなくなったから。」
泊まった。と彼の言葉で一つ思い出した。そうだ、柴田には翌日の昼頃まで戻るなと言っていたんだった。はて、寝落ちた・・・酔っ払って?〇〇は身に覚えのない話に困惑した。
「あれ、シャンメリーじゃなくてスパークリングワインだったぞ。」
「・・・えええええ!?」
「本当に、本当に申し訳ございません・・・!」
シャワーを浴びた〇〇が戻ると、ダイニングテーブルには真一郎が作った朝食が並んでいた。ベーコンエッグにレタスとトマトスライス、それにバターがたっぷり塗られた焼き立てトーストが添えられていた。
「いいよ。気にしてねぇから。さっさと食べな。」
「うぅっ美味しそう。いただきます。」
〇〇は、今ほど真一郎のやさしさが染みたことはなかった。これだけ迷惑をかけておいて、文句のひとつも言ってこないなんて。やはり彼は聖人なのか。神様仏様なのか。
「先輩、好き。」
「ハイハイ。」
どうせ"お兄ちゃん"みたいで好きってことだろうが。真一郎は、〇〇の期待はずれな発言を受け流せるようになっていた。鋼の心レベル1を手に入れた。
「良かったな、今日が日曜で。」
「ハイ。本当に・・・」
二人は、朝食後ソファーに座り真一郎が淹れたコーヒーを飲んでいた。いつもは自分が朝食係をしている〇〇は、至れり尽くせりな朝のひとときに、至福の喜びを感じていた。
「あ、そーだ。」
これ。と言って真一郎が長細い箱を差し出した。プレゼント用のラッピングに包まれている。
「誕生日、おめでとう。」
そうか、今日は自分の誕生日だ。〇〇は、昨日の騒ぎですっかり終わった気でいた。まさかプレゼントまで貰えるとは思いもよらず、目を丸くする。
「え、昨日の誕生日会でごちそういっぱい用意してもらったのに。」
「いやコレは別でしょ普通。」
〇〇の少しズレた感覚に、真一郎は苦笑した。自分の誕生日だというのに、これっぽっちも欲がない。そこが彼女のいいところではあるのだが。
少し頬を染めながら照れた様子の〇〇が、真一郎へと顔を向けた。
「嬉しいっありがとうございます!」
「開けてみ?」
先に彼からお許しが告げられ、〇〇が早速、包装紙を剥がし箱を開いた。
「あ、・・・え、簪?」
中には、一本差しの玉簪が入っていた。金属製の"耳かき"と呼ばれる一本足に、一粒玉が挿してある。鮮やかな赤色の玉には、蒔絵風の花柄が描かれていた。白に桃色が混ざった可愛らしい印象の花弁。
「これ、山茶花、ですか?」
「そ。オレ、遠くから見てて気づいてなかったんだけど、文化祭でステージ立ってた時、腕に巻いてたんだろ?あのハンカチーフ。」
「え?」
「沖田から聞いてさ。気に入ってくれてたのかなって思ったから、山茶花の柄が入ったやつにしてみた。」
真一郎は、祖父と暮らしているからなのか、見かけによらず古風な人だ。彼は、簪を贈る意味を知っていたのだろうか。そんなことを考えながら、〇〇はただただ感動していた。大好きな真一郎が再び与えてくれた、大好きな勇気の花。ありがとうじゃ足りないこの言いようのない嬉しさを、彼にどう伝えたらいいだろうかと。
「・・・あれ、〇〇?」
簪を見つめたまま固まった〇〇に、もしかして気に入らなかったか!?と不安になった真一郎が呼びかけると、ふっと〇〇が真一郎へとその身を近づけた。
「?」
〇〇が、ソファに脚ごと乗り上げ膝をついた。座面が沈んで彼女の方へと僅かに身体が傾いた真一郎が、何事かと思ったのもつかの間、彼は静止した。それはほんのコンマ数秒。風呂から上がってさほど経っていない〇〇から香るせっけんの匂いと、頬に柔らかいものが当たった感触――それは紛れもなく、目の前の彼女から与えられたもので。
元の位置に戻り俯き加減の〇〇の顔は、ほんのり赤く染っていた。そして、同じように真一郎の顔も。
「え、まっ、てちょっと、今のなに!?!?///」
「ほっぺにちゅー・・・です。///」
いや分かってっけど!?突然なにかわいいことしてくれちゃってんのこの子!?真一郎は盛大にパニクっていた。
「透くんが・・・」
「・・・と、透君?」
「透くんに昔、ありがとうの言葉で足りないくらい嬉しい時はどうしたらいい?って聞いたら、『そんときゃ黙ってほっぺにちゅーだろ』って言ってたから・・・」
「・・・」
「それからは、いっぱいありがとうって思ったら。あっ、でも恥ずかしいから家族にしかしてませんけどっ」
「・・・ねぇ、それって透君にも?」
「え。あ、はい。」
「もしかして、柴田さんにも?」
「う、うんと、2回くらい、あったかな?」
「・・・っ」
ガクッ。そう、それは兄貴にしていたものと同じ。それが分かった瞬間、真一郎は意気消沈した。
いやしかし、それは彼女が家族のように想ってくれているということ。ただの友達からかなりのレベルアップと言ってもいい。この記念すべき彼女の誕生日に起きた、貴重で大きな一歩なのだ。と真一郎は考えることにした。鋼の心レベル2を手に入れた。
「うーん、よし。じゃあオレも、ありがとうじゃ足りないときは〇〇のほっぺにちゅーしよ。」
「え!?やだ!はっ恥ずかしい!」
「いや、さっきおまえもやっただろ。」
本気で恥ずかしがる〇〇に、真一郎は吹き出した。
今は戯れだと思われていてもいい。彼は、彼女との距離がちょっとずつ縮まっていくこのスローペースを、少し楽しんでもいた。いつか、本当の口づけを交わす時だってそう遠くないかもしれない。そんな期待を抱きながら、真一郎は真っ赤な顔をした〇〇に追い打ちをかけるように、彼女の肩をそっと抱き寄せた。
ーーー卍おまけ卍ーーー
真一郎「ちょっと練習しとくか。」
〇〇「え?」
真一郎「んぅ~♡」
〇〇「ちょっ!やっ先輩なにしてるんですかー!?///」
ガチャッ
柴田「お嬢!誕生日おめd」
真・〇〇「「あ。」」
