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番外編
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Extra editio4.
A meddling
「よぉ佐野。」
ガシッと真一郎に肩を組んできたのは、クラスメイトの沖田だった。
真一郎が、彼にチラッと目線だけ向けると、ニヤついた顔がすぐ横にあって思わずイラっとしてしまった。
「聞いたぞ~?〇〇ちゃんの貸し切りライブ聴いたんだって?」
「テメェ、よくも騙したな。」
「そんな怖え顔すんな。」
悪気はなかったんだって。思いっきし楽しんでいた沖田がシレっと言ってのけた。
「〇〇ちゃん、今度ギター教えたお礼に1曲付き合ってくれんだよ。」
「・・・もうあいつ振り回すのヤメロ。」
「優しくていい子だよな~。不良のお前には勿体ない。俺が口説いてもいい?」
「ふざけんな!ダメに決まってんだろ!」
「冗談だって~」
バカだなー。真一郎の肩をバシバシ叩きながら沖田はその反応を楽しんでいた。
今日はコイツ、よくしゃべるな。いつもは、必要最低限の会話しかしてこない沖田の妙な口数の多さに、真一郎は少し違和感を感じていた。
また、当然のように〇〇のことが好きだということがバレていて、こずえが言っていた「〇〇ちゃんは気づかないと思います」という言葉を思い出した真一郎は、空しくなって遠くを見つめていた。
ふと気づくと、真一郎が座る席の前、主不在の椅子に後ろ向きで跨った沖田が、何の前触れもなく話し出した。
「俺、幼馴染の女の子がいてさ。その子歌手になるのが夢で、よく俺ん家来てギターに合わせて歌ってくれてたんだよね。」
「ほーん。」
人たらしの沖田に女の影。少し興味をそそられた真一郎は、取りあえず聞いてやるか、と彼の言葉に耳を傾けた。
「だけど、その子小さい時から体弱くて。病院を行ったり来たりしてた。で、実は白血病だって知って、中学上がる前に入院しちまって。そっから殆ど病院。ギター持って見舞いに行ってさ、屋上でよく一緒に歌ってた。・・・で、中二の夏に、死んじまった。」
沖田は、聞いている方が心配になるほどに淡々と話をしていた。よく見れば、その目元は少し泣きそうに視線を下へと向けている。
「文化祭で〇〇ちゃんに歌ってもらった曲、あれ彼女が作詞したんだ。」
「え。」
「病気が治ったら、俺が曲を作ってステージに立って歌おうって約束してた。ショックで、しばらくほったらかしてたんだけど、やっと踏ん切りついて仕上がったタイミングで、〇〇ちゃんに出会ったわけだ。」
その少女も、夢への道を思い通りには歩めずにもがいていた。真一郎が、〇〇の境遇につい重ねて聴いてしまったのは、自然なことだったのかもしれない。だが、沖田はそんな大事な思い出を、なんの為に話そうと口を開いたのか。皆目見当もつかなかった真一郎は、彼に訊ねた。
「何でその話、俺に。」
「言えるうちに言っとけよって話。」
「!」
「〇〇ちゃんが、いつまでもお前の傍にいるとは限らないし、お前がいつまでも彼女の傍にいられるとも限らない。ブルーハーツも歌ってたろ?永遠なんてホントにあるのか?って。」
沖田は、曲を完成させたことで一つの区切りをつけていた。そして、その曲にふさわしいと思える歌い手に出会い、図らずも名曲と向き合うきっかけを与えられた。無常のこの世の残酷さ――それを受け入れた自分は、やっとありのままでいられるんだと気づいた。だから彼は、目の前の男とあの少女に、少しだけお節介を焼きたくなったのかもしれない。
「うっせ。オレらのペースってのがあんの。」
「はは、そーかよ。」
微笑を浮かべる真一郎に、心の中でがんばれよ、とエールを送った彼は、立ち上がり真一郎の肩を2回叩くと、バンド仲間の待つ軽音楽部の部室を目指し、教室を後にしたのだった。
A meddling
「よぉ佐野。」
ガシッと真一郎に肩を組んできたのは、クラスメイトの沖田だった。
真一郎が、彼にチラッと目線だけ向けると、ニヤついた顔がすぐ横にあって思わずイラっとしてしまった。
「聞いたぞ~?〇〇ちゃんの貸し切りライブ聴いたんだって?」
「テメェ、よくも騙したな。」
「そんな怖え顔すんな。」
悪気はなかったんだって。思いっきし楽しんでいた沖田がシレっと言ってのけた。
「〇〇ちゃん、今度ギター教えたお礼に1曲付き合ってくれんだよ。」
「・・・もうあいつ振り回すのヤメロ。」
「優しくていい子だよな~。不良のお前には勿体ない。俺が口説いてもいい?」
「ふざけんな!ダメに決まってんだろ!」
「冗談だって~」
バカだなー。真一郎の肩をバシバシ叩きながら沖田はその反応を楽しんでいた。
今日はコイツ、よくしゃべるな。いつもは、必要最低限の会話しかしてこない沖田の妙な口数の多さに、真一郎は少し違和感を感じていた。
また、当然のように〇〇のことが好きだということがバレていて、こずえが言っていた「〇〇ちゃんは気づかないと思います」という言葉を思い出した真一郎は、空しくなって遠くを見つめていた。
ふと気づくと、真一郎が座る席の前、主不在の椅子に後ろ向きで跨った沖田が、何の前触れもなく話し出した。
「俺、幼馴染の女の子がいてさ。その子歌手になるのが夢で、よく俺ん家来てギターに合わせて歌ってくれてたんだよね。」
「ほーん。」
人たらしの沖田に女の影。少し興味をそそられた真一郎は、取りあえず聞いてやるか、と彼の言葉に耳を傾けた。
「だけど、その子小さい時から体弱くて。病院を行ったり来たりしてた。で、実は白血病だって知って、中学上がる前に入院しちまって。そっから殆ど病院。ギター持って見舞いに行ってさ、屋上でよく一緒に歌ってた。・・・で、中二の夏に、死んじまった。」
沖田は、聞いている方が心配になるほどに淡々と話をしていた。よく見れば、その目元は少し泣きそうに視線を下へと向けている。
「文化祭で〇〇ちゃんに歌ってもらった曲、あれ彼女が作詞したんだ。」
「え。」
「病気が治ったら、俺が曲を作ってステージに立って歌おうって約束してた。ショックで、しばらくほったらかしてたんだけど、やっと踏ん切りついて仕上がったタイミングで、〇〇ちゃんに出会ったわけだ。」
その少女も、夢への道を思い通りには歩めずにもがいていた。真一郎が、〇〇の境遇につい重ねて聴いてしまったのは、自然なことだったのかもしれない。だが、沖田はそんな大事な思い出を、なんの為に話そうと口を開いたのか。皆目見当もつかなかった真一郎は、彼に訊ねた。
「何でその話、俺に。」
「言えるうちに言っとけよって話。」
「!」
「〇〇ちゃんが、いつまでもお前の傍にいるとは限らないし、お前がいつまでも彼女の傍にいられるとも限らない。ブルーハーツも歌ってたろ?永遠なんてホントにあるのか?って。」
沖田は、曲を完成させたことで一つの区切りをつけていた。そして、その曲にふさわしいと思える歌い手に出会い、図らずも名曲と向き合うきっかけを与えられた。無常のこの世の残酷さ――それを受け入れた自分は、やっとありのままでいられるんだと気づいた。だから彼は、目の前の男とあの少女に、少しだけお節介を焼きたくなったのかもしれない。
「うっせ。オレらのペースってのがあんの。」
「はは、そーかよ。」
微笑を浮かべる真一郎に、心の中でがんばれよ、とエールを送った彼は、立ち上がり真一郎の肩を2回叩くと、バンド仲間の待つ軽音楽部の部室を目指し、教室を後にしたのだった。
