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本編(完結)
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真一郎が、なぜここまで彼女に夢中になっているのか沖田には分からなかった。確かに、自分も彼女の歌声には夢中だし、見た目もかわいい。だが、今まで真一郎が告白を挑んできた女子とは全く違う系統の女の子。好みにマッチしたわけではなさそうだった。
「沖田先輩・・・あの、真一郎先輩、昼休みめっちゃ怒ってたっぽいのですが・・・大丈夫だったんでしょうか。」
〇〇が、ギターの調弦をしながら沖田に訊ねた。
あれはただ、からかって楽しんでいただけである。面白いところに出くわしたついでに。
「あぁ大丈夫大丈夫。ギター弾けるようになって、〇〇ちゃんがデートに誘ってあげたらケロっとすっから。」
「デ!?デート・・・そんなもんで機嫌戻るかな・・・」
更に面白いのが、彼女はその好意に全く気付いていないことだ。沖田は同情した。
「〇〇ちゃんは、佐野のどこが良くて仲良くしてんの?」
「え?」
「アイツ不良だし、ことごとく女にはフラれてるし、クラスじゃ話しかけんの俺くらいだから。」
このギターの練習が終われば、こんなこと聞くチャンスはほぼ無いだろう。ずっと気になっていた疑問を沖田は当人にぶつけた。
「『おまえなら絶対できる』って言ってくれるから。」
「え?」
「わたし、中学生の時までいじめられてて。流石に中学上がったら陰湿なこともされるようになっちゃって、まともに授業出られない日があったりして。医大目指すのに、この環境はさすがにまずいなって思ったので、地元離れて東京に来たんです。」
「そうだったんだ・・・」
「なのに、入学早々またいじめられちゃって。その時、真一郎先輩が助けてくれたんです。また絡まれたらどうしようって思ってたら、俺が守ってやるから絶対夢諦めるなって言ってくれて。」
てっきりイイトコのお嬢様だと(お嬢に違いはないのだが)。そんな苦労人だなんてこれっぽっちも思っていなかった沖田は、大層驚いた。しかも、そんな少女漫画みたいな出会い方しておいて、いまだ進展が無いとはどういうことだ!?と。みんなが思ってますそれ。
「真一郎先輩は、初めて友達になってくれた人なんです。わたしのこと、いつも信じてくれるんです。」
ここまで懐かれたらそりゃ情も湧くか。それにどうやら彼女には、まだ自分の知らない魅力がありそうだ。と沖田は〇〇の話から少し察しがついたようだった。
「なるほどね。ごめん、辛いこと思い出させた?」
「いえ、お気になさらず。」
これ以上聞くのは野暮だな。と沖田は話題を変えた。
「アコギの弾き語り、アイツにも聴かせるんだろ?そのために内緒にしてたって分かったら泣くぞ絶対。」
「!そ、そう、かな・・・」
〇〇は僅かに頬を赤らめていた。
まぁ、全く脈無しというわけではなさそうだ。沖田はその様子を微笑ましく見ていたのだった。
『真一郎先輩。わたし、沖田先輩とお付き合いすることにしました。』
(え?おい嘘だろ・・・?)
『不良の先輩より、優しくてかっこいい沖田先輩と一緒にいた方が安心して勉強に専念できます。だから、』
さようなら。
「〇〇!!待ってく」
ドンッ!とけたたましい音と共に、真一郎は痛みで額を押さえた。どうやらベッドから落ちたようである。
「・・・やっと起きたか。」
「へ・・・武臣?」
真一郎はあれから、明司の部屋でヤケコーラを浴びるように飲んだ上、今日あった出来事をしゃべり倒し、疲れて明司のベッドで眠りこけていた。
「もう日が暮れたぞ。」
「あ・・・ワリ。」
真一郎は、打ち付けた額をさすりながら、寝起きの頭を数回振った。
「よその男に取られたって、奪い返してくればいーじゃねぇか。」
「お前・・・人の気も知らねーで楽しんでんじゃねェよ。」
明司はタバコを吸いながらニヤッと口角を上げていた。
「〇〇がそいつのこと好きって言ってたわけじゃねぇんだろ?」
「言ってねーけど、一緒に出掛けること隠してたってことは、気があるって言ってんのと一緒じゃんか。」
「そーかぁ?」
〇〇なら、仮に好意を寄せる相手ができたとして、すぐ真一郎に相談でもしそうだが。明司は、これを言うとそれはそれでショックを受けるであろう目の前の男には、あえて黙っておくことにした。
「そんなうじうじ悩むくらいなら、本人に聞いてみろ。」
そんでもう言ってしまえ。とだんだん面倒くさくなってきた明司が、心の中で匙を投げた。
「やっぱ先輩帰ったよね。」
〇〇は、あとは強弱など細かい表現の修正をすれば上出来だ。と沖田からお墨付きをもらい、学校での練習時間も短くなってきた。
今日は、自前のアコースティックギターの弦が切れてしまった為、学校へ持ってきて沖田に張り替えをしてもらっていた。今、彼女の背にはギターが入ったケースが背負われている。
「仲直り、しようと思ったんだけど・・・」
〇〇は、あの日の不機嫌な顔を見てから会っていない真一郎と、話をしようと教室を覗いたのだが。
(というか、別に喧嘩してるわけじゃないけど。)
でもなんだかこのままでは落ち着かない。〇〇は、今晩電話をしよう。そう決めて下駄箱へと向かった。
「あ。」
校門前に来たところで、見慣れたリーゼントと見慣れたバイクが視界に入った。
「真一郎先輩!」
「・・・よぉ。」
ケツ乗れよ。とどこかぶっきらぼうに告げる彼に、〇〇は少したじろいだ。しかし、探し人が現れて好都合。〇〇は、その誘いに乗って彼のバイクに跨った。
