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本編(完結)
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2.Flower of bravery
佐野真一郎との出会いから1週間がたった。
あの女子生徒たちは、〇〇のことを遠巻きに見てくることはあったものの、ちょっかいを出してくることはなくなり、これまでの出来事が嘘のように彼女は穏やかな高校生活を送っていた。
「〇〇ちゃん!おはよ!」
始業前、窓際の自席に着いていた〇〇に声をかけたのは、同じクラスの住田こずえという女子生徒だ。
「おはよう、こずえちゃん。」
彼女は、あの日〇〇がクラスメイトに絡まれているのを気にかけ、心配していたと翌日声をかけてきた。
「〇〇ちゃん、昨日の数学の宿題、ここ分からなくって」
教えて~とこずえがお願いのポーズをする。
〇〇は、初めての女友達との交流に、戸惑いながらも心躍らせていた。
「そういえば、佐野先輩とあれから会ったの?」
「ううん。学校でも見かけなくて。」
〇〇は、あの一件以来、真一郎と顔を合わせていなかった。
移動教室で2年生の教室前を通ることもあったが、それらしき人物を確認できることはなかった。
(真一郎先輩、学校に来てないのかも。)
不良なのだ。学校をサボることも珍しくないだろう。
そこまで期待しているわけではないが、「守る」と宣言しときながら数日放置されている状況に、どういうこったい。と、些か疑問を抱かなくもない〇〇だった。
「でも、やっぱりあんま近づかない方がいいと思う。」
あの人もヤンキーなんだから!そう忠告をするこずえは、真一郎と同じ中学校出身だったようで彼のことをよく知っていた。
地元でも有名な不良だったのだと。
「うん~。でもむやみやたらに他人を傷つけるような人には見えなかったよ。」
わたしのこと助けてくれたし。こずえの心配するようなことはきっと無い。他人を納得させるほどの根拠はないが、〇〇は彼が悪人とは到底思えなかった。
あの日、数時間共に過ごした中で、彼の芯の通った人柄と優しさに触れたから。
〇〇が、そんなに心配しないで。と告げる。
「でも変なことされたら、すぐ相談してね!」
(変なことって・・・)
そういえば、会って間もなく打たれた頬を撫でられたことがあったな。
ああいうのは変なことに入るんだろうか。〇〇は変なことのボーダーラインを思考した。
「お、いたいた。」
どこかで聞き覚えのある声が聞こえてきたかと思った瞬間、教室内がざわついた。〇〇が教室の出入り口へ振り向くと、今まさに話題に上がっていた人物、佐野真一郎がそこに立っていた。
「真一郎先輩!」
〇〇は思わずその名を呼んだ。1週間ぶりに見る彼の姿に、少しばかり緊張が走る。
彼は、変わらないあの人懐っこい笑顔で、〇〇の座る席まで入ってきた。
「久しぶり。」
「先輩、全然見かけないから学校来てないんだと思ってました。」
「ああ、午前中だけいたり昼から来たりしてたかな。」
ははっと悪びれもせず、堂々としたサボってました宣言だった。
〇〇は、もしかして何かあったのではとも考えていたが、その変わらない様子を見るに無用な心配だったようだ。
「なぁ、今日の昼休み、空いてる?」
「え?」
「飯食った後でいいからさ、屋上来てよ。」
待ってるから。彼の言葉に、わざわざ屋上で何の話があるのだろうかと疑問に思ったが、まぁ行けばわかるか。と、ひとまず〇〇は誘いを了承すると、真一郎はあっさりと教室を後にした。
「ん?」
妙に静まり返った教室に、〇〇がはたと周囲を見回すと、クラス全員の視線が自分に向けられていることに気づく。
「〇〇ちゃん、1年の間でも佐野先輩は有名なんだってばっ」
きょとんとしている〇〇に、こずえが呆れ気味で言った。
「な、なるほど・・・」
入ったばかりの1年にもここまで顔と名が知れ渡っているとは。佐野真一郎恐るべし。
これは、変な噂が立たなきゃいいが・・・と、〇〇はひとまず注がれる視線を流すことにした。
昼休憩に入り15分ほど過ぎたころ、
こずえと昼食を済ませた〇〇は、屋上へ続く階段を昇っていた。
ほんとに一人で行って大丈夫なの!?と直前まで彼女に引き留められたが、万が一「何か」あったとしても、〇〇は真一郎一人なら逃げ切れる自信があった。
「何年もいじめっ子から逃げ回っていた〇〇さんの脚力、なめんなよ。」
〇〇は、運動会の100m走で毎回トップを飾っていたほど、逃げ足には自信があった。
そんなことを考えているうち、いざ屋上への扉の前まで来たところで、向こう側から人の話し声が聞こえてきて歩みを止めた。〇〇は、一旦静かにその声に耳を澄ませてみた。
(誰かしゃべってる・・・?先輩の他に誰かいるのかな。)
〇〇は、ひとまず扉をゆっくり開け、外に出て様子を見てみることにした。
そこには、男子生徒3人が正面にあるフェンスに向かって何かを取り囲む形で立っている。それは、なんだか嫌な予感がするポジションだった。
「おい、佐野。テメェ最近また調子に乗ってるらしいじゃねェか。」
「こないだ、お前んとこのヤツに世話んなったダチがいてよぉ。どう落とし前つけてくれんだ?」
「・・・ねぇ先輩たち。校内で騒ぎはまずいじゃねぇの?」
この間謹慎解けたばっかでしょ?と真一郎が落ち着いたトーンで話している声が聞こえる。
その会話で確定した。真一郎が絡まれているようだった。
「ぁあ?ここでテメェブッ飛ばせばセンコーにバレることもねぇわ。」
明らかにやる気満々の3人組に、これはかなりマズいのでは?と〇〇は焦った。真一郎は3人相手に戦えるんだろうか。暴走族総長というくらいだからそこそこの腕は持っているんだろうが、拘束されてしまえば一方的に殴られて終わりだ。
―――ここは最悪、自分が先生を呼んでくる他ない。そう〇〇が固唾を呑んで見ていたその時、ギギギィー、という錆びついた嫌な音と共に、風にあおられて扉が勢いよく閉まった。
(やっっっば!)
と思った時には時すでに遅し。不良たちの方を見ると、全員がこちらに気づき振り向いていた。
「あ?誰だテメェ。」
見せモンじゃねぇぞオラ。とお約束のセリフを吐いてきた。
〇〇の姿を捉えた真一郎は、しまったと思った。思いのほか彼女が早く到着したからだ。
先輩方には宥めてさっさと退散してもらうつもりだったが、彼の読みは少々甘かった。ここは、彼女を巻き込まない最善の手を取らなければならない。そう思った真一郎は叫んだ。
「〇〇!こっち来んな!戻れ!!」
真一郎の言葉を聞いて、〇〇は引き返した方がよさそうだと判断し、校舎に続く扉に手をかけた。
ガチャガチャ・・・
(・・・・・・あれ?)
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
が、押しても引いても扉が開くことはなかった。先ほど勢いよく閉まった衝撃が原因なのか、〇〇の力ではびくともしなかった。
「・・・真一郎先輩!扉が開きません!!」
「はぁ!?」
(これは・・・もしかしなくてもピンチかな?)
「この女、佐野の知り合いみたいだな。」
「そういやぁさっき、1年が佐野と女が仲良く話してたって噂してたぜ。」
そりゃあいい。と、3人のうち2人が〇〇の方に向かって近づいてきた。
嫌な予感がこうも早く的中することになろうとは。主婦と高校生の噂話は爆速で広がるようだ。
「おい!そいつはカンケーねーだろ!!」
真一郎が〇〇に近寄っていく2人を追いかけようとすると、傍にいたもう一人の3年に殴り止められた。
「先輩!!」
(めちゃくちゃ入ったよね今の!?)
見てるこっちが痛くなりそうな見事なストレートが真一郎の左頬にヒットした。
「こ・・・んのっ」
「どーしたぁ佐野~?噂通りケンカは大したことねーなぁ。」
立ち上がり反撃を試みる真一郎だったが、相手の動きの方が早く避けられてしまう。
これはどういうことだ?〇〇はその光景に衝撃を受けた。
今しがたあの3年の男も言っていた。
彼は、ケンカは大したことない、と。
(う、嘘ぉ!?)
あれだけ他校の不良に恐れられていた、あの黒龍総長が、ケンカ弱いとはどういうことだ。〇〇の頭は大混乱していた。真一郎が押されているのが〇〇から見ても分かる。
しかし、そんなことにかまっていられる状況ではない。敵二人は、勝ち誇ったようにニヤついた顔ですぐそこまで迫ってきていた。
「この女痛めつけりゃぁ、佐野も大人しくなんだろ。」
「よく見りゃ結構いいツラしてんな。」
オレ好み。そんな耳障りな会話をしながら近づく男たちの動きに、震える体に力を込めて〇〇は集中した。
(これはもう、仕方が・・・)
「オラ、こっち来い。」
手前の男が〇〇の手首を掴んできたその時―――
〇〇が、掴まれた手首をほどき男の腕の抱え取ったかと思ったその刹那、一瞬のうちに男は勢いよくうつ伏せに倒れていた。
佐野真一郎との出会いから1週間がたった。
あの女子生徒たちは、〇〇のことを遠巻きに見てくることはあったものの、ちょっかいを出してくることはなくなり、これまでの出来事が嘘のように彼女は穏やかな高校生活を送っていた。
「〇〇ちゃん!おはよ!」
始業前、窓際の自席に着いていた〇〇に声をかけたのは、同じクラスの住田こずえという女子生徒だ。
「おはよう、こずえちゃん。」
彼女は、あの日〇〇がクラスメイトに絡まれているのを気にかけ、心配していたと翌日声をかけてきた。
「〇〇ちゃん、昨日の数学の宿題、ここ分からなくって」
教えて~とこずえがお願いのポーズをする。
〇〇は、初めての女友達との交流に、戸惑いながらも心躍らせていた。
「そういえば、佐野先輩とあれから会ったの?」
「ううん。学校でも見かけなくて。」
〇〇は、あの一件以来、真一郎と顔を合わせていなかった。
移動教室で2年生の教室前を通ることもあったが、それらしき人物を確認できることはなかった。
(真一郎先輩、学校に来てないのかも。)
不良なのだ。学校をサボることも珍しくないだろう。
そこまで期待しているわけではないが、「守る」と宣言しときながら数日放置されている状況に、どういうこったい。と、些か疑問を抱かなくもない〇〇だった。
「でも、やっぱりあんま近づかない方がいいと思う。」
あの人もヤンキーなんだから!そう忠告をするこずえは、真一郎と同じ中学校出身だったようで彼のことをよく知っていた。
地元でも有名な不良だったのだと。
「うん~。でもむやみやたらに他人を傷つけるような人には見えなかったよ。」
わたしのこと助けてくれたし。こずえの心配するようなことはきっと無い。他人を納得させるほどの根拠はないが、〇〇は彼が悪人とは到底思えなかった。
あの日、数時間共に過ごした中で、彼の芯の通った人柄と優しさに触れたから。
〇〇が、そんなに心配しないで。と告げる。
「でも変なことされたら、すぐ相談してね!」
(変なことって・・・)
そういえば、会って間もなく打たれた頬を撫でられたことがあったな。
ああいうのは変なことに入るんだろうか。〇〇は変なことのボーダーラインを思考した。
「お、いたいた。」
どこかで聞き覚えのある声が聞こえてきたかと思った瞬間、教室内がざわついた。〇〇が教室の出入り口へ振り向くと、今まさに話題に上がっていた人物、佐野真一郎がそこに立っていた。
「真一郎先輩!」
〇〇は思わずその名を呼んだ。1週間ぶりに見る彼の姿に、少しばかり緊張が走る。
彼は、変わらないあの人懐っこい笑顔で、〇〇の座る席まで入ってきた。
「久しぶり。」
「先輩、全然見かけないから学校来てないんだと思ってました。」
「ああ、午前中だけいたり昼から来たりしてたかな。」
ははっと悪びれもせず、堂々としたサボってました宣言だった。
〇〇は、もしかして何かあったのではとも考えていたが、その変わらない様子を見るに無用な心配だったようだ。
「なぁ、今日の昼休み、空いてる?」
「え?」
「飯食った後でいいからさ、屋上来てよ。」
待ってるから。彼の言葉に、わざわざ屋上で何の話があるのだろうかと疑問に思ったが、まぁ行けばわかるか。と、ひとまず〇〇は誘いを了承すると、真一郎はあっさりと教室を後にした。
「ん?」
妙に静まり返った教室に、〇〇がはたと周囲を見回すと、クラス全員の視線が自分に向けられていることに気づく。
「〇〇ちゃん、1年の間でも佐野先輩は有名なんだってばっ」
きょとんとしている〇〇に、こずえが呆れ気味で言った。
「な、なるほど・・・」
入ったばかりの1年にもここまで顔と名が知れ渡っているとは。佐野真一郎恐るべし。
これは、変な噂が立たなきゃいいが・・・と、〇〇はひとまず注がれる視線を流すことにした。
昼休憩に入り15分ほど過ぎたころ、
こずえと昼食を済ませた〇〇は、屋上へ続く階段を昇っていた。
ほんとに一人で行って大丈夫なの!?と直前まで彼女に引き留められたが、万が一「何か」あったとしても、〇〇は真一郎一人なら逃げ切れる自信があった。
「何年もいじめっ子から逃げ回っていた〇〇さんの脚力、なめんなよ。」
〇〇は、運動会の100m走で毎回トップを飾っていたほど、逃げ足には自信があった。
そんなことを考えているうち、いざ屋上への扉の前まで来たところで、向こう側から人の話し声が聞こえてきて歩みを止めた。〇〇は、一旦静かにその声に耳を澄ませてみた。
(誰かしゃべってる・・・?先輩の他に誰かいるのかな。)
〇〇は、ひとまず扉をゆっくり開け、外に出て様子を見てみることにした。
そこには、男子生徒3人が正面にあるフェンスに向かって何かを取り囲む形で立っている。それは、なんだか嫌な予感がするポジションだった。
「おい、佐野。テメェ最近また調子に乗ってるらしいじゃねェか。」
「こないだ、お前んとこのヤツに世話んなったダチがいてよぉ。どう落とし前つけてくれんだ?」
「・・・ねぇ先輩たち。校内で騒ぎはまずいじゃねぇの?」
この間謹慎解けたばっかでしょ?と真一郎が落ち着いたトーンで話している声が聞こえる。
その会話で確定した。真一郎が絡まれているようだった。
「ぁあ?ここでテメェブッ飛ばせばセンコーにバレることもねぇわ。」
明らかにやる気満々の3人組に、これはかなりマズいのでは?と〇〇は焦った。真一郎は3人相手に戦えるんだろうか。暴走族総長というくらいだからそこそこの腕は持っているんだろうが、拘束されてしまえば一方的に殴られて終わりだ。
―――ここは最悪、自分が先生を呼んでくる他ない。そう〇〇が固唾を呑んで見ていたその時、ギギギィー、という錆びついた嫌な音と共に、風にあおられて扉が勢いよく閉まった。
(やっっっば!)
と思った時には時すでに遅し。不良たちの方を見ると、全員がこちらに気づき振り向いていた。
「あ?誰だテメェ。」
見せモンじゃねぇぞオラ。とお約束のセリフを吐いてきた。
〇〇の姿を捉えた真一郎は、しまったと思った。思いのほか彼女が早く到着したからだ。
先輩方には宥めてさっさと退散してもらうつもりだったが、彼の読みは少々甘かった。ここは、彼女を巻き込まない最善の手を取らなければならない。そう思った真一郎は叫んだ。
「〇〇!こっち来んな!戻れ!!」
真一郎の言葉を聞いて、〇〇は引き返した方がよさそうだと判断し、校舎に続く扉に手をかけた。
ガチャガチャ・・・
(・・・・・・あれ?)
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
が、押しても引いても扉が開くことはなかった。先ほど勢いよく閉まった衝撃が原因なのか、〇〇の力ではびくともしなかった。
「・・・真一郎先輩!扉が開きません!!」
「はぁ!?」
(これは・・・もしかしなくてもピンチかな?)
「この女、佐野の知り合いみたいだな。」
「そういやぁさっき、1年が佐野と女が仲良く話してたって噂してたぜ。」
そりゃあいい。と、3人のうち2人が〇〇の方に向かって近づいてきた。
嫌な予感がこうも早く的中することになろうとは。主婦と高校生の噂話は爆速で広がるようだ。
「おい!そいつはカンケーねーだろ!!」
真一郎が〇〇に近寄っていく2人を追いかけようとすると、傍にいたもう一人の3年に殴り止められた。
「先輩!!」
(めちゃくちゃ入ったよね今の!?)
見てるこっちが痛くなりそうな見事なストレートが真一郎の左頬にヒットした。
「こ・・・んのっ」
「どーしたぁ佐野~?噂通りケンカは大したことねーなぁ。」
立ち上がり反撃を試みる真一郎だったが、相手の動きの方が早く避けられてしまう。
これはどういうことだ?〇〇はその光景に衝撃を受けた。
今しがたあの3年の男も言っていた。
彼は、ケンカは大したことない、と。
(う、嘘ぉ!?)
あれだけ他校の不良に恐れられていた、あの黒龍総長が、ケンカ弱いとはどういうことだ。〇〇の頭は大混乱していた。真一郎が押されているのが〇〇から見ても分かる。
しかし、そんなことにかまっていられる状況ではない。敵二人は、勝ち誇ったようにニヤついた顔ですぐそこまで迫ってきていた。
「この女痛めつけりゃぁ、佐野も大人しくなんだろ。」
「よく見りゃ結構いいツラしてんな。」
オレ好み。そんな耳障りな会話をしながら近づく男たちの動きに、震える体に力を込めて〇〇は集中した。
(これはもう、仕方が・・・)
「オラ、こっち来い。」
手前の男が〇〇の手首を掴んできたその時―――
〇〇が、掴まれた手首をほどき男の腕の抱え取ったかと思ったその刹那、一瞬のうちに男は勢いよくうつ伏せに倒れていた。
